iPad、iPhoneのOS、iOSの次期バージョンであるiOS 4.2が11月にもリリースされるといわれています。そのiOS 4.2で搭載されるといわれている新機能がCoreMIDI Frameworkのサポートです。
でも、このCoreMIDIっていったい何なのでしょうか?もともとMac OS XでサポートされたMIDI対応の機能なのですが、時間の変遷にともない、CoreMIDIという用語の意味合いが微妙に変化しているようにも感じます。そこで、現在でいうところのCoreMIDIとは何なのかを考えてみることにしましょう。
CoreMIDI対応のKORG nanoCONTROL、microKEY
CoreMIDIとは、もともと2002年にリリースされたMac OS X 10.2(Jaguar)でCoreAudioとともにサポートされたMIDIのドライバ機能です。Mac OS 9まではMIDIドライバが標準サポートされておらず、OMSやFreeMIDIというサードパーティによる仕組みで動かしていたものの、いろいろ不安定要因もありました。そのMIDIについてAppleが正式サポートして、使いやすくしたのがCoreMIDIというわけです。この辺の経緯については、以前、AllAboutの記事でまとめているので、そちらを参照してみてください。
また、Mac OS Xのバージョンアップにともない、CoreMIDI機能も強化され、LAN経由での接続なども可能となっていきましたが、これについてはDigital Audio Laboratoryの記事でまとめています。
このようにMac OS Xがサポートするドライバを含むMIDIの基本機能のことをもともと、CoreMIDIまたはCoreMIDI Frameworkと呼んでいました。もちろん、現在でもこの機能自体は何も変わっていないのですが、最近、単にCoreMIDIといった場合、ちょっと意味合いが違ってきたように思います。とくに、iPad、iPhoneで話題になるCoreMIDIは、どうも指しているところが違いそうです。そもそも、iOSではドライバを組み込むという概念がありませんから、CoreMIDI用のドライバがそのまま利用できるわけではないですよね。
では、今いうCoreMIDIとは何なのか?たぶん、これはGenericMIDI(ジェネリックMIDI)と呼ばれるものと同義なのではないかと思っています。まあ、GenericMIDIという言葉もまだあまり一般的ではないかもしれませんが、簡単にいってしまえば、USB接続によってドライバ不要で利用できるMIDIインターフェイスのことです。
現在多くのメーカーからMIDIインターフェイスが出ています。それはオーディオインターフェイスとセットとなったものや、USB-MIDIキーボードタイプのもの、単独のMIDIインターフェイスなどさまざま。そしてこれらをMacやWindowsで利用する際に、ドライバを組み込んで使うタイプのものと、ドライバ不要で接続すれば即使えるというものがあります。このうち後者をGenericMIDIと呼んでいるのです。
KORGの人気デバイス、nanoKEY、nanoCONTROL、nanoPADといったnanoシリーズや先日発売されたmicroKEYなどはすべてGenericMIDIで動作する製品だし、M-AuidoのKeystationシリーズもGenericMIDIです。ちなみにM-Audioでは、USBオーディオ製品でドライバ不要なものも含めて、クラスコンプライアントという呼び方をしています。
GenericMIDIならWindowsでもドライバ不要ですぐ使える
一方、RolandのUSB-MIDIキーボード、A-Proシリーズやそれ以前のPCRシリーズ、またMIDIインターフェイスのUM-1GなどのUMシリーズでは、基本的にドライバを組み込んで使う製品となっています。しかし、GenericMIDIモード(AdvancedモードOFF)を持っており、このようにすることで、ドライバ不要で使えるようになります。
このようなGenericMIDIはドライバが不要だからとても便利です。ただし、大量なMIDIデータが送られてきた場合に、処理しきれずにタイミングがズレる可能性があるという欠点もあります。そのため、WindowsやMacで複数のMIDIチャンネルで同時にデータをたくさん伝送する場合は、高速かつ安定したMIDI伝送を可能にするドライバを使うことをお勧めしますが、ちょっとキーボードを弾くといった場合であれば、GenericMIDIで十分でしょう。
まだ、詳細はわかりませんが、今後このGenericMIDIがiPad、iPhoneでサポートされるようなのです。その場合は、Camera Conection Kitなどを経由してUSB変換して使うということになると思いますが、現時点ではiPad専用のデバイスであるため、iPhoneやiPod touchで扱えるようになるのかは不明。またそのうち各メーカーが直接、iPadやiPhoneに接続できるデバイスを出してくる可能性もあります。
この辺については、また新OSが登場してきたら、試してみたいと思います。
コメント
iCoreMIDIと言う感じで別称が生まれると良いですね。
確かにMacOSの話とiOSの話は別なので、区分けしてくれたほうがわかりやすそうですよね。もうここまで広がっちゃうと遅い気もしますが。
藤本さん
こんばんは。いつも楽しく拝読しています。
一点質問させて下さい。
iPad Air * GarageBand で DAW をやりたいと考えています。
MIDI Keyboard はちょうど上の例にあります Roland (Cakewalk) A-Pro500 を使用しています。
これの USB モードをこの記事に記載の通り、AdvancedモードOFF にして Lightning USB Camera Adapter で繋ぎました。
で、ガレージバンドを起動したのですが、A-Pro を弾いても反応せず、、、
普通に iPad Air の画面をタッチするといつも通りピアノやドラムの音がします。。
(A-Pro への電源供給は iPad Air からの USB 供給です)
何がいけないのか、ご教示いただければありがたいです。
よろしくお願いします。
よしゆきさん
いま、私もまったく同じ環境で試してみました。
結果としては
デバイスを使用できません
A-PRO:接続されたデバイスは消費電力が大きすぎます
というメッセージが表示されて、使えません。これ、電源供給が足りないようですね。
これを解消するには電源供給可能なUSB-HUBを入れるしかないと思います。
A-PROの場合、そもそもiOSデバイスを意識して作った機材ではないので、
普通の使い方は難しいということのようですね…。
藤本さん
回答ありがとうございます! 感激です。
対処方法としては、ご教示いただいた電源供給可能な USB-HUB を入れる や、
(機動力落ちますが)普通に A-PRO に AC アダプターで電源を供給する といったところでしょうか。
他記事にありますような Roland DUO-CAPTURE EX 的なインターフェイスを使うような方法でもイケるのかお分かりになれば教えていただければ嬉しいです。
自分で試せる方法で試行錯誤してみたいと思います。
ありがとうございます♬
よしゆきさん
お返事が遅くなって大変失礼しました。
そうですね、DUO CAPTURE EXなどを使えばもちろん使えます。
ただ、その場合、A-PRO側にはACアダプターをつける必要があり、ますます機動性が落ちるのが難しいところではありますね…。
藤本さん。こんばんは。
ご報告です。
A-PRO500 にAC アダプターを繋ぎ、無事 iPad の GarageBand と連携させることが出来ました♬
アドバイス、ありがとうございました!!