イギリスの老舗メーカー、Focusrite。個人的には超高級機メーカーという印象が強いのですが、最近は手頃な価格のオーディオインターフェイスをいろいろ出していて、幅広い層に人気があるようです。同社のUSBオーディオインターフェイスであるScarlettシリーズなんかは、赤いボディーで見た目にもカッコイイですしね。
そのFocusriteがiTrack SoloというPCでもiPad/iPhoneでも利用可能なオーディオインターフェイスを出していたのをご存じですか?実売価格18,000円弱という機材で、サイズ的にも非常にコンパクトなのですが、これがちょっとマニアックで高音質なんですよ。DTMユーザーにはもちろん、オーディオファンにもウケそうな機材なので、ちょっと紹介してみましょう。
Focusriteの2IN/2OUTのUSBオーディオインターフェイス、iTrack Solo
iTrack Soloのスペックから紹介していくと、まずこれは24bit/96kHzで2IN/2OUTのUSBオーディオインターフェイス。入力はXLRのマイク接続用が1つ( +48Vのファンタム電源供給可 )、楽器用のアンバランス標準ジャックが1つでギター入力も可能となっています。また出力はリアのLINE OUTPUTSとフロントのヘッドホン出力となっており、見ての通り、LINE OUTPUTSはRCAのピンジャックがステレオで、フロントのヘッドホン出力はステレオ標準ジャックとなっています。
使い方自体は、いたって単純。基本はPCにドライバをインストールし、USBで接続するだけ。出力レベルはMONITORと書かれた大きなツマミでコントロールし、入力レベルは左のマイク用、右の楽器用それぞれのGAINツマミでコントロールします。
実際、音を再生してみてちょっと驚いたのは、ヘッドホン出力の音量レベルが非常に大きく出せるという点。オーディオインターフェイスのヘッドホンモニターって、レベルがあまり大きくない製品が多く、音量の大きいスタジオやライブ現場などに持ち込むと、聴き取りづらいことが多いですよね。でも、これ、かなり大きなレベルで出せるので、その点ではお勧めですよ。
かなり大きなレベルで出力できるiTrack Soloのヘッドホン端子
一方、入力でユニークなのは、GAINツマミの回りがLEDインジケータになっていて、音量レベルに応じて色が変化するという点。無音であれば消灯、適度な音量が入力されれば緑、大き目になるとオレンジ、レベルオーバーだと赤くなります。これはスッキリしたデザインで使いやすいです。またヘッドホン上にあるDIRECT MONITORをONにすると、入力信号をPCを通さず、そのまま出力させるダイレクトモニタリングが可能になる仕様です。
実際に音を出してみると、入力も出力もクセのない、非常に素直なサウンド。中がどうなっているのかちょっと気になったので、メーカーの許可を得て、リアパネルを外してみました。すると、中央部に鎮座していたのは「XMOS」と書かれたチップ。「おぅ!」と思った方は、結構PCオーディオマニアな方かもしれませんね(笑)。
そう、PCオーディオの世界では昨年辺り、大きな話題となったXMOSチップが使われた機材なんですね。「XMOS USB 2.0 Audio 評価基板」なんて基板が、結構いいお値段で出回り、多くのPCオーディオファンが飛びついていましたが、そのXMOSのチップが採用されているわけです。チップ番号をチェックしてみたところ、評価基板に採用されていたものとは違いましたが、同様にUSB Class Audio 2.0対応となっています。
そのため、MacではUSB接続するだけでドライバをインストールする必要もなく認識することができます( Focusriteのドライバをインストールしたほうがパフォーマンスは向上するようです )。Windowsの場合はドライバのインストールが必須ですが、これをインストールすれば、MMEドライバが利用できるのは当然として、ASIOドライバも利用できるようになります。
Windowsのドライバ設定上ではバッファサイズ1msecにまで小さくできる
このようにiTrack SoloはWindows、Macで利用できる高音質なオーディオインターフェイスなのですが、この名称からも分かる通り、メインターゲットとしているのはiPad/iPhoneとの接続です。そう、これは数少ない「Made for iPad」のロゴを取得した製品なんです。「Made for iPad」とは、iPad 専用に接続するよう設計され、Apple が定める性能基準を満たしているとデベロッパによって認定された電子アクセサリであることを示すもので、iPadで動くからといってすべての機器が取得できるというわけではないんですよね。
パッケージにもMade for iPadのロゴが記されている
使い方としては、あらかじめUSB端子にACアダプタなどから電源供給をしておき、付属ケーブルでiPadとの接続を行います。そう、iPadからの電源供給では動作しないため、このようになっているのです。
iPadに付属ケーブルで接続。ただ、ケーブル長は約15cmと短い
また、見て「おや?」と感じるのではと思うのが、ケーブルの長さです。約15cmという短いケーブルなので、引き回しがしづらいんですよ。ただ、メーカーによると「Made for iPad」を取得するための必須条件だったんだとか……。これを伸ばすためには、サードパーティーの延長ケーブルを用いて欲しい、とのことです。
また「Made for iPad」ということだから、iPadだけで動作するのかと思ったら、これiPhoneでもしっかりと動作してくれます。また付属の短いケーブルにLigitning-30pinアダプタを取り付けたところ、iPhone5でも問題なく使うことができました。
付属ケーブルはちょっと短いけれど、この辺、なかなか融通の利く設計になっているようですよ。いずれにせよ、iPadやiPhoneで、XMOSチップ搭載のデバイスが利用できるというのは他にない大きなポイントといえるのではないでしょうか?
Ableton Live Lite 8も無償でダウンロードして使うことができる
なお、iTrack Soloにはライセンスカードが付属しており、そのコードを入力することで、Ableton Live Lite 8を入手できるほか、FocusriteのScarlett Plug-in Suiteというプラグイン集(コンプ、EQ、GATE、リバーブ)を入手できるのも大きな得点ですよね。
WindowsはVST版、MacはAU版のプラグインエフェクト4種をダウンロードして使うことができる
アルミボディーの頑丈でコンパクトなオーディオインターフェイス、iTrack Solo。モバイル用機材として、また自宅のDTM用に、そして高音質な音楽再生環境構築用にと、いろいろ使えそうです。
【関連サイト】
Focusrit iTrack Solo( ハイ・リゾリューション )製品情報
【iTrack Solo 価格チェック】
Amazon ⇒ Focusrite iTrack Solo オーディオインターフェイス
サウンドハウス ⇒ Focusrite iTrack Solo
コメント
6i6もやって下さい
そうですね、6i6、私もまだ使ったことないので、今度、しっかり試してみたいですね。
この製品はダイレクトモニタリング←→PCのバランスつまみがありませんが、
ダイレクトモニタリングをして録音する際にPCの音って返ってくるでしょうか?
まあそうしないと演奏もへったくれもありませんけど(笑)
どのように簡略化されているのかがちょっと判らなくて(^ ^;;
教えていただければ幸いです♪
キンゲの人さん
こんにちは。たとえばRolandのオーディオインターフェイスにあるようなPLAYBACKとINPUTのバランスのツマミがないということについてですよね。
この製品にはそうしたバランス調整はできません。基本的にダイレクトモニタリングをONにするか、OFFにするかというだけです。そしてONにすると、入力したレベルでそのまま出力されるようになるのです。
使い方としてギター入力を考えてみます。まずDAWなどでエフェクトをかけて、その音をモニターするのであれば、当然ダイレクトモニタリングはOFFにします。一方、DAW側で返しがない場合はONにするわけですが、これは前述のとおり、録音するトラックに入る音量がそのまま出てくる形となるので、DAWの出力レベルが0dBであれば基本的にバランスされるはずです。もし、ほかのトラックは小さ目にということであれば、DAW側の出力レベルを下げればし、逆であれば上げればいいということですね。
なるほど!
基本的にDAW側のゲインそのままで返ってくるということですね。
プリアンプも優秀そうなので購入してみようかな(^ ^)
iPhone5sのCPUがかなり早くなってるので
スタジオでMTRとしてヴォーカル録りに使えるかな?と思って関連記事を探していました。
マルチトラック、24bit 48kで録音したいのですが、
どんな組み合わせがおすすめですか?
インターフェースとAPP側の対応も必要かと思いまして。
ゆらさん
こんにちは。そうですね、いろいろな組み合わせができるので、このiTrack Soloもいいですし、
ほか、多くの機材で使えるようになっています。
とくにiOS7であれば、iPadで利用できたUSBオーディオインターフェイスも一通り使えるようになり、
アプリ側も、基本的にどれでも使えるようになっています。iOS7.0.3以降、ほとんど相性問題はなくなってきたので、好きなオーディオインターエフィスを選んで大丈夫だと思います。
win7 64bitで使用しているのですがwindowsでは24bit再生できないのしょうか?
knさん
もちろん24bit再生できますよ!
記事にもあるとおり、基本的に24bit/96kHz対応です。
iOSで使う必要がなければ、Scarett Soloが安くてお勧めです。
http://www.dtmstation.com/archives/51912250.html
返信ありがとうございます。
windows7 IOS用のヘッドホンアンプとして実際に使用しているのですがなぜか16bit 96khzまでしか選べず困っております。ドライバーも最新のものなのですがPC側に問題があるんでしょうか…..
knさん
手元に機材がないので分からないのですが、その現象はやっぱりPC側もしくはソフトウェア側という気がします。
すみませんか、Ligitning-30pinアダプタでiPhone5に使えますか?
scrongさん
はい、iOS7以上にUPDATEしてあれば大丈夫ですよ。
参考になります。macユーザーなのですがFocusriteのドライバをインストールしました。
元の音の方が好きだったので戻したいのですがどうすれば良いでしょうか?
どこにドライバがインストールされたのか分からないです。
asatさん
普通にドライバとしてインストールされていたと思いますが、手元に実機がないのでわかりません。ハイリゾリューションのサポートなどで確認してみてください。