これまでもDTMステーションで何度か扱ってきたPiapro Studio。これはクリプトン・フューチャー・メディアが開発したVSTインストゥルメント/Audio Unitsプラグイン型のVOCALOIDエディタです。Piapro Studio自体は単体で発売されているものではなく、VOCALOID3版の歌声ライブラリである初音ミクV3、カイトV3、そしてつい先日発売になったメイコV3にバンドルされているというもの。
当初はクリプトンのVOCALOID3の歌声ライブラリでしか利用することができませんでしたが、バージョン1.2.0からは、他社のVOCALOID3歌声ライブラリでも利用可能になったため、すべてのVOCALOIDユーザーにとって非常に強力なツールへと進化しています。実際、どうすれば使うことができるのか試してみたので紹介してみたいと思います。
Piapro StudioでVY1V3や結月ゆかりなどを使う方法を紹介していきます
従来VOCALOID3 Editorは、スタンドアロンのソフトであったため、DAWと連携して使うには、VOCALOID3 Editorで作ったVOCALOIDの歌声をWAVファイルとして書き出し、これをDAW側で読み込んで楽曲で仕上げていく必要がありました。そのため、テンポが変わったり、ちょっとフレーズを変更するだけでも、同じ作業を再度行う必要があり、非常に面倒でした。
そこで、DAWと連携ができるVOCALOIDのエディタが求められていたわけですが、VOCALOIDの開発元であるヤマハからはVOCALOID Editor for Cubaseというものがリリースされ、Cubaseユーザーに限っては非常に使いやすい環境になりました。しかし、これはCubaseだけでしか使うことができず、ほかのDAWでは利用することができませんでした。
VOCALOIDを利用するDAWユーザーにとって画期的なツールであるPiapro Studio
しかしクリプトン・フューチャー・メディアが開発したPiapro Studioは、Cubaseはもちろんのこと、Studio One、SONAR、GarageBand、Logic……とほとんどのDAWに組み込んで利用できるもので、WindowsでもMacでも利用できるため、多くのDAWユーザーからも注目されていたのです。
ただし、当然のことながら初音ミクV3やカイトV3などのクリプトン製のVOCALOIDライブラリでしか使うことができなかったので、「VY1V3をGarageBandで使いたい」とか「結月ゆかりをStudioOneと連携させたい」という要望には応えられなかったのです。
ここでは初音ミクV3やカイトV3、メイコV3などにバンドルされるDAW、
Studio One Aritst Piapro Editionを使っていくが、ほかのDAWでも基本的に同じ
ところが、昨年12月に出たバージョン1.2.0で他社製のVOCALOIDでも利用できるように解放されたのです。どうして、そんなことができるのだろう……とちょっと不思議にも思ったまま、テストをしていなかったのですが、先ほど試してみたら、あっさり動いてしまいました。
簡単にその手順を追ってみましょう。ここではDAWとしてはWindowsの64bit版Studio One Aritst Piapro Edition(初音ミクV3などにバンドルされているもの。これのインストールについては以前の記事「初音ミクV3、インストール最適化テクニック」を参照)、初音ミクV3の3つの歌声ライブラリ、VY1V3、結月ゆかりのそれぞれを新たにインストールした上で試していきます。
Studio Oneを起動し、ここにPiapro Studioのインストゥルメントトラックを作成すると、アップデータが立ち上がるので、まずは、これのアップデートを行っておきましょう。2月23日現在のバージョンは1.2.1となります。
再度、立ち上げ直し、Piapro Studio上で新たなトラックを作ると、標準では初音ミクV3が利用できる形となります。ここで、ミクの顔の部分をダブルクリックすると、「トラックの設定」という画面が現れ、ここで歌手の選択ができるようになっています。
クリプトン製である初音ミクV3以外のVOCALOIDはカギのマークがついていて利用できない
この画面を見ると分かるとおり、インストールされている3種類のミクが選択できるほか、画面下には鍵がかかった形になっていて「アクセスキーがありません」という表示があるもののVY1V3と結月ゆかりが選択肢として現れます。
では、どうしたらアクセスキーが得られるのか?これはとっても簡単で、このアイコン部分をクリックすると、「アクセスキーの申請」という表示が現れます。ここで「アクセスキーを申請する」をクリックすればいいのです。
その前段階の準備として行っておく必要があるのが、クリプトンが運営しているSonicWireのアカウントを取得しておくこと。これ自体は誰でも簡単に取得できるので、アカウント取得後、ログインをしておきます。
ブラウザ上でSonicWireのPiapro Studioのページが開く
その後、前述の「アクセスキーを申請する」ボタンをクリックするとSonicWireサイトのPiapro Studioのページが開くので、ここで同意すると、アクセスキーが発行されます。
それをコピーして、Piapro Studioに戻ると、アクセスキーの入力画面が表示されているので、ここにペーストすれば完成です。
入手したアクセスキーをPiapro Studio上にペーストして入力すれば完了
これでVY1V3のプロテクトが解除されたので、続いて結月ゆかりに対しても同様の作業をすることで、それぞれが利用可能になります。
VY1V3の鍵が解除されたので、続いて結月ゆかりも同様の操作をしていく
画面をよく見ると分かる通り、「2014年3月9日まで有効」という表示がありますが、これは製品のアクティベートをしていなかったから、有効期限がここに表示されていたんですね。アクティベートすると、この表示は消えました。
せっかくなので、VY1V3や結月ゆかりにもアイコンを読み込んであげると、使いやすくなりますね。
ちなみに、このアイコンのサイズは256×256以下とのことなので、自分で好きなアイコンを作成してもいいし、ピアプロのサイトなどにも各種アイコンが用意されているので、それをダウンロードして使うのもよさそうですね。
後は、カイトV3や初音ミクV3で行った操作とまったく同じようにVOCALOIDの入力、エディットが可能になるので、ぜひ使ってみてください。スタンドアロン版のVOCALOID3 Editorで作業するのと比較して、圧倒的に効率よく制作作業が進められると思いますよ。
これで他社製VOCALOIDでもPiapro Studioでデータの入力、エディット作業ができるようになる
なお、今回は試しませんでしたが、クリプトン・フューチャー・メディアによると、VOCALOID2の歌声ライブラリーでもV2 Library Import Toolを用いてVOCALOID3用に変換をしておけば、利用できるそうです(Windowsに限らる)。こうすることで鏡音リン・レンはもちろんのこと猫村いろはやガチャッポイドなど、VOCALOID3版が出ていないものもあるので、こうしたものを活用することもできそうです。
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