AIマスタリングで知られるLANDR(ランダー)が現在ブラックフライデーセールを実施中です。LANDRについては10年前に最初の記事を書きましたが、LANDRはAIが音楽制作の一部を担うのは、まだ珍しかった時代に、先駆けてAIによるマスタリングを提供していたサービス。日本での正式サービススタートは2016年で、インターネットを介した自動マスタリングサービスとして認識している方も多いと思います。そんなLANDRは、時を経て進化しており、マスタリングサービスだけでなく、AI作曲ツールLANDR Composerの提供やサンプル音源サービスの展開、ディストリビューションサービス、プラグインの開発などなど、音楽制作をリリースまでサポートする存在となっているのです。
そのLANDRが現在ブラックフライデーセールを行っており、サブスクも永久ライセンスもかなりお得となっているのです。特に永久ライセンスがゲットできるプラグインバンドルは注目で、LANDRの音源、プラグインに加えて、ボーカルピッチやタイミングを直すSynchro ArtsのVocAlign 6 ProやReVoice Pro 5も含まれています。上位版の単体で購入すると合計2000ドル=約30万円相当のプラグインが収録されたUltimate Plugin Bundleは通常46,900円(税込)のところ50%OFFの23,450円(税込)。合計1000ドル=15万円相当のSuper Plugin Bundleも同じく、50%OFFで、通常26,700円(税込)のところ13,350円(税込)となっています。年々進化しているLANDRが現在どういったサービスになっているなのか、改めて紹介するとともに、このブラックフライデーセールの内容についても紹介していきましょう。
人工知能によるマスタリングからスタートしたLANDRとは?
10年前に「マスタリングを人工知能が行う時代に!?」という記事や日本での正式サービススタートした2016年に「人工知能によるマスタリング、LANDRが日本上陸。SleepfreaksとのコラボでREMIXコンテストも実施中!」という記事を書いていますが、そこにもあるとおり、LANDRはAIによるマスタリングからスタートしたサービスで、カナダでスタートした会社です。
現在もそのマスタリングサービスは継続しており、以前と同様LANDRにブラウザでアクセスした上で、このサイト上にファイルをドラッグ&ドロップして、手順を踏めばAIによるマスタリングを体感することが可能です。もちろん、このオンラインでのマスタリングも年々進化しており、現在はグラミー受賞者や500万人以上のミュージシャンに使用され、レディー・ガガ、グウェン・ステファニー、スヌープ・ドッグ、シールなどのアーティストにも使われているそう。
そんなLANDRのマスタリングは、オンラインだけでなく、このAIマスタリングエンジンをプラグイン化し、DAW上でも使えるようになっています。それがLANDR Mastering Plugin PROであり、永久ライセンスを購入して使うこともできるし、サブスクに登録して、その期間だけ使うと行ったことも可能。LANDRにはサブスクの部分と永久ライセンスを購入できる、いくつかの選択肢があるので、これについても後ほど詳しく紹介しますね。
音楽制作をリリースまでサポートするLANDR
そんな、AIマスタリングの先駆者であるLANDRは現在、冒頭にも書いたようにトータルして音楽制作をサポートする存在になってきています。LANDR Mastering Plugin PROをはじめとするプラグインの展開では、LANDRオリジナルのプラグイン開発も行っているのですが、それだけではなくサブスクに登録するとIK Multimedia、Baby Audio、UJAMなどの音源なども使えるようになったりと、音楽制作全般で使えるプラグインを提供しています。
また自動作曲ツールLANDR Composerもリリースしています。これ実は、以前「超優秀な人工知能DTMアシスタントで自動作曲するプラグイン、Orb Producer SuiteがV3に」という記事で、紹介したことのあるOrb Pluginsを買収して、リリースされたもの。しかもこのニュースは2024年10月16日だったので割りと最近のできごとなんですよね。それでいうと、VocAlign 6で知られるSynchro Artsも、2021年からLANDRに買収されており、現在はLANDRのブランドとなっています。
冒頭にも書いたように、サンプル音源サービスも展開していたり、Spotify、AppleMusic、Amazon Music、YouTube Musicなどに自分の楽曲を配信するためのディストリビューションサービスを行うなど、制作からリリースまで、トータルでサポートする、今勢いのあるサービスになっているのです。また英語なので、日本のユーザーは少しハードルが高いですが、オンライン音楽コースの提供も行っています。
そんなLANDRですが、展開しているサービスが多いので、改めてまとめると以下の通りになります。
サンプル音源サービス
プラグイン
オンライン音楽レッスン
コラボレーションサービス
ディストリビューションサービス
そして、サブスクにもいろいろ種類があるので、簡単にまとめていきますね。まず、LANDRが提供する6つのサービス、すべてを利用するためのLANDR Studioというプランがあります。
それから、マスタリング、ディストリビューション、サンプル音源サービス、コラボレーションサービス、オンライン音楽レッスンと、これらサービスを単体で利用するためのプランがそれぞれ用意されています。これも現在はブラックフライデーセール中ですね。
プラグインの永久ライセンスUltimate Plugin BundleとSuper Plugin Bundle
プラグインに関しては、LANDR Studioのプランを契約すると、その期間のみの使用になりますが、プラグインだけの場合は永久ライセンスとなります。プラグインは、個別での永久ライセンスとバンドルの永久ライセンスがあり、そのどちらとも現在はセール中。バンドル製品については、Ultimate Plugin BundleとSuper Plugin Bundleの2種類があり、価格と収録されているプラグインに違いがあります。
Ultimate Plugin Bundle収録プラグイン
LANDR Mastering Plugin PRO
LANDR Composer
LANDR Synth X
LANDR Guitar
LANDR FX Suite
Chromatic
RePitch Standard
VocAlign 6 Pro
Revoice Pro 5
LANDR Mastering Plugin SE
LANDR Composer
LANDR Synth X
LANDR Guitar
LANDR FX Suite
Chromatic
RePitch Standard
VocAlign 6 Standard
冒頭にも書いたように現在の価格は、Ultimate Plugin Bundleは通常46,900円(税込)のところ50%OFFの23,450円(税込)。Super Plugin Bundleは通常26,700円(税込)のところ13,350円(税込)となっています。
このブラックフライデーセールを最大限活かすのであれば、上位版であるUltimate Plugin Bundleがおすすめ。収録されている中から、いくつか目玉のプラグインをピックアップするとすると、まずはMastering plugin Proです。これは、オンラインAIマスタリングサービスをプラグイン化し、よりユーザーが調整できるようにしたもの。オンラインでAIマスタリングすると、ユーザーはスタイルを温もり(Warm)、バランス(Balanced)、開く(Open)から選択し、音圧を低、中、高から選んで、マスタリング後のデータが書き出されます。こちらは、いくつか選択はしますが、ほぼAI任せの自動マスタリングである一方、Mastering plugin ProはAIの力を借りつつも、最終的にはユーザーが細かくセッティングしていく作りとなっています。
使い方としてはMastering plugin Proをマスタートラックにインサートし、楽曲を再生して、音源を解析させます。
しばらくして解析が終わると、以下のような画面が表示されます。
画面中央には、オンラインAIマスタリングのときと同様に、Warm、Balanced、Openの3つの選択肢が表示されます。Warmは、暖かみのあるビンテージ系の仕上がり、Balancedは標準的なバランスの取れた仕上がり、パンチ感を意識したモダンな仕上がりという項目になっています。
それぞれWarm、Balanced、Openを選択すると、それに応じて、その下にあるEQやコンプなどのセッティングが自動で切り替わり、たとえばEQのHighというパラメータを上げたとしても、Warm、Balanced、Openのそれぞれで上がり始める周波数やQ幅に違いがでてきます。AIが決定してくれるのは、こういったEQのFrequencyやQ、コンプのThreshold、Ratio、アタック、リリースなどだけ。実際にどれぐらいの変更を加えていくかは、ユーザーが設定する形となっています。
割と思いっきりパラメータをいじっても、破綻しないようにできているのもポイントで、Mastering plugin Proはどちらかというと、元のミックスをよりよくする方向性で使うツールとなっており、繊細なコントロールが可能となっています。よく似たツールでいうと、iZotopeのOzoneが挙げられますが、これとはコンセプトがだいぶ違うように感じますね。Ozoneは、少しミックスがあまい音源でも、それを修正していい感じにしてくれるという側面がある一方、Mastering plugin Proは、しっかりとしたミックスをさらに最適な仕上がりに整えていく使い方になると思います。それこそ、プロのマスタリングエンジニアがパラメータを繊細にコントロールするような感じ。AIが最適なパラメータを設定してくれているので、ゼロから周波数を決めてEQを動かしたりする必要がなく、掛かり具合だけを調整すればいいので、豊富な知識と経験がなくとも、Mastering plugin Proを使えば、高いレベルのマスタリングを実現することができますよ。
Synchro Artsプラグインも収録
ほかのプラグインをピックアップするなら、やはりSynchro Artsのプラグインたちも外せませんね。Synchro Artsのソフトに関しては以前「ハモリパートを簡単操作でバシッと揃えるSynchro Arts VocAlign Ultra」、「カッコいいラップを簡単に作れるプラグイン、VocAlignを実践してみた!」といった記事で紹介していましたが、いまやLANDR傘下のソフトとなっていたんですね。そのそのSynchro Artsのプラグインを集めたUltimate Plugin Bundleに収録されているのは、
RePitch Standard
Revoice Pro 5
の3つ。詳しくは、これら最新製品についてはまた別記事で紹介したいと思いますが、ざっくりそれぞれの特徴を紹介すると、VocAlign 6 Proは、リファレンスにすばやく自動で合わせてくれるプラグイン。たとえばリードボーカルをガイドにして、ダブルやハモリパートのタイミングやピッチを自動で調節、しかも精度よく行ってくれるので、ハモリが多い楽曲だったり、複数人で歌う楽曲で重宝するツールとなっています。RePitch Standardは、ピッチ修正ツールのMelodyneの同様の用途で使うことのできるツール。基本的にできることはほぼ同じですが、たとえばLogicに搭載されているピッチ修正ツールを使うぐらいであれば、圧倒的にこちらを使ったほうがいいです。RePitch StandardとMelodyneは、ある意味音楽制作をするのであればWindowsがいいか、Macがいいかといった話に近く、どちらも優れています。強いていうと、RePitch Standardの方がより直感的に操作できますね。
そして、Revoice Pro 5は、このVocAlign 6 ProとRePitch Standardを合体させたフラグシップモデルであり、どちらの機能も搭載しています。ガイドに合わせることももちろん、個別にピッチ調整を行うことも可能。また、歯擦音のコントロールやタイムストレッチにも対応した高度な編集ができるツールとなっています。ただ、どちらの機能も搭載しているので、ちょっと画面が複雑なので、使い分けるのがおすすめです。
なお、Synchro Arts製品は、国内代理店であるTACSYSTEMでも取り扱いされていますが、そのサポートが受けられない点には注意が必要です。現状は、LANDRで購入した場合、英語での対応になるとのことです。
以上、LANDRのブラックフライデーセールについて紹介しました。たとえば、Revoice Pro 5を単体で購入すると約4万円なので、今回のセールはかなりお得。ここでは紹介しきれませんでしたが、シンセ音源やギター音源も入っているし、ワンノブでコントロールできるLANDR FXシリーズも魅力的。ぜひ、この機会にLANDRをチェックしてみてはいかがでしょうか?
【関連サイト】
LANDRサイト
LANDR プラグインセールページ
【価格チェック】
LANDR ⇒ LANDR Studio
LANDR ⇒ プラグインバンドル