テクノ系サウンド好きな人で、昔からDTMをしている人ならPropellerheadのデビュー作、ReBirth RB-338を知らない人はいないでしょう。RolandのベースマシンのTR-303を2台とドラムマシンのTR-808とTR-909を組み合わせて、同期できるようするとともに、さまざまな機能を追加したというすごいソフトです。
以前、そのiPhone版が出たので、さっそく購入して試したところ、あまりにもボロイ操作性にガッカリしたという話を書きました。その後、ReBirthのiPad版が出たのは知っていましたが、iPhoneがひどかっただけに、興味も持ちませんでした。が、年末にTwitter上で、「パソコン版より使いやすい」という話を聞き、試してみました。
実は雲泥の差があったiPhone版とiPad版のReBirth
価格的にはiPhone版が800円であるのに対して、iPad版は1,700円と倍以上。それでいて機能そのものとしては、基本的に同じであるため、「そんなもん、別々に販売せずにユニバーサルアプリにしろよ!」というのが正直な思いではあることは確かです。ただ、この2つのバージョンには大きな違いがありました。
そう、一言でいってiPad版はいい!PC版をご存知の方であれば、PC版の機能すべてを再現した上で、より使いやすくなったものといっても過言ではないですね。でも、「iPhone版とiPad版の機能が同じなのに、その評価の違いは何?」と不思議に思われる方もいるでしょう。その違いの最大のポイント、それはマルチタッチに対応した、というに尽きます。
iPhone版はPC版をそのまま移植したため、マウス操作と同様にシングルタッチしか対応しておらず、iPhone、iPad用のアプリとしてみたとき、あまりにも使い勝手が悪かったのです。iPadで使えば画面を大きくできて多少見やすくはなったのですが、画面表示位置を移動させるだけでも、一苦労するほど使いにくさで、辟易としました。
が、iPad版では、そうした問題はすべて解決されるとともに、全画面表示もできます。そしてマルチタッチに対応したため、複数個所を同時に動かせるわけです。これはPC版でもできなかったことですから、大きな進歩といえますね。たとえば、CutoffとResonanceをいっしょに動かすといったことができるわけですから。
MODを使って画面デザインや音色を変えられる
MODを使って画面のデザインを変えるとともに、音源の音色を変化させることもできます。デフォルトで7種類のMODが収録されているので、これだけでもいろいろと楽しめると思います。
また、PATTEN EDIT機能ではTR-303やTR-808のリズムパターンやピッチなどをランダムに、また似たパターンを自動で生成することもできますから、これも結構便利に使えますよ。同じ機能がiPhone版にもありましたが、画面が広くなったぶん、断然使いやすくなっています。
そのほか、完成した曲をネットを介してメールやFacebookで公開できるというのもオリジナルのPC版にはなかった便利な機能のひとつ。「SHARE」というボタンをタップすると、URLが生成されるとともに、指定したメールアドレスに曲のそのURLが送られます。
とくに会員登録もなければ、料金も発生せずに曲を公開することができ、メールを受け取った人はブラウザ上で曲を再生したり、それをMP3化することもできるようになっています。
なお、オリジナルのPC版(Windows 3.1およびMac OS9用)は殿堂入りするとともに、現在無償で公開されています。CD-ROMイメージで配布するという、やや妙な形にはなっていますが、興味のある方はダウンロードしてみるといいでしょう。多少、手順を踏む必要がありますが、以前AllAboutで記事にしているので、参考にしてみてください。