iPad最強のソフトシンセとして先日紹介した、bs-16i。AppStoreのトップページに「ニューリリース」として紹介されていることもあり、2010年9月27日のiPadの「ミュージック」カテゴリのトップチャートで5位にランキング。順調な滑り出しのようです。
そのミュージックカテゴリ、1位はFingerPiano for iPad、2位がお馴染みKORG iELECTRIBEとなっていますが、このいずれも国産ソフト。bs-16iと合わせてるとベスト5のうち3本が国産という、なかなか頼もしい状況になっています。
で、実はそのbs-16iの作者であるbismarkさんに、先日お会いしてちょっとインタビューをしてきたのですが、実は驚きがいっぱいだったので、紹介してみましょう。
そもそも私がbs-16iを知ったのは、bismarkさんが8月21日にTwitterでの「bs-16iというアプリを申請しました。bs-16のアプリ版となります。LINE 6 MIDI Mobilizerに対応してます。 http://bit.ly/dxv8jz」とつぶやいたのがきっかけでした。私がTwitterをはじめてばかりのころにフォローしてくれたので、何の気なしにフォロー返しをしていたため、タイムラインに流れてきたのです。
このURLにしたがってbs-16iの概要を知るとともに、YouTubeの画像を見て、そのすごさにビックリしました。こんなアプリを作る日本人がいるんだ…って。しかも、KORGとかRoland、YAMAHAといったメーカーではなく、個人でここまで完成度の高いシンセを作っているのは驚きでした。ちょうど、私がLINE6のMIDI Mobilizerを使って、いろいろ遊んでいたこともあり、MIDI Mobilizer対応であるというのも、非常に興味を持ったポイントでした。
そこで、すぐにTwitterのDirectMessage機能を使って、bismarkさんに取材の申し込みをしたのです。しばらくしてDMの返信があったのですが、その内容を見て唖然としました。そう、彼は知り合いだったのです。大学のサークルの後輩であり、同じ工学部電子情報工学科の3学年下の後輩。そんな偶然があるのかとビックリしました。
bismarkさんのアイコンとなっている犬の写真
本人の希望で、名前は伏せておきたいとのことなので、あえてbismarkさんとしておきますが、彼には3年ほど前に一度まったく別件の取材で会ったことがありました。とあるソフトハウスへの取材でのことです。取材時には、全然気づいていなかったのですが、終了後に「藤本さん、大学時代にヘビメタのドラム叩いてましたよね……」と言われて驚いた記憶があります。20年ぶりくらいの再開だったのですが、彼がギターを弾いていた姿を思い出しました。
そう、そのサークルというのは、弱小でゆる~い「けいおん!!」サークル(ランリーズという名称でした)。大学には、もっと気合の入った軽音楽部とかロック研、ジャズ研などがいっぱいありましたが、そんなところについていけない人が集まる、ゆる~いサークルだったのです。
ちなみに、今年設立されたLINE6 JapanでMIDI Mobilizerなどのマーケティングを担当しているのは、その気合の入ったロック研にいた少し上の先輩で、元キーボードマガジン編集長。とっても小さな世界で世の中が回っているような気がしてきました。
私自身、まだTwitterをはじめて半年。これまで顔見知りでないTwitter上の人に直接取材申し込みをした経験はなかったのですが、初めてトライしたら後輩だったわけですね。
久しぶりに再開し、1時間ほど話をしたのですが、改めてbismarkさんの実力がいっぱい伝わってきました。私と違って、しっかり大学院の修士に進んでDSPなどの勉強をした後に、大手オーディオメーカーに就職。そこで業務用の機材としてMIDI周りの開発・設計をしていたとのことなので、まさにプロですよね。
そのメーカーからスピンアウトした人たちで立ち上げたソフトハウスにbismarkさんも合流し、現在は音楽系の業務用ソフトを開発しているのが本職とのこと。その一方で、趣味でこのbs-16iや、その前身となるVST/AUのプラグインなどを開発しているそうです。
ただ、仕事が忙しいので、趣味のアプリを開発する時間はなかなか作れないとのこと。今回は夏休みにちょっとまとまった時間があったので、そこで一気にbs-16iを作り上げたそうです。
会社の夏休みに一気に作ったというbs-16i
私自身は、その前身となったプラグインのbs-16などの存在も知らなかったのですが、後で調べてみたら結構有名なソフトだったんですね。また、iPhone用のアプリもこれまで何本か出しているのですが、一番売れているのは「bs-spectrum」というスペクトラムアナライザだそうです。
これだけの実力があるなら、この仕事1本に絞って独立してみては……と差し向けたのですが、今までこれらのソフトで稼げたのは、お小遣いにもならない程度だから、生活するなんてまったく不可能…というお返事。ただ、いつかそんなことができれば、という希望は持っているようでした。
本業が忙しく、家族サービスもしなくてはならないことを考えると、次の製品=作品!?がいつ登場するのかは分かりませんが、次回作に期待しつつ、今後も応援していきたいなと思っているところです。