大きく機能向上した国産DAW、ABILITY 2.0 Pro
名称からも分かると思いますが、ABILITY 2.0 ProはABILITY Proの後継、ABILITY 2.0 ElementsはABILITY の後継という位置づけであり、従来通りWindows専用(Windows 7、8/8.1、10をサポート)で、64bit、32bit環境それぞれネイティブで動作するDAWとなっています。
これまでも海外勢のDAWと切磋琢磨しながら進化してきたABILITYなので、思いつく機能は、すでにほぼ網羅していたわけですが、今回また面白い機能がいっぱい搭載されてきました。そのDAWとしての機能自体はProもElementsも基本的に同じであり、主な違いは以下の表のとおり。
Pro | Elements | |
ミキサー | ||
AUDIOトラックのRecエフェクト | ○ | - |
INSERTION EFFECT | Pre/Post×各8 | Pre×各8 |
同時使用可能なVSTi数 | 64 | 16 |
収録VSTエフェクト | ||
Sonnox EQ / LIMITER / REVERB | ○ | × |
Sonnox De-Buzzer / De-Clicker / De-Noiser | ○ | × |
Guitar Rig 5 Player( KOMPLETE ELEMENTS) | ○ | × |
8BAND EQ / IR REVERB / LINEAR PHASE EQ | ○ | × |
MULTIBAND DELAY / MODULATION DELAY | ○ | × |
LINEAR PHASE MULTIBAND COMP / VST Rack | ○ | × |
F-REX / Vocoder / Vocoder SC / Loudness Meter | ○ | × |
収録VSTインストゥルメント | ||
BFD Eco / Grand Piano Model D | ○ | × |
Kontakt 5 Player(KOMPLETE ELEMENTS) | ○ | × |
Reaktor 5 Player (KOMPLETE ELEMENTS) | ○ | × |
LinPlug SPECTRAL / CrX4 / RMV / Saxlab2 | ○ | × |
しかも最大24bit/192kHzまでのオーディオフォーマットをサポートするとともに、その処理スピードも64bit環境、32bit環境(混乱しそうですが、ここでいう64bit/32bitは先ほどのFLOATの話とは無関係で、OSやCPU処理の話ですね)で最適化が図られ、高速化しています。
では機能のほうはというと、新たに追加されたのがステップシーケンサ。EDM系の楽曲を作る上で重要ということで、DAWへの搭載も増えてきているステップシーケンサがABILITYにも搭載されました。基本的には16ステップのシーケンサだから、ステップのボタンをクリックしていくだけで、簡単にリズムやシーケンスパターンを作っていくことが可能です。最小32音符の細かな音符入力も可能になっており、各ステップごとにGate TimeやDeviation、Velocityの設定も可能。そうして、作ったパターンはソングに入力してループ素材として利用できるなど、非常にスピーディーな制作が可能になっているのは嬉しいところです。
ステップシーケンサでパターンを作るだけでなく、録音したオーディオデータもループ素材として活用可能にするアシッダイズ機能が搭載されたのもABILITY 2.0の大きなポイントです。リズムでもベースでも、ピアノでも、場合によってはボーカルでも、1小節分とか2小節分を切り出して、アシッダイズを行うと、ループ素材化されるので、テンポを変更してもそれに追随するし、キーを変更すれば、それに合わせて音程も自動的に変わるので、かなりいろいろと活用できそうですよ。
複数のエフェクトのチェインを1つのVSTのようにして管理できるVST FXラック
一方で複数のエフェクトを1つのエフェクトとして扱えるVST FXラックというものが搭載されました(Proのみ)。「まずコンプで潰した上で、ディレイをかけて、EQで調整して、コーラスをかける…」など自分で編み出したエフェクトチェインのワザを持っている人も少なくないと思いますが、最大8つまでのエフェクトをラックにマウントした状態で1つのエフェクトとして扱える機能が搭載されたのです。しかも各エフェクトは個別にオートメーション操作ができるなど、非常に融通が利く仕様となっています。
そのほかにもボーカルエディタへのビブラート機能の実装やMIDI編集機能の強化、自動バックアップ機能の搭載……とさまざまな機能強化がされているのですが、やはり目立つのはプラグイン部分の充実なので、この点についても見ていきましょう。
UVI Grand Piano Model Dもバンドルされる
実際の場所での音の響きを再現できるサンプリングリバーブ、IR Reverb
さて、ここで興味を持った方にお知らせしておきたいのが現行版のABILITYや旧製品となるSinger Song Writerなどからバージョンアップに関して。いずれも優待販売がされるのですが、価格の面で重要になるのが申し込み時期なんです。飛行機の早割のように通常割引のほかに早割があり、さらにすぐに申し込めば超早割という制度があるんですね。具体的には以下の表のとおりとなっているので、買うつもりがあるのなら、早く申し込むのがよさそうですよ。
<ABILITY 2.0 Proへのバージョンアップ・優待販売価格(税抜き)>
ABILITY 2.0 Proパッケージ版へ | ABILITY 2.0 Proダウンロード版へ | |||||
所有ソフト | 通常 | 早割(2W) | 超早割(2W) | 通常 | 早割(2W) | 超早割(2W) |
ABILITY Pro | 19,000 | 17,000 | 15,000 | 18,000 | 16,000 | 14,000 |
SSW10Pro | 24,000 | 22,000 | 16,000 | 23,000 | 21,000 | 15,000 |
SSW9Pro | 25,000 | 23,000 | 18,000 | 24,000 | 22,000 | 17,000 |
Singer Song Writer 9 Pro 12ヶ月 | 32,000 | 30,000 | 24,000 | 31,000 | 29,000 | 23,000 |
SSW80VS/60V/50VS | 32,000 | 30,000 | 24,000 | 31,000 | 29,000 | 23,000 |
ABILITY | 32,000 | 30,000 | 24,000 | 31,000 | 29,000 | 23,000 |
SSW10/9Std | 32,000 | 30,000 | 24,000 | 31,000 | 29,000 | 23,000 |
SSW80/70/60/50/40 | 32,000 | 30,000 | 24,000 | 31,000 | 29,000 | 23,000 |
SSWLite4/5/6/7/8/9 | 32,000 | 30,000 | 24,000 | 31,000 | 29,000 | 23,000 |
その他(VOCALOIDなど) | 32,000 | 30,000 | 24,000 | 31,000 | 29,000 | 23,000 |
<ABILITY 2.0 Elementsへのバージョンアップ・優待販売価格(税抜き)>
ABILITY 2.0 Elementsパッケージ版へ | ABILITY 2.0 Elementsダウンロード版へ | |||||
所有ソフト | 通常 | 早割(2W) | 超早割(2W) | 通常 | 早割(2W) | 超早割(2W) |
ABILITY Pro | 14,000 | 12,000 | 10,000 | 13,000 | 11,000 | 9,000 |
SSW10Pro | 16,000 | 14,000 | 12,000 | 15,000 | 13,000 | 11,000 |
SSW9Pro/80VS/60VS/50VS | 18,000 | 16,000 | 14,000 | 17,000 | 15,000 | 13,000 |
ABILITY | 14,000 | 12,000 | 10,000 | 13,000 | 11,000 | 9,000 |
SSW10Std | 16,000 | 14,000 | 12,000 | 15,000 | 13,000 | 11,000 |
SSW9St/80/70/60/50/40 | 18,000 | 16,000 | 14,000 | 17,000 | 15,000 | 13,000 |
SSWLite4/5/6/7/8/9 | 18,000 | 16,000 | 14,000 | 17,000 | 15,000 | 13,000 |
その他(VOCALOIDなど) | 18,000 | 16,000 | 14,000 | 17,000 | 15,000 | 13,000 |
超早割期間 | 4月19日~5月6日15時まで |
早割期間 | 5月6日 15時~ 5月19日15時まで |
通常期間 | 5月19日15時以降 |
ちなみに「つい先日ABILITYを買ったばっかりなのに……」なんてガッカリしている方も大丈夫。今年の3月16日以降に旧バージョンであるABILITY ProもしくはABILITYを購入した人(バージョンアップや優待版も含む)は無償でABILITY 2.0 Pro、ABILITY 2.0 Elementsにアップグレードされるますよ。ただしパッケージを購入した人も、ダウンロードでの対応となるそうです。
なお、これとは別にちょっと面白いサービスもあります。それはDTMステーションでも何度か取り上げてきたRolandのマルチ音源、Sound Canvas VAのセット割です。ABILITY 2.0 ProおよびABILITY 2.0 Elementsとセットで購入すると、5,000円で買えちゃうんですね。Rolandから直接購入すると14,000円ですから、かなりお得ですよね。
今回のバージョンアップに加え5,000円でSound Canvas VAのWindows版がGETできる
ただし、このセット割で購入できるのはWindows版のみでMac版はバンドルされていません。もちろんABILITYとの相性はすごくいいので、これで使えるほか、ほかのソフトでもVST環境であれば使うことが可能ですよ。
Windows版のみで、それもABILITY専用バージョン。とはいえ、ABILITYで使うことが目的であれば、すごいお買い得。このチャンスにセットで購入するというのも良さそうですね。
※内容に誤りがあったため上記、修正しました。ご迷惑をおかけしました(2016.4.25)
【関連情報】
ABILITY 2.0製品情報
ABILITY 2.0バージョンアップ、優待販売
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