8月13日、コミケ会場から発信されたTwitterで、「サンリオがボカロを出すらしい」、「キャラクタはKEIさんによるものだ」といったものがありました。ちょうど、その日、コミケ会場がオープンしたのは、VOCALOID STOREでヤマハ純正のボーカロイド、VY1の予約受付を開始したのと近い時刻だったこともあり、さまざまな情報が錯綜した感じでした。
そのTwitterを追いかけていると、サンリオのボカロにはAHSも絡んでいるとのことで、AHSからも、いくつかのツイートがありました。そこで真相を確かめに、週明けの本日、AHSに話を聞きにいってきました。
ハローキティーといっしょ!×VOCALOID2
(ロゴ提供AHS)
私自身も状況がまったくつかめなかったので、一つ一つ話しを整理していきました。まずは、そのコミケで行われた緊急発表というのは、サンリオのブースで流れていたビデオ。以下にYouTubeの動画があるので、まずはこれを見てみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=YKY3YZWX930
(※2021.7.12現在、YouTube動画再生不可となっています)
詳しい説明もなければ、キャラクタも表示されていませんが、確かにこれまで聴いたことのないボカロサウンドが流れています。これが新製品というわけですが、別にサンリオが発売するわけでも、サンリオが開発したわけでもありません。「ボカロ小学生 歌愛ユキ」や「ボカロ先生 氷山キヨテル」などを出しているAHSが発売する製品なのです。
AHS代表取締役の尾形友秀氏によれば「たまたまヤマハさんのVY1の予約受付開始日と重なってしまいましたが、まったく関係ありません」とのこと。ある意味偶然のことだったようです。
でも、なんでサンリオで?という疑問があるのですが、これに対しては「今年はキティちゃんの50周年ということで、サンリオさんもいろいろな企画をされているようです。そんな中、ボーカロイドと組んで何かできないだろうかという話が持ち上がり、1年前からいろいろ検討をしてきました」(尾形氏)。
実際、コミケのサンリオブースには「ハローキティといっしょ!」というプロジェクトとして、さまざまなイラストレーターがキティちゃんといっしょにいるキャラクタを描いたものが展示されていました。そして、そのひとつにKEIさんが描いた「リオ」というキャラクタもあったため、KEIさんのキャラクタのボーカロイドが登場する、という噂が出てきたようです。
KEIさんといえば、初音ミクをはじめとするクリプトン・フューチャーメディアでCVシリーズのキャラクタを描いている人。つい先日はインターネットが近く発売するボーカロイド「Lily」のキャラクタも描いたということで、いろいろな意味で話題になっていました。ここにさらにAHSが加わるとしたら、かなり複雑なことになりそうですが……。
これについて尾形氏は「さまざまな理由から、まだ新ボーカロイドがどんなキャラクタになるのかはオープンにしていません。が、KEIさんではないですよ。同じ会場にKEIさんのイラストがあったのも偶然です」とKEIさん説は否定されました。もっとも、いろいろな裏事情はあったみたいですが……。
気になるのは正式な発表や発売時期。これについてはまだ確定していないものの、9月にはキャラクタも含めて発表され、10月に発売されるとのことです。
「声を聴いてもらうとわかりますが、従来のボーカロイドとは少し違う雰囲気であることがわかると思います。もともとヤマハさんに教えてもらった方法で、レコーディング、編集をしてきましたが、うちでもノウハウが溜まってきたため、独自色を強めようと、さまざまなチャレンジをしてみました」と尾形氏は話します。
詳細は企業機密ということで教えてもらえませんでしたが、とりあえず録った声で、まずターゲットとする曲を歌わせてみる。その中で、納得いかない部分を録り直して……という作業を繰り返しているので、後工程も含めるとかなり時間がかかっているそうです。また従来のボーカロイド製品はいかに滑らかに歌うかを目指したものとなっていましが、この新製品は生々しい声で歌うことを目指したとのだとか。
まずは製品の発表を楽しみに待ちたいところです。