10月21日に発売が予定されているVOCALOID3。入手できるまであと3週間弱となり、ワクワクしている人も少なくないのではないでしょうか。実は、そのVOCALOID3、一足先に入手してしまいました!
白状してしまえば、9月1日に「VOCALOID3の発売は10月21日、プラグインなど新情報も入手!」という記事を書いたとき、ホントは手元にありました。まあ、大人の事情により、その後はダンマリを決め込んでいたわけですが……。そろそろOKというわけで、第1弾記事を書いてみます。
実はVOCALOID3、手元にあったんです(^^;
すでに、いろいろと報道されているとおり、VOCALOID3の特徴を挙げると
・音質が向上している
・VSTプラグインが使える
・Jobプラグインが使える
・WAVトラックが使える
・トラックエディタ装備でDAW風になった
などなど、いろいろなあるのですが、今回フォーカスを当てるのは、Tiny VOCALOID3 EditorとVOCALOID3 Editorの関係についてです。
製品構成的に見て、VOCALOID3がVOCALOID2と大きく異なるのは歌声ライブラリとエディタが別売になったという点です。歌声ライブラリとはVY1V3やMew、Megpoidなどを指すわけですが、これら歌声ライブラリだけを買っても使えないのかというと、そうではありません。ここにはTiny VOCALOID3 Editorというものがバンドルされているため、VOCALOID2時代と同様に、インストールすれば、すぐに使うことができます。
では、別売のVOCALOID3 Editorと比較すると、どんな違いがあるのでしょうか?その違いをまとめたのが以下の表です。
VOCALOID3 Editor | Tiny VOCALOID3 Editor | |
編集・再生可能なトラック数 | 16 | 1 |
最大小節数 | 999 | 17 |
エフェクト | VSTプラグインを利用可能 | リバーブのみ搭載 |
Jobプラグイン機能 | あり | なし |
V2ライブラリのインポート機能 | あり | なし |
Undo/Redo | 制限なし | 1回のみ |
インポート機能 | VSQX、VSQ、SMF、WAV | WAV |
WAVトラック | ステレオとモノラルの2トラック | ステレオ |
要するに、17小節以内でとりあえず歌わせることはできるけれど、真剣に使うとなるとVOCALOID3 Editorが必要と考えればいいと思います。歌わせられるのは1声のみで、VY1とMewを同時にハモらせる、といったことになるとVOCALOID3 Editorが必要となるわけですね。
では、ソフトの起動という点から見て、この2つのエディタはお互いどういう関係になるのでしょうか?ちょっと実験をしてみました。まず、VY1V3をインストールすると、歌声ライブラリとTiny VOCALOID3 Editorがいっしょにインストールされるため、Tiny VOCALOID3 Editorを起動することで、すぐに使うことができます。
機能は少ないけど、声質などはまったく同じTiny版
ここに追加インストールする形でVOCALOID3 Editorをインストールしたところ、Tiny VOCALOID3 Editorが消えてしまうことなく、VOCALOID3 Editorが追加されます。ここで、VOCALOID3 Editorを起動すれば、普通のVY1の声で歌わせることができます。
さらに、このVOCALOID3 Editorが起動している状態で、Tiny VOCALOID3 Editorを起動すると、どうなるでしょうか? 実はお互いは排他的な関係にあるようで、両方同時には起動できないようです。もちろん、両方起動する必要もありませんけどね。
VOCALOID3 EditorとTiny版の両方同時起動はできない
一方VY1V3などの歌声ライブラリをインストールしない状態でVOCALOID3 Editorだけをインストールしてみました。この状態でVOCALOID3 Editorを起動すると、ライブラリがない旨のメッセージが表示されて起動できません。
歌声ライブラリが入っていないと起動できない
では、VOCALOID3の歌声ライブラリを買わないとVOCALOID3 Editorが使えないのかというと、そうではないんですよ。VOCALOID3 Editorに付属しているV2 Library Import Toolというユーティリティソフトを使って初音ミクなどのVOCALOID2の歌声ライブラリをVOCALOID3形式に変換することで、使えるようになるのです。
この変換によって、初音ミクが完全なVOCALOID3になるわけではないのですが、声質は大きく向上するとともに、VOCALOID3 Editorの機能はフルに利用できるので、大きな威力を発揮してくれそうです。この辺については、また改めて紹介したいと思います。
ちなみに、私の手元になぜそんな早くにVOCALOID3があったかというと、2日前の「初音ミクみく」というボーカロイド関連のブログサイトの記事【「オフィシャルガイドブック ボーカロイド3公式 完全マスター」が発売(?)な件】と関係あるわけですが、それついてはまた次回に!
【追記】
VOCALOID2 Editorとの比較も欲しいという要望がありましたので、追記します。
VOCALOID3 Editor | VOCALOID2 Editor | |
編集・再生可能なトラック数 | 16 | 16 |
最大小節数 | 999 | 999 |
エフェクト | VSTプラグインを利用可能 | なし |
Jobプラグイン機能 | あり | なし |
Undo/Redo | 制限なし | 1回のみ |
インポート機能 | VSQX、VSQ、SMF、WAV | VSQ、SMF |
WAVトラック | ステレオとモノラルの2トラック | なし |
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コメント
参考になりました!
こういう「わざとトラブル起こしてみた」系の実験レポートはもやもやした疑問や怪しい興味もすっきりです(笑)。ありがとうございました。
VOCALOID3と言えば私は最近ニューバージョンGUMIが急に気になってきたクンなので(デモ曲など聴くともう人が歌ってるなと思いました)、最新GUMI関連のレポートもしてくださると嬉しいです。
もうひとつ、あきこロイドちゃんも気になっています。あれ一般販売してくれないかな・・・。
残念ながらGUMIはまだ触ってません。村上社長が、先日も聴き専ラジオでいろいろデモをしていましたが、結構キャラクタによって声質が違って面白かったです。
あきこロイドちゃんは情報ありません、ごめんなさい。さすがにあれが発売されることはないと思いますが、どうなんでしょうね。ローソンでソフト売ったりしたら、すごく面白いですけど…。
もういくつ寝るとV3。とても楽しみです。
私は調声作業が好きじゃないので、どんどん自動でうまく歌ってくれる方向に進化してくれるとおおいに助かります。
しかし歌声ライブラリはもう少し安くなってくれるといいんですが。
定価だとVOCALOID2単体より少し安い程度でちょっと残念です。
ところでVY1(V2版)をV3にインポートした場合とVY1V3ってどのくらいの性能差があるんでしょうね? VY1とVY2を持ってる身としてはかなり気になります。
結構、差があって面白いですよ。もちろん、基本的にはよく似ているというか同じ声なわけですが、DIPHONEとTRIPHONEの違いということに、集約します。DIPHONEというのは2つの音素「子音+母音」の組み合わせ、TRIPHONEは「子音+母音+子音」の組み合わせで、V3のみTRIPHONEのデータベースに対応しているんです。だから、単音を発音させただけだと違いがわからないけど、フレーズを歌わせると、ニュアンスが変わってきて、より人間っぽくなるんです。
記事一番下のVOCALOID2 Editorとの比較にて
VOCALOID2 EditorのV2ライブラリのインポート機能が「なし」に
なっておりますが、これは誤りでしょうか?
V3もう少しで発売、楽しみです。
Tiny VOCALOID3 Editorですが、インポート機能がWAVのみってことは、VSQXで途中保存して後から調声するのは無理なんでしょうか??出力できるのはWAVのみ?SMF、VSQもインポートできないから、Tinyは常にノートの打ち込みから開始ですか?やはり別売りエディタは買うべきですね。
mikumikkufireさん、ありがとうございます。
おっしゃるとおりですね。失礼しました。
この項目自体が変なので削除しました。
Yuiさん、コメントありがとうございます。
インポート機能というのは、現状のデータを残しつつ、追加で読み込む機能という意味のようです。VSQXファイルを読み込むこと自体はできるので、その後にWAVをインポートすれば、ある程度のことはできると思います。とはいえ、実際に使うと、すぐに物足りなくなるので、現実的にはVOCALOID3 Editorが必要なんだと思いますよ。
解説ありがとうございます。
Tinyエディタはお試し程度のイメージでしたので、こちらでは先にエディタをインストールし、後で音声ライブラリをインストールしましたが、それでもTinyエディタがインストールされてしまいました。 無駄にHDDとレジストリを使うので、アンインストールできればよいのですが。
あと、ここで言うことではないかもしれませんが、開発者(ヤマハ?)がVSQやSMFの書き出しができなくて不便になると予想できなかったのが不思議でなりません。 ただでさえReWireが使えなくて作業効率が落ちているのに。 合成エンジンやライブラリはともかく、エディタはフリーのUTAUやDOMINOなどにくらべてしょぼすぎるように思います。 オーディオインターフェース+DAWが買える値段なのに。 製作作業の手順が人によって違うから、気にしない人も多いのでしょうか。
そうですよね、VOCALOID Editorがある人にとってはTinyは無用ですから、もうちょっと方法を考えてもらえたらよかったのに…とは思っています。
ReWireが使えなくなった点をExport機能でフォローできるのかは分かりませんが、今後Jobプラグインなどを通じて、より作業効率があがるものが登場してくれるはず、と期待しているところです。