つい先日Cubase/Nuendoにも対応したことが正式発表された、Nektar Panorama CS12(81,400円税込)。今後も対応するDAWは増えていく予定ですが、現在はLogic ProとCubase、そしてNuendoに完璧に連動するフィジカルコントローラとして、国内でも発売がスタートしています。Panorama CS12は、バスパワーで駆動し、別途電源を繋がなくてもモーターフェーダーを使用することができるのが大きな特徴で、チャンネルの操作はもちろんのこと、プラグインのパラメータまでも、手元で操作可能。細部までこだわり抜かれた、洗練されたデザインにより、一般的なフィジカルコントローラを超えるワークフローを実現することができるのです。
Panorama CS12を開発したNektar Technologyは、評判の高いさまざまなMIDIキーボードを開発するアメリカ・カリフォルニア州のメーカー。価格以上に優れた製品が多く、コントローラとキーボードが融合したImpact LXシリーズなど、1度使ったら離れられない製品をリリースしています。そんなNektarが、満を持して発売したのがPanorama CS12であり、煩わしいPC操作から解放され、より直感的に音楽を作っていくことができるのです。実際に、CubaseでPanorama CS12を試してみたので、紹介していきましょう。
プラグインもコントロールできるフィジカルコントローラPanorama CS12
Panorama CS12は一番左にフェーダーとソロやミュート、レコードアームボタンを装備しており、その隣にはさまざまな情報を表示するディスプレイ、その下にはトランスポート周りが並んでいて、一番右にはプラグインを制御するための12個のツマミが搭載されています。
大きさは、横39cm、縦18.5 cm、厚みが6.5cmと少々大きめのサイズ感。Mac Book Pro 13インチモデルのキーボード部分よりも、横は一回り大きく、縦は一回り小さいぐらいですね。まあ、これだけの機能が詰まったフィジカルコントローラーであれば無難なサイズだと思います。小さすぎても操作しづらいですからね。
全体的に高級感のある作りとなっており、ツマミもある程度の重さがあり回していて心地よいものとなっています。ボタンは、固くて押しにくいということもなければ、柔らかすぎて誤操作してしまうということもなく、全体的にしっかりと作られているという印象。
一般的なフィジカルコントローラに搭載している機能も、高いレベルで搭載している
さて、それぞれのセクションごとに詳しく見ていきましょう。まずは、一番左にあるフェーダーなどから。 Panorama CS12に搭載されているフェーダーは、100mmサイズと大きいサイズ感となっています。ボリューム操作がしやすく、またその右側には、ミュートやソロ、レコードアームなど、各チャンネルに搭載されているボタンが搭載されています。SELECTというボタンを有効にするとDAW上で選択したパラメータをフェーダーまたはパンポットで操作できるようになったり、
虫眼鏡マークのFineボタンを押しながらフェーダーやパンポット、またはそれ以外のツマミを操作すると、通常の10倍、より細かいパラメータ調整を行えるようになっています。Fineボタンを使った、微細なコントロールは、ほかのフィジカルコントローラにはない機能ですが、それ以外はよく見かける、基本的な機能となっています。
また、このセクションには、音量を6つのセグメントで表示するメーターも搭載しています。
続いて、下段に搭載されているトランスポート周り。再生停止、レコードやループボタン、オートメーションのオンオフなどなど、主に使用する機能が割り当てられています。SHIFTボタンを押しながら、ボタンを押すと、ボタンの下に書かれている機能を使うことができ、ループの範囲を変更したりといったこともPanorama CS12上で行うことが可能。
また、MARKERSボタンを点灯させると、マーカー1からマーカー9までタイムラインをジャンプさせることができたり、ここのセクションのボタンでミキサーウィンドウを開いたり、選択するトラックを変更したりなど、DAW自体を操作することが可能となっています。
また、中央のディスプレイの隣には、画面のズームを操作できるZOOMツマミ、テンポを変更できるTEMPOツマミも搭載しています。
自動マッピングされたプラグインを12個のツマミでコントロール
まあここまでは、ほかのフィジカルコントローラでも見かける機能ですよね。とはいえPanorama CS12のフェーダー周りやトランスポート周りがよく設計されているので、かなり使いやすいのですが、Panorama CS12の真骨頂は右側にある12個のツマミを使ったプラグインコントロール。
まずは、Cubaseに搭載されている純正のプラグインから見ていきましょう。トラックにCubaseの付属EQであるFrequencyをインサートしてみました。すると、中央のディスプレイにもFrequencyの文字が表示されます。ここには、トラックにインサートされたプラグインが表示されるようになっており、ほかのプラグインも読み込んでみると、ずらっとインサートしているプラグインを閲覧することができます。
Frequencyのパラメータを変更するためには、画面の右側にある1-8のボタンで対応するボタンを押します。この場合は、1番目にFrequencyをインサートしているので、1番のボタンを押します。
すると、中央のディスプレイにFrequencyのパラメータが表示されます。
ディスプレイの色と、右側の12個のツマミの色、位置が連動しており、ツマミを回すとゲインやフリケンシー、Q幅などを調整することが可能。
また、12個のツマミの下のボタンを押すと、そのバンドをバイパスしたり、
デフォルトでは1-4のバンドが表示されているのですが、ディスプレイの下のボタンを押すと、5-8のバンドを表示させたり、シングルバンドで表示させたり、アウトプットのレベルを調整できるようになったりなど、ディスプレイに示されているメニューを開くことができます。
また、Cubaseにはインサートとは別に、チャンネルストリップが用意されています。ここにはNoiseGateやEQ、コンプなど6つのスロットが用意されています。これもPanorama CS12からコントロールすることが可能です。CHANNELボタンを押すと、インサートの選択からチャンネルストリップを選べるモードに切り替わり、1-8のボタンを押すと、チャンネルストリップのモジュールをコントロールできるようになります。DeEsserでも、Tube Compでも、Maximizerでも、なんでもPanorama CS12から調整可能なのです。
サードパーティ製のプラグインも、自動的にマッピングされる
そして、サードパーティ製のプラグインも見ていきましょう。WavesのCLA-76をインサートしてみました。このプラグインはバッチリ最適化されており、純正プラグインと同様に、Panorama CS12にパラメータがマッピングされていました。
ほかにも、Universal Audio、Softube、Soundtoys、FabFilter、DotecAudio…などなど、手元にあるプラグインはすべて自動マッピングを確認することができました。ただ、iZotopeのOzoneなど、プラグイン内にモジュールを並べられる系のプラグインは、自動マッピングは厳しいので、自分自身でカスタマイズしていくことになりますね。
以上、プラグインもコントロールできるフィジカルコントローラPanorama CS12を紹介しました。使い慣れれば、ほぼPCを操作せず、直感的にDAWを素早くコントロールできると思いますよ。なお、Cubaseは13.0.51 / 14.0.10以降、Logic Proは10.7.8以降、WindowsはWindows 10以降、MacOSが11.5以降の対応となっています。フィジカルコントローラをフル活用した音楽制作を始めてみてはいかがでしょうか?
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