ブラックフライデーセール中の今、Wavesは永久ライセンスとサブスク、どっちがお得なのか徹底検証してみた!

昨年の春Wavesは、サブスクに1本化するというニュースを出して、世界中大騒ぎとなりました。が、結局数日後には従来通りの永久ライセンス、Waves Update Plan(WUP)に加えて、サブスクプランのWaves Creative Accessという、3つの選択肢に落ち着きました。おそらく、この体制でしばらくは続くのだろうと思いますが、そこでちょっと疑問に思うのは、結局、どれを選択するのが自分にとって一番いいのかという点。どの使い方が一番費用を抑えられるのか、そもそもWUPって何?、2台のPCでWavesを使いたいのだけど2つライセンスを買う必要があるのか…など、実際に価格を比較しながら徹底検証していきたいと思います。

プラグインとして、超ド定番であるWaves。オーソドックスなプラグインから、時代に合わせた最新のプラグインもラインナップされているので、プロの方はもちろんのこと、これからDTMを始めようと思っている方や初心者の方でも、DAWで音楽制作するなら、Wavesプラグインは使用することになると思います。なので、2024年版として、現在セール価格になっているバンドル品なども比べつつ、どうWavesと付き合っていくのが最適なのか見ていきましょう。

永続ライセンスとサブスクリプションを比較してみた

Waves永久ライセンスの単体プラグインとバンドル

まずWavesのプラグインを使うには、永久ライセンスを購入するか、サブスクに加入するかの2パターンが存在しています。永久ライセンスは、単体プラグイン、そしてその単体プラグインをセットにしたバンドル製品の2種類あります。そしてサブスクリプションにも2パターン、Waves Ultimate、Waves Essentialの2つの選択肢があります。

Wavesは大きく分けて、永続ライセンスとサブスクの2つの選択肢がある

まずは、永続ライセンスについてですが、単体プラグインというのは、Wavesが発売しているプラグインを1個ずつ買う方法。どれか特定のプラグインのみを使いたい場合、この買い方をしている人もいると思います。セール時期であれば、1つのプラグインは大体5000円前後の価格帯になります。

Wavesの単体プラグインはセール期間中は約5000円前後で購入できる

そして、その単体プラグインを複数個セットにしたバンドルですが、これもたくさんの種類があり、少し迷ってしまうポイントです。基本的なバンドルは、Power Pack、Silver、Gold、Platinum、Diamond、Horizonで、以下の画像がざっくりとした解説です。

WavesのメインプラグインバンドルのフラグシップはHorizon

Waves公式では、メインプラグインバンドルのフラグシップはHorizonとしているのですが、このもう1つ上にMercuryというWavesプラグインをほぼほぼ網羅したバンドルが存在しています。

ほぼすべてのWavesプラグインを網羅している、最大のバンドル製品Mercury

そんなMercuryに含まれていないプラグインとしては、SSL系やAbbey Road系があるのですが、これらも別でバンドル製品として発売されています。

Mercuryにはバンドルされていない、SSL 4000 CollectionやAbbey Road Collectionといった製品も存在する

とりあえずWavesには220種類を超えるプラグインがあり、それをいくつかグループに分けて、バンドルとして販売しているというわけですね。プラグインの数が多いので、複雑に感じますが、基本的に永続ライセンスに関しては、他社と同じような形式です。

220種類を超える単体プラグインが、それぞれのバンドルに収録されている

Waves Update Plan(WUP)は、永続ライセンスのオプション的なもの

そして、WUPというのは、Waves Update Planの略で、永続ライセンスのオプション的なものと捉えてOK。WUPの主なサービスは、

・最新バージョンへのアップデート
・2ndライセンスオプションの提供
・Waves社によるテクニカルサポート
・Recover License オプション

の4つ。期間は1年単位で区切られており、WUP加入中の1年間にリリースされた最新バージョンへは、自由にアップデートでき、またこの期間であれば2つのライセンスを使うことができます。なお新規でプラグインを購入した際は、最初の1年間はWUPが適応されている状態となります。

そしてポイントとなるのが、別にこのWUPは切れても問題ないというところ。WUPが切れようが、永続ライセンスを買ったプラグインはそのまま使えるので、基本的には再度加入しなくても問題なし。たとえば最新バージョンにしたいから、5年後にWUPを購入するといったことでもいいわけです。購入する必要が出てくるパターンとしては、PCを新しくして、OSが変わったから、Wavesも最新バージョンするといったことや、2台のPCでWavesを使えるようにしたい、といった場合ですね。

Wavesを最新の状態にすることのできるWUP

もし、スタジオと自宅用に2つのライセンスがほしいとなったとき、たとえばMercuryに加えてSSL 4000 CollectionおよびAbbey Road Collectionを2つずつ買うのと、これらを1つずつ買ってWUPに入り続けた場合だと、7年以上使い続けるのであれば、これらを2つずつ買ったほうがお得になります。今のセール中の価格でMercuryは264,000円(税込)で、SSL 4000 Collectionもセール価格で27,280円(税込)、同じくAbbey Road Collection(税込)は15,840円の合計307,120円。2つずつ買うと約60万円ぐらいです。これらを1つとWUPに入り続けた場合、この値段を超えるのが、7年後というわけですね。Mercuryを1つとWUPに入り続けた場合は、もちろん最新バージョンを使い続けることができますが、Mercuryを2つの場合は、買った状態のまま使い続けることになります。

なんですが、こういった使い方をするのであれば、実はサブスクも1つの契約で2つのライセンスが使えることもあり、サブスクの方がお得かもしれないので、後ほど実際に価格を比較していきたいと思います。

ちなみに、Wavesを最新バージョンにすると、どういった違いがあるのかについては、V15になった際にそのアップデート内容をまとめた記事「WavesのAIプラグインStudioVerseが無料で開放! バンドル品の収録数も大幅増加の新バージョン、Waves V15リリース」こちらがあるので、ぜひ参考にしてみてください。なおWUPの価格は、適用するプラグインによってことなるので、正確な金額はWavesのマイページ、Get Waves Update Planからご確認ください。

Get Waves Update Planから、WUPの価格は確認できる

また少し脱線しますが、Wavesのすごいところを挙げるとすると、たとえば10年前のセッションを開いたとしても、Wavesのプラグインは、Pro Toolsと同じように昔のバージョンとの互換性がしっかりしているので、そのまま開ける点にあります。Wavesプラグインでミックスしておけば、たとえ数年前のセッションを開いたとしても、プラグインのパラメータをそのまま再現できるという、他社にはない特徴を持っています。業界標準で使われてきたプラグインだからこそ、今もなお使われ続けているわけです。

永続ライセンスにはない魅力を持ったサブスクリプションプラン

Wavesのサブスクリプションには、220種類を超えるWavesプラグインをすべて使えるWaves Ultimateと110種類のプラグインを利用可能なWaves Essentialの2つのプランが用意されています。それぞれ、1ヶ月更新と1年更新の2つの選択肢があります。

Waves Ultimateプランが年間通常37,500円のところ30,000円。Waves Essentialが年間通常22,500円のところ18,000円のセール実施中

この2つのプラグインの違いは、使えるプラグインの数のみ、ほかは一緒となっています。なお、サブスクもWUPと同様に2つのライセンスを使うことが可能で、プラグインは常に最新バージョンを使うことができます。そんなサブスクリプションプランを使うことでの恩恵は、たくさんのプラグインが利用可能になる、というもののみならず、StudioVerse InstrumentsとStudioVerse Audio Effectsがフル活用できるという点にあります。

AI機能を搭載したチェインプラグインStudioVerse Audio Effects

フル活用するためには、Waves Ultimateプランを選ぶ必要がありますが、まずはStudioVerse Audio Effectsは、DAWのトラックを再生してAIに聴かせることで、それにマッチしたプリセットをお勧めしてくれるという機能を搭載する、最大8個のプラグインを組み合わせたオリジナルのチャンネルストリップを作成可能なプラグインです。AIがおすすめしてくれるプリセットは、グラミー賞を受賞した膨大な数のプロデューサーやミキシングエンジニアが作成したもので、初心者でも簡単に本格的な音作りを行えると同時に、トッププロがどういったエフェクトを使ってパラメータをどう設定しているか参考にすることも可能。

グラミー賞を受賞した膨大な数のプロデューサーやミキシングエンジニアが作成したプリセットを使用可能

このおすすめしてくれるプリセットは、Wavesプラグインすべてを対象として作られているので、持っていないWavesプラグインがあるとデモ版で再生されてしまうのです。なので、この機能を最大限活用するとなれば、Waves Ultimateプランに加入しておくのがおすすめなわけです。

またStudioVerse Instrumentsというのは、StudioVerse Audio Effectsのインストゥルメント版で、AIを搭載しているわけではないですが、最大規模のオンラインプリセットライブラリから、お気に入りの音源を探して、自分の楽曲にすぐに活かすことができるというもの。StudioVerse Audio Effectsも、StudioVerse Instrumentsも、サードパーティ製のプラグインもチェインに含めることができるので、公開されているチェインの中に自分が持っていないプラグインがある場合、サードパーティ製ならバイパスされてしまいますが、主にWavesプラグインで構成されているので、一部のプラグインが収録されたバンドル製品よりも、全プラグインが収録されたWaves Ultimateプランの方が恩恵を受けられるのです。

世界中のプリセットにアクセスできるだけでなく、本体の機能も充実している

このStudioVerse InstrumentsとStudioVerse Audio Effectsは、無料で使うことができるし、プラグインのインサート数が制限されているDAWでもStudioVerse Audio EffectsやStudioVerse Instrumentsを使えば、実質その制限を取り払えて、StudioVerse Audio Effectsを使えばPro ToolsでVSTプラグインが使えるようになったりするので、とりあえずゲットしておいて損はないですよ。

サブスクと永続ライセンスを徹底比較

ここまで、サブスクと永続ライセンスを紹介してきましたが、実際に価格としてはどうなるのか見ていきましょう。ここで比べていくのは、MercuryにSSL 4000 CollectionおよびAbbey Road Collectionを加えたものと、全プラグインが使えるWaves Ultimateプラン。正直Mercuryには通常価格というのが、ほぼないので今のブラックフライデーセール価格のWUPなしと比べていきましょう。現在Waves Ultimateプランもセール中ですが、こっちは通常価格で比較します。サブスクの方が全部のプラグインが使えて通常価格なので、やや不利な気もしますが、まあ計算してみました。

サブスク8年目で、Mercury+SSL 4000 Collection+Abbey Road Collectionと同じ価格になる

上記の棒グラフの左側がMercury+SSL 4000 Collection+Abbey Road Collection、右側がWaves Ultimateプランの金額です。Mercuryは、今のセール価格264,000円、SSL 4000 Collectionもセール価格で27,280円、同じくAbbey Road Collectionは15,840円の合計307,120円。Waves Ultimateプランは年間通常価格37,500円で計算しているのですが、Waves Ultimateプラン8年目で300,000円になるので、ここが大体の分岐点となりそうですね。

かなり意外な結果となりました。セールタイミングを利用すれば、もう少し変動がありそうですが、少なくともサブスクがめちゃくちゃ損であるということはなさそうです。むしろ、8年もOSを変更しないでMercuryを使い続けるということは、ほぼないと思うので、どっかでWUPを挟むことにはなるでしょう。そう考えると、サブスクは新製品も随時追加されていくし、結構お得なのではないでしょうか?

さて、前述したMercuryを2つのPCで使うためにWUPに入り続けた期間と比べると、約半値ぐらいになります。つまり、2台のPCにWavesをインストールする場合、Mercuryバンドル+SSL 4000 Collection+Abbey Road Collectionを2つずつ購入すると約60万円。Mercuryバンドル+SSL 4000 Collection+Abbey Road Collectionを1つずつ購入してWUPに入り続けると、7年間で約60万円。Waves Ultimateプランに8年間加入で約30万円、16年間入り続けると、約60万円になることが分かりました。

(Mercury+SSL+Abbey Road)+(Mercury+SSL+Abbey Road)=約60万円
(Mercury+SSL+Abbey Road)+WUP7年間=約60万円
Waves Ultimateプラン8年間=30万円
Waves Ultimateプラン16年間=60万円

サブスクであれば、使わなくなったら更新を止めればいいし、たまにしか音楽制作しないのであれば、その月だけサブスクを利用するという方法もあります。環境を変えずに、Wavesプラグインを使い続けるのであればバンドル、フレキシブルに時代に合わせていくならサブスクというところでしょうかね。

現在開催しているブラックフライデー情報

最後に現在開催されているWavesのブラックフライデーセールをまとめておきましょう。といいつつも、先日11月18日までのWaves Bundle Black Friday Saleが行われていたので、ここがバンドルのセールだったのですが、終わってしまいました。ですが、Rock oNなどに在庫が残っていれば12月31日まで購入することができるので、表を貼っておきますね。

製品名 希望小売価格(税込) 税込セール価格 割引率
Gold ¥127,600 ¥16,720 87%
Platinum ¥319,000 ¥21,120 93%
Diamond ¥478,500 ¥29,920 94%
Horizon ¥638,000 ¥32,560 95%
Mercury ¥1,212,200 ¥264,000 78%
CLA Classic Compressors ¥95,700 ¥8,800 91%
API Collection ¥95,700 ¥9,680 90%
Chris Lord-Alge Signature Series ¥63,800 ¥10,560 83%
Renaissance Maxx ¥63,800 ¥10,560 83%
OneKnob Series ¥39,600 ¥10,560 73%
SSL 4000 Collection ¥119,900 ¥15,840 87%
Studio Classics Collection ¥270,600 ¥26,400 90%
Abbey Road Collection ¥255,200 ¥27,280 89%
Vocal Production ¥231,000 ¥40,480 82%

 

製品名 税込セール価格
Diamond Upgrade from Gold ¥22,000
Diamond Upgrade from Platinum ¥9,900
Horizon Upgrade from Gold ¥26,400
Horizon Upgrade from Platinum ¥16,500
¥14,300
Mercury Upgrade from Diamond ¥159,500
Mercury Upgrade from Horizon ¥125,400
Mercury Upgrade from Platinum ¥194,700
Platinum Upgrade from Gold ¥13,200
¥14,300

そして、11月25日からは単体プラグインのセールもスタートしています。対象となるのはAbbey Road Studio 3、Clarity Vx DeReverb Pro、Clarity Vx Proを除くWAVESの全ブラグインで、セール価格はすべて1本あたり税込み2,860円となっています。

以上、Wavesのセール情報、サブスクとバンドルの比較などを紹介しました。音楽制作で切っても切れない関係のWaves。Horizonがセール価格で32,560円(税込)なので、サブスク約1年分の値段と考えると、ここは判断が少し難しそうですよね。ぜひご自身の音楽スタイルに合わせて、最適なWavesとの付き合い方を見つけてみてください。

【関連情報】
Wavesページ
Waves Creative Access サブスクページ

【価格チェック&購入】
◎Media Integrationオンラインストア ⇒ Waves V15 Mercury
◎Media Integrationオンラインストア ⇒ Waves V15 Horizon
◎Media Integrationオンラインストア ⇒ Waves V15 Diamond
◎Media Integrationオンラインストア ⇒ Waves V15 Platinum
◎Media Integrationオンラインストア ⇒ Waves V15 Gold

モバイルバージョンを終了