先日、Line 6の開発エンジニア、ロブ・ランプリー(Rob Rampley)さんにMobile PODの話を伺いましたが、そのとき個人的に気になったのが、話題に上っていたPC用のギターアンプシミュレータ・ソフト、POD Farmについてです。
名前だけは知っていたものの、実は使ったことがなかったからです。で、先日、改めて調べてみたら、以前はパッケージ販売していたのが、今はダウンロード販売のみになっていました。が、よく見るとFree版というものもあるので、これを入手してちょっと使ってみました。
Line 6サイトから無料で入手できるギターアンプシミュレータ、POD Farm 2.5
ギター弾きでもない自分が、アンプシミュレータでばかり遊んでいるのもどうか……とは思うものの、やっぱり面白いんですよね。無料で使えるならということで、Line 6のサイトからダウンロードしてみました。ダウンロードするためにはLine 6のユーザーアカウントが必要になりますが、とくにLine 6製品を持っていなくても、オンラン上で簡単に登録して作成することが可能です。
Windows版、Mac版のそれぞれがありますが、ここではWindows版を入手し、さっそく起動してみました。いきなりグッとくる画面が出てくるのですが、まずはあせらずにオーディオインターフェイスの設定です。
そうLine 6って気前がよく、このPOD Farmはどこのメーカーのオーディオインターフェイスでも使えます。とりあえず手持ちのオーディオインターフェイスを選択し、ASIOの設定を確認。ギターを接続してみると、ほとんどレイテンシーを感じることなく音が鳴ってくれます。
FenderやMarshallのアンプモデリングを選択できる
アンプのモデル名を見てみると「1964 Blackface ‘Lux」って明らかにFenderの「’64 Deluxe Reverb」のことですよね。また「1990 Brit J-800」と出てくるのはMarshallの「JCM800」。モデルの選択画面からパネル画面に切り替えると、パラメータもいじれるようになっています。
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パネル部を表示させればパラメータを自在に変更できる
選べるのはギターアンプばかりではありません。ベースアンプも選択できるし、プリアンプやキャビネットを交換することも可能です。
またストンプエフェクトもいろいろあって、ジャンルとしてはディストーション、ダイナミクス、フィルター、モジュレーション系、ディレイ、リバーブ、ワウそしてEQといろいろと揃っています。
しかも画面下を見ると、上下(AルートとBルート)の2系統で信号を流すことができるようになっており、いろいろと組み合わせることもできるし、AとBそれぞれのレベルやパンでのバランス設定もできるようになっています。無料のソフトでこれだけ遊べればかなりいいんじゃないでしょうか……。
このように1つずつ組み合わせができる一方、プリセット音色もあるので、探してみると、実はちょっとこれがスカスカ。やっぱり無料版だからなんですかね、有料版にすると$99とそれなりのお値段だし、すべて英語の画面で購入する形でもあるため、二の足を踏んでしまいます。
ここでちょっと調べてみたら有料版であるPOD Farm 2.5って、Line 6のオーディオインターフェイスを購入すると付属しているようなのです。気になる価格はというと一番安いPOD Studio GXというもので1万円弱。今$1が80円弱ということを考えると、ソフト単体で買うより2,000円程度高めかもしれませんが、ハード・ソフトがセットでこの価格ならそれなりに納得感もあります。
一方で実はLine 6のオーディオインターフェイスを個人的にちょっと試してみたいとも思っていたのです。というのはここにはASIOやCoreAudioとは異なる「TONE DIRECT」という技術を使ったレイテンシーをさらに小さくするドライバ技術が搭載されているという話を聞いていたからです。
勢い余って買ってしまったPOD Studio GX
というわけで、買っちゃいました、POD Studio GX。詳細はまたどこかのタイミングでレポートしてみたいと思いますが、使ってみてわかったのは、このオーディオインターフェイス自身がドングルになっているようで、ドライバを入れると、無料版だったPOD Farmが有料版のものにアップグレードするとともに、モデリングするアンプやキャビネット、エフェクトの数もグッと増えているんです。
POD Studio GXを接続してオーソライズすると使えるアンプモデルなどが大幅に増加
一つ一つ紹介しているとキリがなくなるので、ここでは割愛しますが、ギターアンプのモデルだけで19種類、キャビネットで29種類など、やっぱり数の面で無料版と比較すると圧倒的に多く、これを組み合わせていくことを考えるだけでも楽しくなります。Windowsの場合、RTASとVSTのプラグインとしてもインストールされるので、CubaseなどのDAWで使えるのも嬉しいところです(無料版でもある程度使えます)。
Cubase上ではPOD Farm 2.5としてのほか個別のエフェクト、アンプのプラグインとしても使える
個人的に一番の関心事であったTONE DIRECTは、専用の設定画面で行うのですが、デフォルトの状態でも明らかにレイテンシーが小さいというか、まったく感じないです。ハッキリわからないですが、私の持っているハードウェアのPOD 2.0よりもレイテンシーがないのではないかと思います。
TONE DIRECTの設定画面。詳細についてはまたいずれ…
この技術がどうなっているのか、ASIOやCoreAudioと何が違うのかなど、触っただけではよくわからなかったので、今度改めて詳しく聞いてみたいと思っているところです。
なお、POD Studio GXを含め、POD Studioシリーズの概要はLine 6のページにまとまっています。また、ここには各製品の特徴がまとめられているほか、POD Farm 2.5といっしょに使った際のビデオも用意されているので、チェックしておくとよさそうですよ。
【関連サイト】
Line 6のホームページ
POD Farm 2.5の製品紹介ページ
POD Studioシリーズ紹介ページ
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