「歌ってみた」や「演奏してみた」用にビデオ撮影してニコニコ動画にUPしたいけど、どうしたらいいの……?といった質問をよく受けます。また私自身、作曲家の多田彰文さんといっしょに「DTMステーションPlus!」というニコニコ生放送の番組を展開しており、どうすればうまく放送できるのか、いろいろ研究しているところです。
そんな中、ZOOMから、超軽量コンパクトなビデオカメラ、Q4(定価32,500円)が登場しました。以前「ZOOMのビデオ機能付リニアPCMレコーダー、Q2HDで試す、簡単高音質生放送」という記事でQ2HDを紹介したこともありましたが、Q4はさらにアクティブに使うことができ、高品位なXY型ステレオ・コンデンサマイクを備えた機材です。これでどんなことができるのか、紹介してみたいと思います。
手のひらにスッポリと収まる小さなビデオカメラ、ZOOM Q4
ZOOMのQ4は、手のひらにすっぽり収まる軽くて小さいビデオカメラで、フルHD(1080p、30fps)でQuickTime形式(MPEG-4 AVC/H.264)のMOVファイルで録画することができるというもの。折り畳み式のXY型ステレオ・コンデンサマイクを搭載しているのが大きな特徴で、オーディオフォーマット的にはAAC 64~320kbpsで記録できるほか最高で24bit/96kHzのリニアPCMレコーディングにも対応した音楽用途として優れた機材となっています。
基本的な考え方は、Q2HDと同様で、これ単体で録画・録音することができる一方、PCとUSB接続すると高性能なビデオカメラ&ステレオマイクとして利用することができます。
バッテリーは内蔵のリチウムイオン電池で、USBコネクタからの給電により充電し、カタログによればHD720pのの画質であれば約3時間、HD1080pでも約2時間の録画ができるとのこと。また記憶メディアはSDカードで、SDXCもサポートしているので、最長でHD720pなら27時間分の動画を収録できると書かれていました。
実際に録画を試してみると、操作は至って単純。電源を入れて、録画ボタンを押せばスタート。録画データはSDカードにMOVファイルとして記録されていくわけです。
このQ4が、いわゆる大手家電メーカーのビデオカメラと違う最大のポイントともいえるのが、高性能なXY型のステレオ・コンデンサマイクの搭載です。画質はキレイだけど、音がイマイチというビデオカメラが多い中、やはりZOOM製品だけにマイクへのこだわりは大きく、かなりいい音で録することができます。
マイク部を起こすと、120度に開くXY型のステレオ・コンデンサマイクが出てくる
このコンデンサマイク、普段持ち歩くときは折りたたんで置くのですが、撮影・録音時には持ち上げることで120度の角度でクロスさせたXY型マイクとして使うことができるのです。Q2HDでも高性能なマイクを搭載していましたが、Q2HDの場合、M-Sマイクであったため、扱い方に多少クセがありました。それに対し、XYマイクならより直観的に使うことができるし、個人的にはQ4のほうが、より高音質に感じられました。
ちなみに、外で使うときのためのウィンドスクリーンが標準で付属しているのですが、これをかぶせてみたところ、リスみたいなカワイイ感じになりました(笑)。
さて、ここでポイントとなるのが液晶画面。実は、この液晶画面は脱着可能となっており、とにかく軽くして、バッテリーを長持ちさせたいという場合、外した状態での撮影も可能です。取り付けた場合も液晶画面の向きは180度動かすことができますから、撮影時に自分を映して確認することもできるわけですね。
取り付けた液晶は見やすいように180度回転させることができる
また、画質の変更や音声フォーマットの変更など、各種操作を行う場合には液晶画面は必須。タッチパネルではないのですが、画面下に4つのボタンがあるので、これを使って操作できるようになっています。
ただしオーディオの入力ゲインの調整(3段階)やヘッドホンを使ってのモニターレベル、またローカットのオン/オフについては本体サイドにあるボタンで操作できますので、液晶画面を取り付けない状態でも、とりあえずのことはできてしまいます。
Q4をWebカメラ、Webマイクとして使えば、そのままニコニコ生放送などが高音質・高画質でできてしまう
また、USBでPCと接続すると、Q4をWebカメラ、USBマイクとして使うことができます。そのため、ニコニコ生放送やUSTREAMでの生配信のために使うといったこともできます。もちろん、カメラを使いながらビデオのほうも動作してくれるので、かなり便利に使うことができますよ。
レンズと反対側の角の部分がちょっと不思議な形状となっているのだが…
そして、もう一つ大きな特徴となっているのがボトム部分の形状です。ここを見ると、三脚用の穴があるほかに、ちょっと変わった形の「アクセサリーマウント」なるものが用意されているんですよね。三脚穴を利用することで、ほかのビデオカメラやリニアPCMレコーダーなどと同様に固定しての設置が可能になるわけですが、このアクサリーマウントって何だか分かりますか?
GoProのアクセサリーとピッタリ合う形状となっており、ガッチリと固定できる
Q4のカタログを見ても、マニュアルを見ても、ほとんど何も記載がないのですが、これ、かなり画期的なものなんです。そう、これはアメリカのカメラメーカー、GoProのアクセサリーとそのまま接続できるようになっているんです! 三脚穴と比較して、かなりガッチリと固定することができ、頑丈に扱うことができます。そして何より数多くのアクセサリーがGoProから出ているんですよね。
たとえば机などの板を挟むことができるクリップ。これを利用すればデスクトップ上での操作を撮る際などに、安定してできます。
オレオレ棒を使って、「歌ってみた」にチャレンジするのもいいかも…
また、ときどき使っている人を見かける、通称「オレオレ棒」 (自分撮り用の棒)なんかを使えば、歌ってみたにおいても威力を発揮しそうですよ。
頭につけてドラムを叩いてみるとか…(あれ、この角度じゃ、ドラムが見えないぞ…)
そして頭にかぶるバンドなんかもあるんです。かなり人間の目線に近いところで撮影することができるので、楽器の演奏において、普通リスナーが見ることができない、プレイヤー本人の視点でのビデオが作れそうです。
本来はスキーなどする際に取り付けるためのアクセサリーだとは思うけど…
同様に胸に取り付けるタイプもあります。この場合は、頭にかぶるよりも少し視線が低くなりますよね。
さらに自動車の側面などに取り付けて走ることも可能な吸盤タイプのマウンターもあります。もちろん、Q4をクルマにつけて運転するのもいいのですが、この吸盤、平らなところなら、どこにでも取り付けが可能で、非常に強力。もちろん、スイッチ一つで簡単に傷つけずに取り外しもできるため、ピアノに取り付けてしまうなんてこともできますよ。
さらに、もっと楽器に密着させることを目的にしたマウンターもあります。そう、ギターのボディーなどに直接取り付けることができる、というもの。普通、強力な両面テープなどを使うと、はがす際に塗装が剥げてしまったり、ノリがボディーに残って汚くなってしまいます。ところが、このマウンター、そうした心配がないんですよ。
私のエレキギター(安物ギターだから、最悪塗装が剥がれてもいいやと実験してみた)に貼り付けてみたところ、かなり強力な粘着力で、Q4を取り付けてもビクともしません。まさにピッキング部分を接写で撮影なんてことができるわけです。
マウンターを取り外してみたところ、何の痕跡も残らず、傷つくこともなかった
その後、恐る恐る、これを外してみました。マニュアルによると、粘着テープを横から引っ張り出す、となっていましたが、なるほど、これガムみたいないものなんですね。ブニョ~と伸びながら、取り外すことができ、ギターには何の跡も残りませんでした。ただし、粘着テープ自体は使い捨てとなっているようです。
Q4はGoProのアクセサリーを重ね付けできるのもポイント。組み合わせ次第でいろいろの使い方ができそうですよ。
もちろん、これらアクセサリーの本家であるGoPro自体もカメラを出しているわけですが、マイク性能で見れば、ZOOMのほうが、一枚も二枚も上手。ユーザーとしては、いいものを組み合わせて使うのが賢い選択といえそうですね。
【関連情報】
ZOOM Q4製品情報
【価格チェック】
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◎イケベ楽器店 ⇒ ZOOM Q4
【GoProアクセサリー】
●ジョーズフレックス クランプマウントACMPM-001
(机などに取り付けるクリップ型)
●ヘッドストラップ&クリップ ACHOM-001
(頭に取り付けるバンド型)
●チェストマウントハーネス GCHM30
(胸に取り付けるバンド型)
●モノポッドS GPMOP-600T
(オレオレ棒)
●サクションカップマウント AUCMT-302
(超強力吸盤型)