最近、会う人、会う人に言われるのが「AndroidでのDTMの話しを記事にして!」ということ。半年ほど前、CreativeのZiiO 7の話を記事にしたことがありましたが、当時はほとんどまともなDTMアプリケーションもなく、まだ実用に耐えうるものではないという感じでした。
ところが、その後状況は結構変化してきていたんですね。先日知人から「MilkyTrackerがAndroidで使えるぞ」という話を教えてもらい実際に試してみたのですが、その完成度の凄さにちょっとビックリ。今回は、このAndroid版のMilkyTrackerについて紹介してみましょう。
Androidで動く強力なシーケンサ、MilkyTracker
以前、ZiiO 7を使った際、AndroidのOSが2.1だったからでしょうか……、いろいろな面で物足りなさを感じていました。ある程度、まともにAndroidを使うには2.2以上のOSのデバイスを見つけなくては……何かいいのないかな、と思ったまま放置していました。そもそもこれ以上キャリアとの契約をしたくなかったので、WiFiだけで使える安くていいデバイスをなんとなく探していたのです。
が、ZiiO 7、その後2.2のアップデータが公開されていたんですね。せっかくマシンが手元にあるので、改めてこれを引っ張り出して2.2にアップデートすることから始めました。何かが劇的に変わったという感じはないし、Android Marketにも相変わらず接続できないので、不便ではあるものの、そこそこ使えそうです。また知人の話によれば、「Androidはまさにアングラの世界。Android Marketなんて使わなくてもいくらでもアプリはあるし、かえってAndroid Marketにないアプリのほうが面白いものがいっぱいだ」とのことだったので、とりあえずZiiO 7を引き続き使ってみることにしたのです。
MilkyTrackerもAndroid Marketを使わずにインストールできた
そこで試してみたのが、Android Marketを介さずに入手できる「MilkyTracker」というオープンソースのシーケンサです。私も名前だけはだいぶ以前から知っていたものの、実際には使ったことがありませんでした。オープンソースであるだけにWindowsやMacはもちろん、UbuntuなどのLinuxでも使えるなど、さまざまなプラットフォームで利用できるものです。
シーケンサといっても、音源機能まで備えたシーケンサ。音源はサンプリングデータ=wavファイルが自在に使えるほか、サイン波、矩形波、ノコゴリ波などの基本波形から自分でフリーに書いた波形が扱えるなど非常に自由度が高い設計です。これをステップエディタを用いて打ち込んでコントロールしていくのです。
Windows版のMilkyTracker。かなりマニアックで面白いソフトだ
先にWindowsで使ってみたところ、かなりマニアックなもので、最初どう使うのか戸惑いましたが、分かってくるとかなり面白くてハマります!もっとも、私自身まだそのいっぱいある機能のごく一部しか使えていないのですが……。で、そのAndroid版をダウンロードしZiiO 7で起動させてみました。
画面を見てビックリ。Windows版と同じなんですよね、できることも。確かに画面サイズの関係もあってレイアウトは少し違います。また厳密にいうと、バージョンの差が影響しているのか、機能に違うところもありますが、基本的には同じことのできる同じコンセプトのアプリです。
何よりもすごいと思ったのがデータの互換性です。Windows用のデータをMicroSDカード経由でZiiO 7に渡してAndroid版MilkyTrackerで読み込ませたところ、完全な再現性があるのです。シーケンスデータはもちろん、音源部分も含めて。もちろん反対にAndroidで作ったデータをWindowsで読み込ませることもできました。今回試していませんが、Mac版でもLinux版でも同じ互換性があるようです。
Windows版で保存したデータを読み込み、波形も含めそのまま利用できた
またAndroid版も音源のサンプリングデータとしてwavファイルを読み込めるようになっていました。そのため手元にあるワンショットのサンプリングデータなどをそのまま活用することができ、それをエディットしていくことも可能です。昔からPCでのサウンドを扱っている方ならお気づきかもしれませんが、MODの考え方に則ったシーケンサなんですよね(個人的には当時はMODにあまり興味がなく、あまり触れずに来たのですが、今改めて触るとなかなか面白いので、今度記事にしてみようと思っています)。
波形はwavファイルを読み込むことも、自分の手で描くこともできるし、ループポイントなどの設定もできる
そうして作った音を画面上の鍵盤で演奏させることもできるし、RECボタンをタップし、演奏内容をシーケンサに記録させていくこともできます。さすがに、レイテンシーがある程度あるので(感覚的には100msecくらいでしょうか…)弾きづらい面はありましたが、打ち込み用と考えれば十分すぎる性能です。また基本的にはモノフォニックの音源で和音を弾くことはできませんが、複数のトラックを使うことで和音を作り出すことはできます。
もちろん、データの互換性があるので、すべてをAndroidで作業する必要はなく、自宅ではWindowsやMacを、外出先ではAndroidを利用するといった使い分けも可能でしょう。
ほかにもAndroid版の楽器やシーケンサなどDTM系アプリが続々と登場してきているようなので、今後も時々紹介していこうと思います。