iPhone5が発売されてから8か月。拡張用の端子が従来の30ピンDOCKからLightningに切り替わったことで、当初はいろいろと混乱していましたが、変換アダプタを使うことで従来の周辺機器が使えるようになったり、安いUSB接続ケーブル(海賊版が大半ですが…)が登場するなど、環境は整ってきました。
しかし、相変わらず登場していなかったのが、このLightningに正式対応したDTM機材です。オーディオインターフェイスやMIDIキーボードなどは30ピンDOCK対応製品だけでLigitning対応が待たれつつも、なかなか出てきませんでした。が、ついに各社がアナウンスを開始。いち早くリリースしたLine 6のオーディオインターフェイス、Sonic Portを使ってみたので、どんなものなのかを紹介してみましょう。
Line 6から発表されたLightningコネクタに直接接続可能なオーディオインターフェイス、Sonic Port
これまでも何度か紹介してきたとおり、Line 6ではギター入力用のオーディオインターフェイス、Mobile Inを発売しており、これと同社のアプリMobile PODを組み合わせることで、あのPOD 2.0を再現できるということで、人気になっていました。
このMobile PODも30ピン-Lightningアダプタを使うことで、iPhone5やiPad miniなどで使うことは可能でしたが、やはりアダプタを通しての接続はやや不恰好。いつかLightning対応版が登場してくれるのでは……と期待していたところ、完全な新製品、Sonic Portが発表されたのです。
このSonic Port、iPhone5と並べた写真を見るとだいたいの大きさが分かると思いますが、手で握ってみると、ちょうどダイナミックマイクの持ち手の部分のような太さでしょうか……。重量表示がなかったので測ってみると約120g。単3電池4本分程度の重さですね。
といっても電池を装備する必要はなく、iPhoneやiPadからの電源供給だけで動作する低消費電力仕様で、その接続は付属ケーブルを使って行います。ユニークなのは、接続ケーブルがLigitning接続用と30ピンDOCK接続用の2本が用意されていること。接続する機材に合わせてケーブルを選べばいいわけです。
Lightning用ケーブルと30ピンDOCK用ケーブルの2種類が付属している
ケーブルを繋ぐ端子の反対側にはオーディオの入出力端子が4つ装備されています。見るとわかるように標準ジャックが2つ、ミニジャックが2つありますが、それぞれ何用のものなのでしょうか?
まずメインとなるのは下の標準ジャック。横にギターのマークがあることからわかるとおり、ギター接続用のもので、ハイインピーダンス入力に対応したTSフォン入力です。もう一つの入力が右のミニジャックで、こちらはステレオミニのライン入力となっています。つまり外部の楽器、オーディオ機器の音をここを通じて取り込むことができるのです。
ここまでは、従来からあるMobile Inと同じ仕様ですね。さらにSonic Portには出力端子も用意されています。上にある標準ジャックはステレオのライン出力、さらに左にあるのがステレオミニのヘッドホン出力となっているのです。このことからも分かる通り、Sonic Portはギター用の入力機材に留まらず、2IN/2OUTに対応した完全なオーディオインターフェイスになっているのです。
試しにiPhoneのiPod機能で鳴らした音を標準のヘッドホン出力とSonic Portのヘッドホン出力で聴き比べてみましたが、やっぱり音質が向上する感じですね。高域がさらに伸びていて解像度が上がっているのと同時に、低域での安定感もよくなっています。音量レベル的には変わらないので、ヘッドホンアンプ的な使い方ではないと思いますが、これだけでも試してみる価値は十分ありますよ。
スペック的には24bit/48kHzでの入出力とのこと。出力はもちろん、入力ともに高品位なレコーディングが可能であるというわけです。またライン出力があるから、外部のアンプやオーディオ機器にも接続できるのも大きなポイント。ヘッドホン出力ではないから、インピーダンス整合などにおいてもトラブル心配がなく、嬉しいところです。
ここで、Line 6のアプリであるMobile PODを起動。ギターを接続すると、バッチリ使うことができますね!これは無料のアプリですが、ハードウェアプロテクトがされており、これまでMobile Inを繋ぐと使えるようになっていましたが、最新のアップデートによりSonic Portも認証するようになっています(これらの機器を接続していない場合、試用モードとしてサンプル音を聴くことは可能)。
iPhone5に接続してGarageBandを動かしたところ、高音質に入出力できた
もちろん、Sonic PortもCoreAudio対応デバイスですから、Mobile PODに限らず、各種DAWやレコーディングソフト、ソフトシンセなどで利用することも可能。試しにGarageBandで使ってみたところ、GarageBandのギターアンプシミュレータも使えたし、外部オーディオ機器から出した音をレコーディングしていくことも問題なくできました。
ところで、ここでふと気になったのが前述のケーブル。Lightning用と30ピンDOCK用があるわけですが、その反対の端子、「どこかで見たことがあるな…」と思ったら、同じLine 6のMIDIキーボード、Mobile Keysと同じようです。試しに接続してみるとピッタリとはまります。
ここで、これをiPhone5に接続してみると……、なんとバッチリ動作するじゃないですか!今のところ、この点についてLine 6からアナウンスはないようですが、このケーブルさえ入手できれば、Mobile keysもLightning対応デバイスとして使えてしまうわけです。ぜひ、オプションとして単体売りをしてもらいたいところですね。
付属のLightningケーブルをMobile Keysに接続したら、あっさり動いてしまった!!
今回は量産前の最終プロトタイプを使わせてもらいましたが、気になるのは値段と国内の発売時期。Line 6に確認したところ、発表と同時にアメリカでは出荷が開始されており、日本国内での出荷予定は7月下旬予定とのこと。価格はオープン(実売予想価格:11,970円前後)。昨今の円安でAppleも含め、各社値上げが続いている中なので、早めに入手するのが得策かもしれませんね。
【関連情報】
Sonic Port製品情報
Mobile Keys製品情報
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コメント
これUSBケーブルが付いてないってことはMacやPCでは使えないのでしょうか?
ササキさん
そうですね。ケーブルさえあれば使えそうな気はするのですが、現状添付されていないので、使えないようです。
そうですか。。。
同じ値段だすならiRig HDの方がいいですかね。
あっちはMacでも使えるしで。
出来たらiRig HDのレポもお願いします。
初代iRigはノイズが多く買って後悔してるので。
いつも興味深く拝見しております。
mobile keysについているMacとの接続用のUSBケーブルをSONIC PORTで利用して、MacでSONIC PORTを認識させ インターフェイスとして使用することは不可能でしょうか?
unagiinuさん
こんにちは。そもそもmobile Keysは2つの端子があって、一つはiPad/iPhoneとの接続用、もうひとつは普通のUSB用となっているんです。そのため、mobile keysのUSBケーブルってごく普通のケーブルなので、sonic portでは利用できないんですよ…
あちゃ〜 しょうもない質問してしまい大変申し訳ありませんでした。しかし、LINE6ファンとしてはSonicPortはかなり気になっています。ギター入力、出力が標準ジャックになったので、これまで以上に様々なシーンでマルチエフェクターとして使用できそうですね。あとはMobilePODがAudiobusに対応してくれると嬉しいんですが。
いつも拝見しております。
こちらはAuriaでも使えるのでしょうか?
なわさん
こんにちは。はい、もちろんAuriaでも問題なく使えますよ!
はじめまして。
Sonic Portを調べていてたどり着きました。
Line 6 Sonic Port で iphone 5S の 接続テストはされましたか。
購入を検討しているのでレビューしていただけると参考になります。
KSKさん
こんにちは。
はい、まったく問題なく、私の手元で動いてますよ!
藤本様
お返事ありがとうございます。
Line 6 Sonic Portを購入して楽しいギターライフを過ごしたいと思います。
こんにちは、Sonic Portというものを知りネットで調べているとこちらの記事に出会いました。
元々アコギばかりで機材周りの知識に疎いのでよろしければご質問させて下さい。
エレアコ等ではなくアコギでマイク録りをする場合でもSonic Portは使用可能でしょうか?
その場合はマイクケーブルはどこに接続すればよろしいのでしょうか?
よろしくお願いします。
MTさん
SonicPortは、エレキ用のオーディオインターフェイスなので、マイク接続はできません。
マイクを使う場合には、他社製品が必要になってきます。
たとえば、RolandのDUO-CAPTURE EXだったり、IKのiRig Micだったりですね。
返事が遅くなり申し訳ないです。
ありがとうございます。
やっぱりマイク録りには不向きですよね。
他社製品を教えて頂いてありがとうございます。
例であげてもらったのを参考にしてみます。
藤本先生、はじめまして。長文失礼します。
このsonic portを活用して、iPhone(iPad)をイコライザーとして使用できないでしょうか?
具体的な内容は以下となります。
テレビにヘッドフォンを挿して、ライブ鑑賞しているのですが音に迫力がありません。
ヘッドホンアンプを中継して改善はされたのですが、もっと低音や高音を任意に
強調したいです。
その解決策として、sonic portのライン入力からテレビの音を取り込んで、iPhone(iPad)で
イコライジングをして、ヘッドフォンで聴けないかと思ったのですが、適切なアプリが
見つかりません。
「イコライザー」や「イコライジング」で検索しているのですが、iPhone(iPad)の中の曲を
イコライジングするプレーヤーアプリはあるのですが、オーディオインターフェースからの
入力をイコライジングする
アプリは見あたりません。そのようなアプリはないのでしょうか?
もし、ご存知でしたら、ご紹介いただけないでしょうか。
そういうアプリが無いようでしたら、なにか代用案があれば、ご紹介願います。
「このDAWアプリのこの機能を活用したら代用できるよ」とかあれば、お願いします。
また、sonic portに限らず、「このオーディオインターフェースの方がいいよ」とか、
「そんなことしなくても、○○を活用しても似たようなことができるよ」など、
幅広い案をご提示いただければ幸いです。
○大きな音を出せないため、スピーカーによる改善案は却下となります。
あくまでもヘッドホンで低音や高音を強調したいと考えております。
○sonic portは、まだ持っていません。以前から欲しかったので、
本件で活用できると判れば、買っちゃいます!
お忙しいと思いますので、一言、二言の思案だけでもいただければ幸いです。
以上、よろしくお願い申し上げます。
mgm_customさん
Sonic Portを利用してiPad/iPhoneをEQとして使いたいとのこと。
不可能ではないと思います。実際、専用アプリであるMobilePODを使ったり、
GarageBandを使うなどしてEQを設定すれば、低域・高域を強調することはできます。
ただ、根本的に正しい方法ではないと思います。これらは楽器用のEQでありオーディオ用のものではないので、高域や低域が強調されたとしても、本来の音とは違った感じになってしまう可能性が高いですし、そもそも使い方が複雑であり、家電・オーディオ的な使い方としては、まったくお勧めできません。
やはりその目的であれば、トーンコントロールを装備したアンプを入手するのがいいのではないでしょうか?ちょっと大きいかもしれませんがAVアンプなら2万円台からあるので、これらをつかえば、かなりいろいろな使い方ができると思いますよ。
藤本先生
お返事ありがとうございました。お早い返事に驚きました。
昨晩、寝る前にさらっと返事を確認したのですが、
自分の長文に惑わされて気が付きませんでした(笑)。
「Sonic Portでの活用も不可能でないかも。」ということで、
購入する楽しみが増えました。初代iRigで満足しているので、
なかなか購入に踏み切れませんでした。是非購入した暁には、
色々試してみたいと思います。
トーンコントロール付きのAVアンプのご提案ありがとうございました。
スピーカーシステムを導入する予定がないもので、
まったく眼中にありませんでした。
この機会にAVアンプについて勉強してみたいと思います。
余談ですが、先生の記事を読んで、Chordana Viewer買いました。
なかなかいいですね。音響解析の難しさを知らないユーザーが
「コード判定が間違っている。」なんて厳しい意見も見受けられましたが、
音感の無い自分からしたら、すばらしいガイドになります。
これからも、DTMステーション楽しみしてます。
ありがとうございました。
ラジカセと繋げてiPhoneで録音できるのでしょうか?
京橋さん
録音用のアプリは用意する必要はありますが、Sonic PortのLine Inに入れることできれいにとることは可能ですよ。