Roland新オーディオインターフェイス、OCTA-CAPTUREファーストインプレッション

EDIROL、Cakewalkブランドを廃してRolandブランドとして発売されることになった新オーディオインターフェイス、OCTA-CAPUTRE。発売より一足先にローランドから製品をお借りすることができたので、さっそく試してみました。

1Uの高さで19インチラックの約2/3という横幅のOCTA-CAPUTUREは、UA-101の後継という位置づけのUSBオーディオインターフェイス。10IN/10OUTという点では同じですが、デザイン、形だけでなく機能、性能も大幅に変更された、まったく新しいオーディオインターフェイスになっています。

Rolandブランドとして登場したUSBオーディオインターフェイス、OCTA-CAPUTRE


OCTA-CAPTUREという名称にも現れているとおり、最大の特徴は8つのコンボジャックの入力を持ち、そのすべてにマイクプリを内蔵していること。とりあえず、手元にあったコンデンサマイクを接続して音を入力してみたところ、確かにクリアでキレイな音がモニターされます。

フロントに2つ、リアに6つのコンボジャックでの入力がある

通常なら、このマイク入力ゲインを手で調整するところですが、面白いのはそのゲイン調整を自動で行ってくれること。といっても、いわゆるAGC(自動ゲインコントロール)とはまったく違う機能で「AUTO-SENS」というものです。これ、リニアPCMレコーダーのR-05のリハーサル機能と同じだといえば、お分かりになるでしょうか?そう、先にリハーサルとして音をマイクや楽器などから入力することで、その音量からゲインをうまく調整してくれるのです。それによって自動設定したら、AGCのようにその後は動かないので、とっても便利。操作は、調整するチャンネルを選択した後、液晶左側にあるノブがボタンになっているので、そこを1回押して準備段階、2回目押して、調整スタート、3回目押して調整終了と、たったそれだけ。もちろん、必要に応じてその後の微調整を手動で行うこともできるので、かなり使えます。

ドライバの画面側も大きく変わっています。8つの入力に対する調整が細かくできるようになっており、レベルだけでなく、ファンタム電源、Hi-Z、位相、ローカットのオン/オフのほか、全チャンネルに独立した形でコンプが搭載されているんです。それぞれパラメータも細かく調整できるため、マイクプリを含め、かなり強力なツールとして使えます。
8つのマイク入力に対して細かく設定ができる

一方、出力に関しては、A~Dまで別々ミックスでの出力が可能になっています。OCTA-CAPUTREに入ってくる音10ch(アナログ10ch+デジタル2ch)とPC側からの10ch分をそれぞれバランスをとって出力できるので、ライブなどの使用で、別々のミックスでモニター返しする場合などに便利に使えそうです。

4つ別々のミックスでの出力ができる

これはまさにミキサー機能なわけですが、実はUSBを切り離してOCTA-CAPTUREだけの電源を入れるとマイクプリ内蔵ミキサーとして機能してくれるのも大きなポイント。この場合、PC側でミックスレベル調整などはできなくなりますが、あらかじめPCで設定しておけば、一度電源を切っても覚えてくれています。また、こうした調整は、すべて本体側でもできるようになっています。さすがに小さな液晶で操作するのは面倒で、あまりやる気にはなりませんが、いざとなればできるというのも心強いところです。

実際、PCのサウンドを再生して、モニターヘッドフォンで聴いてみたところ、かなりの高音質。UA-101よりも進化したことは十分実感できます。細かな音質チェックおよび、OCTA-CAPTUREのもうひとつの特長として打ち出している低レイテンシーという部分については改めて実験した上で、AV WatchのDigital Audio Laboratoryにて紹介していく予定です。

【関連情報】
OCTA-CAPTURE製品情報

Commentsこの記事についたコメント

4件のコメント
  • 河上

    初めまして、今週のDigital Audio Laboratory読ませていただきました。
    今回取り上げられたOCTA-CAPTUREは個人的にも非常に興味のある製品だったので大変参考になりました。
    さて、今回わざわざコメント差し上げたのは、記事の中に一つ気になった部分があったからです。
    記事中に『製品名も「UA」を冠さない従来にないものへと変えたわけだ』とありますが、Roland社のサイトを見る限り本製品には「UA-1010」の型番が付いていますので(バックパネルにも表記があるようです)、この記述ではやや語弊があるのではないかと思いました。
    一応、気になりましたので指摘させていただきました。
    失礼しました。

    2010年10月4日 9:28 PM
  • 藤本健

    河上さま
    こんにちは。コメントありがとうござます。
    おっしゃるとおり、型番にUA-1010とはあるものの、製品名としては「OctaCapture」と大きく変えたので、記事でこのようにしていました。

    2010年12月23日 3:13 PM
  • kenken

    いつも拝見しています。
    少し、長文になりますが、
    先日、OCTA-CAPTUREを購入して、使いはじめました。
    録音中あるいはモニター中にSENSつまみを操作してゲインを調整するとプツプツとノイズが入る事に気がつかれましたでしょうか?よく読むと取扱説明書の37ページの入力感度の調整の部分に「※[SENS]つまみを回している時にパチパチと音が鳴ることがありますが故障ではありません。」と記述があります。もっちろん、ゲインは事前に調整しておくのですが、ライブの1発取りのような場合、どうしても途中で調整せざるをえない場合もあります。今までローランドのオーディオインターフェースを使ってきましたが、SENSの調整でノイズがのる製品は初めてです。これは、説明書の片隅に書くだけではまずいだろうと思い、ローランドに問い合わせした回答が「オートセンス機能を実現するためにデジタルゲインを採用したため、入力感度調整は連続可変ではなく、不連続に切り替える仕様した結果、音声入力時に感度を切り替えた場合は、ノイズが混入します。」というような意味の回答でした。様々な製品に詳しい藤本様は、この仕様をどのように思われますでしょうか?個人的にはオートセンスと引き換えにノイズを取ったのであれば、もっとオープンにノイズが発生することを広報すべきだとローランドファンの私は思います。

    2011年2月17日 2:15 AM
  • 藤本健

    すみません。
    私、オートセンスって便利!!とそればかり使っていたので手動で入力感度調整した際のノイズにはまったく気づきませんでした。確かに、それは大きな問題ですね。私もそこは記事で載せておくべき内容でした。
    確かに使っていてレベル調整したくなることはよくありますからね。ただレコーディングの際はアナログ機材であってもガリノイズの発生を避けるため、レベル調整は途中でしないようにしています。もちろん、人によって使い方はいろいろですけれど…。
    今度、Rolandの担当者に会ったら、しっかり伝えておきます。

    2011年2月18日 9:27 AM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です