「インド系のサウンドを取り入れたい」、「オーケストラサウンドを利用したい」、「ミニマルテクノっぽい音が欲しいんだけど」……自分の曲作りにおいて、そんな必要性が生じたとき、みなさんはどうしていますか?それに対応した新たなソフトシンセを入手するというのも手ですが、なかなかそうした目的にマッチした音源ってないですよね?
また、1音色のために新たなソフトシンセを買っていては予算的にも厳しいと思います。でも、多くのソフトシンセの場合、サンプリング音源を採用しているのだから、サンプル素材を入手してしまうのが近道だし、合理的。またサンプル素材を直接トラックに張り付けてしまうというのも簡単で効果的な手段です。そうしたサンプリング素材を探す上で、もっとも充実していると思われるサイト、SONICWIREについて紹介してみたいと思います。
SONICWIREのトップページ。ここにはサンプリング素材のほかにもソフトシンセ、BGM、効果音などがある
SONICWIREは、あのクリプトン・フューチャー・メディアが運営しているサウンド素材・効果音・BGMのダウンロード販売サイト。「初音ミクの会社が、新規事業として、そんなことをしているのか……」なんて思う方もいるかもしれませんが、実はクリプトン・フューチャー・メディアって、もともとサンプリングCDなどの輸入販売を行ってきた会社であり、サンプリング素材のビジネスは、同社の中核的存在でもあるんですよ。
SONICWIREにある素材を使いAbleton Liveを利用してのトラックメイク手順を紹介する例
調べてみたところダウンロード販売サイトである、このSONICWIREがスタートしたのは2007年11月29日だったので、初音ミク販売のスタートの少し後ではあったわけですが、それでも約6年の実績を持つサイトなんですね。
私も前からその存在は知っていたものの、実は実際に購入した経験はありませんでした。そんな中、先日「VSTi型のボカロエディタ、Piapro StudioがバージョンUPだ!」の記事の件で、クリプトン・フューチャー・メディアに電話で問い合わせをした際、「もうすぐ、SONICWIREのサンプルパックの配信数が5,000タイトルを超すんですよ」という話を聞いて、驚いたのです。
確かに、クリプトン・フューチャー・メディアから月に2、3回届くニュースレター「Media Pharge NL」を見ていると、毎回新しいサンプルパック(数多くのサンプリング素材をパックにした商品)が追加されているようでしたが、毎週40~50本ずつタイトルを増やしてきた結果、ついに5,000タイトルにもなっていたんですね。
SamplePackを選択してみると、数多くの新作タイトルになっている
改めてアクセスしてみると、その充実具合にはちょっと圧倒されるほど。まずSONICWIREのトップ画面からSamplePackを選ぶと最新のサンプル素材がいろいろと表示されるわけですが、画面左側にはジャンル、メーカー、フォーマットといったものが表示されています。たとえばジャンルを見ると、Electro House、Trance……Jazz、Rock、Ethnicといろいろ。またフォーマットとしてはWAV、AIFF、MIDI、SYLENTH1、MASSIVEなど。ほかにもREX2、HALion、BATTERY、SoundFont……といろいろなフォーマットが用意されていますよ。
Electro Houseを選択すると1,000近いタイトルが…
たとえばElectro Houseを選択すると、1,000近いタイトルが並んでくるわけですが、ここで「目的別製品一覧」を選ぶと「SYLENTH1 PATCHを収録したタイトル」、「VOICE / CHORUS SAMPLEを収録したタイトル」、「KONTAKT PATCH & SAMPLEを収録したタイトル」…といった具合に表示されるので、自分のツールとマッチしたものを探しやすくなります。
とはいえ、もっとも肝心なのは、自分の欲しい音があるのか、という点。これについては、それぞれのタイトルをクリックすると、概要が表示されるのと同時に、そのサンプル素材でできたデモ曲を何曲か聴くことができるようになっているほか、購入するサンプルパックに入っているファイルがすべて表示されていて、確認できるというのも面白いところ。CD-ROMのジャケットだけを見てサンプル素材を”賭けで”買うのと比較して、確信を持って選択できますからね。
サンプルパック内にあるファイル構成・フォルダ構成がすべて確認できる
実際どんなサンプル素材が売れているのか、SONICWIREを担当しているクリプトン・フューチャー・メディアの田名部茂さんに聞いてみたところ「ユーザー層も広いので多種多様なのですが、コンスタントに売れているものの一つが、楽器ではなくボーカルのシャウト系を集めたSM101 – VOCAL SHOUTSというものですね。トラックの味付けであったり、ラップの合いの手などとして活用されています。また、Sample Magicのダンス系SFXサウンド集、SM33 ULTIMATE FX 2というものもよく出ています」とのこと。
SAMPLEPHONICS 909 RHYTHM COMPOSERをKONTAKTに読み込ませたときの画面
また「WAVファイルが基本ではあるのですが、SAMPLEPHONICS 909 RHYTHM COMPOSERのようにWAVだけでなく、KONTAKT用やEXS24用、またAbleton LiveのAbleton SamplerやReasonのNN-XT用など特定のサンプラーのフォーマット版も収録されているといったものもあり、サンプラーユーザーには便利に利用することができますよ」と田名部さん。「とくにKONTAKT用に関しては、専用のGUIが設けられた音源が多いので、まさに専用のソフトシンセという感覚で使うことができますよ」とのこと。
同じくSONICWIREを担当する江川大樹さんは「和楽器ライブラリであるKOTO NATIONというのもずっと売れていますよ。専用のGUIはないけれど、マルチサンプルのKONTAKT2フォーマットとなっています」とのこと。
KOTO NATIONのプロモーションビデオ
「KONTAKTフォーマットのほかにも、最近だと同じくNative InsturmentsのMASSIVE用のプリセットがよく出ています。たとえばMASSIVE DUBSTEP BIBLEなどもヒットしていますね」(田名部さん)
なるほど、手持ちのサンプラーに読み込ませて使う場合、WAVだとキーレンジを広くとれないし、セッティングも多少面倒だったりしますが、専用フォーマットで提供されていれば、非常に使いやすそうです。ちなみに、画面右上の虫眼鏡のアイコンをクリックすればフリーワードで検索可能なので、試してみるといいですよ。
ところで、ちょっと気になるのが価格です。SONICWIREで扱われているサンプリング素材の大半は海外製品のようですが、マニュアルも不要な製品だけに、わざわざ国内代理店を通さずに現地から直接買ったほうが安いのでは…なんてちょっぴり思ったりします。この点について、田名部さんに単刀直入に伺ってみました。
税込価格の右に現地定価としてイギリスポンドでの値段が表記されている
「各表示のところを見ると”税込価格3,360円(現地定価:24.95GBP)といった表記があると思います。このように海外で買う場合の価格も参考までに載せていますが、現在のレートで計算してもらえれば分かる通り、ほぼ同じ価格で販売しているんですよ」とのこと。なるほど、それなら心配はなさそうです。
「現在50強のメーカーから仕入れていますが、その多くがアメリカとイギリスです。そして、今回SONICWIREのタイトル数が5,000を超えた記念キャンペーンをしたい旨、各社にお願いした結果、大半の製品をしばらく20~30%引きで販売できることになったのです。しかも、500円引きのクーポンも利用できますから、買うなら今がチャンスですよ」と田名部さんから宣伝の言葉も(笑)。
私もこの機会に目ぼしいものをいくつか買ってみようと思っていますが、誰でも利用可能なクーポン番号を以下に掲載しておきますので、よかったら利用してみてください。
【SONICWIREのクーポン】
クーポンコード:ZZPB6F3D (有効期限: 2013年9月16日 23:59:59まで)
※1,000円以上の商品を購入する際に有効となります。