スペインの新ボカロ“MAIKA”が日本語を歌うぞ!

9月の初音ミクV3登場以降も、12月にメルリが発売になり、1月にはマクネナナが発売されるなど、続々と新しい歌声ライブラリーが登場しているVOCALOID。ヤマハが運営するVOCALOIDサイトに並ぶVOCALOIDのラインナップを見ると、日本のもののみとなっていますが、海外に目を移すと、イギリスZero-GAvanna、スウェーデンPowerFXOliverYOHIOloid、韓国SBS ArtechSeeU、中国VOCALOID Chinaの洛天依言和、そしてスペインVoctro LabsBrunoClaraといろいろな歌声ライブラリーが存在しています。

これまでSeeUは、日本語ライブラリーを備えており、普通に日本語を入力して歌わせることはできましたが、それ以外のものは基本的に英語やスペイン語、中国語で入力していかないと歌わせることができませんでした。しかし、12月18日に発売されたスペインVoctro LabsのMAIKAは、標準のツールを使うことで日本語を歌わせることが可能なのです(実は、Bruno、Clara用のツールも存在していました)。歌わせてみると、案外しっかりとした日本語で歌ってくれて面白いので、簡単に紹介してみたいと思います。
12月18日にリリースされたスペインのVOCALOID、MAIKA

海外版のVOCALOIDについて、私もなんとなく知ってはいたものの、これまでほとんど使ったことはありませんでした。ところが、先日、Twitterでよくやりとりしている、だいすけP(@Daisuke_P) さんから「新しく出たスペインのボカロ、MAIKAに日本語を歌わせた動画を公開しました。開発元のVoctro Labsが日本のDTMユーザー向けに使ってもらいたいと本気で考えているようなので、よかったらスペインにコンタクトをとってもらえませんか?」というメールをいただいたのです。

スペイン語で歌わせたMAIKAの歌声はこんな感じ

さっそく、だいすけPさんのデモを見てみると、確かに少し外国語訛りがある感じはしますが、キレイな日本語で歌っています。状況がよく分からないながら、スペインのVoctro LabsのJordi Bonadaさんという方に英語でメールをしてみたところ、プロモーション用ということで、MAIKAをいただけてしまいました。Windows版だけでなく、ちゃんとMac版もあるハイブリッドになっているんですね。

だいすけPさんがMAIKAに日本語で歌わせたでデモビデオ

MAIKAという名前、日本的にも違和感がありませんが、これはスペインの人の名前なんでしょうか……!? キャラクタも、日本のボカロ風だな、と思ったら、Noriko Hayashiさんという方のデザインだったんですね。しっかりと日本語のインフォメーションサイトもできており、89ユーロでダウンロード購入ができるようです。さらに、日本のVOCALOID Storeでも13,600円でダウンロード購入できるようになっていました。

インストール自体は、ほかのVOCALOIDとまったく変わらない

さっそくインストールしてみると……、基本的には日本のVOCALOIDと同様に、普通にインストールできるし、発音してくれるのですが、当然といえば当然なのでしょうが、ひらがな、カタカナで入力しても受け付けてくれません。

まずは日本のVOCALOIDで歌詞を入力してから歌手をMAIKAに変更する

では、どうすればいいのか?まずは初音ミクV3でも、結月ゆかりでも、VY1でもいいので日本のVOCALOIDで歌詞を入力し、これらのVOCALOIDで歌わせてみます。この状態で歌手をMAIKAに切り替えてみると……、音が飛び飛びの歯抜けな感じで歌ってくれるようにはなります。

JobPluginの「Jpn2Maika」をVOCALOID Editorに組み込んで実行

というのは日本語にあって、スペイン語にない発音があるので、そこが抜けてしまうからなんです。そこでVoctro Labsによって開発されたのが、ない発音を、似た発音に置き換えることができるJobPlugin「Jpn2Maika」です。これは、無料でダウンロードできるようになっており、それをVOCALOID Editorに組み込んで、実行すればいいだけ。

JobPlugin実行前

JobPlugin実行後

これによって、歯抜けがなくなり、すべての歌詞を歌ってくれるようになりました。VOCALOID Editor for Cubaseでも試してみましたが、こちらでも問題なく使うことができますね。
VOCALOID Editor for Cubaseでもバッチリ動作してくれる

ところで、紹介してくれた、だいすけPさんもVoctro Labsの関係者なのかな?と思い、先日Skypeで少しお話を聞かせてもらいました。

Voctro LabsのWebサイト上に公開されている英語とスペイン語の発音記号対比表

結論からいうと、だいすけPさん自身も、突然、Voctro Labsから声をかけられ、面白いからデモビデオを作成しただけで、それまでは何の付き合いもない会社なんだとか……「何で自分に声がかかったのか、とっても不思議です」と言っていましたが、「英語版のVOCALOIDに日本語を歌わせると、籠り気味になりますが、MAIKAは意外と日本語チックで上手に歌ってくれますね」とのこと。確かに、違和感はあまりないですよね。

ただ、この自動変換だと、微妙にスッキリしない部分がところどころあるんです。たとえば小文字のoを大文字のOに置き換えると、より上手に歌ってくれるなど、微調整すると、より上手になる部分はありますが、結構使えそうですね」とだいすけPさん。

【関連サイト】
MAIKA製品紹介ページ(日本語)
VOCALOID Storeの販売ページ
Voctro Labsトップページ
だいすけP Official Web

だいすけPのつぶやき(ブログ)

Commentsこの記事についたコメント

4件のコメント
  • Teta-rePi

    このプラグインはBrunoやClaraには使えたりしますかね〜?
    以前にもSpanish to Japaneseプラグインみたいのがあったのですが
    一度適用してから修正するとおかしくなったりして
    結局vsqxごとぶっ壊れたことがあります。

    2013年12月31日 5:05 PM
  • 藤本健

    Teta-rePiさん
    こんにちは。たぶん、そこそこ使えると思いますが、これはMAIKAに最適化されているようなので、
    BrunoやClara用には、専用のJobPluginがあるので、それを使うほうがいいですね。
    とりあえず、適用してから、少し修正してみましたが(日本語を使うと厳しいかもしれない…)
    とくに大きな問題はおこりませんでしたよ。

    2013年12月31日 9:28 PM
  • SOLORQUESTA

    あくまで想像なんですが、日本語をスペイン語エディタの書式に文字変換してスペイン語エディタで入力したほうが、より自然な歌い方をしてくれそうな気がします。

    2014年1月1日 12:03 AM
  • 藤本健

    SOLORUESTAさん
    私、JobPluginのスクリプト言語であるLUAを使ったことがないので、しっかりとはわかりませんが、このJobPluginは、まさにそれをやっているものだと思いますよ。つまり、日本語をスペイン語の書式に文字変換するためのツールという意味です。
    たとえば、
    「 mapping[“4”] = “r” — (should be approximately same, spanish voice banks use /r/ for x-sampa /4/」
    という1行で「4」を「r」に変換しているわけですね。
    先にテキスト変換してから行うよりも、このJobPluginを使ったほうが効率がいいということですね。

    2014年1月1日 10:25 PM

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