エフェクトとしても利用可能になったArturiaの超強力ソフトシンセ、Pigments 5の進化点

Prophet VModular VCS-80V……など長年ビンテージシンセのソフトウェアとしての再現を行ってきたフランスのArturia(アートリア)。そのArturiaが2018年に同社初となるオリジナルのソフトシンセとして開発したのがPigments(ピグメンツ)でした。そのPigmentsの第5世代となるPigments 5がリリースされました。ご存じのとおり、ArturiaはソフトシンセメーカーでありながらPolyBruteやMiniBrute 2、MicroFreak、MiniFreak……といったオリジナルのハードウェアシンセを開発し、さらにはAudioFuseやMiniFuseなどのオーディオインターフェイスも開発するDTM・シンセサイザ系の総合メーカー。

そんなArturiaのPigmentsはバージョンアップを重ね、1つのソフトシンセ内に、ウェーブテーブル、バーチャルアナログ、ハーモニック、サンプル&グラニュラーというまったく異なる4種類のサウンドエンジンを搭載し、これまでにない斬新な音作りができる強力なシンセサイザとして、多くのユーザーに愛用されていました。そのPigmentsに新機能として新しいジェネレーティブシーケンサーを搭載したり、オーディオをPigmentsで処理できるようになりました。以前のバージョンを持っている方であれば、無償アップデートでき、また現在2月13日までイントロセールも実施中です。そんなPigments 5について、どんなアップデートが行われたのか紹介していきましょう。

さらなる機能強化が行われたArturiaのPigments 5

Arturia初のオリジナルソフトシンセPigmentsが第5世代に

Pigmentsは、2018年に発売されたArturia初めてのオリジナルソフトシンセ。当時、Arturiaのマーケティング担当、Bryan Borcherds(ブライアン・ボーチャーズ)さんにインタビューした記事「Arturiaから初のオリジナル・ソフトシンセ誕生。Wavetableとアナログシンセを組み合わせた究極のソフトシンセ、PIGMENTSとは?」もありますが、そこから年々アップデートを繰り返し、より強力な音源へと進化していっています。

以前第3世代が発表されたタイミングで「まったく異なる4タイプのエンジンを搭載したArturiaのオリジナルソフトシンセ、Pigmentsが第3世代に」という記事を書きましたが、このときにはウェーブテーブル、バーチャルアナログ、ハーモニック、サンプル&グラニュラーというまったく異なる4種類のサウンドエンジンが搭載され、直感的に使いやすいながらも幅広い音作りが可能になりました。

そして今回Pigments 5になって、新しいジェネレーティブシーケンサーやルーティングしたオーディオをPigmentsで加工できるようになったり、ウェーブテーブルとサンプルや100種類の新ファクトリープリセット、CPU負荷の軽減、インターフェイスの刷新が行われました。

フレーズを無限に生成してくれるジェネレーティブシーケンサー

ジェネレーティブシーケンサー自体は、とてもシンプルな新機能でワンクリックでメロディを作成してくれるもの。ランダマイズ機能に近いものですが、単純なランダムではなく、なかなかいいフレーズを生成してくれるのがポイント。

サイコロボタンを押すと、次々とフレーズを生成してくれる

サイコロマークを押せば、次々とフレーズを生成してくれて、スケールの指定といった機能も搭載しています。

スケールを指定することも可能

Pigmentsをオーディオのエフェクターとして使用可能に

また、オーディオトラックの出力をPigmentsに入力することで、Pigmentsに搭載されているフィルターやエフェクトを使用することができるようになりました。

たとえばCubaseであれば、まずPigmentsのインストゥルメントトラックとオーディオループを並べたオーディオトラックを用意します。

まずはオーディオトラックとPigmentsのインストゥルメントトラックを作成

その後、オーディオトラックの出力をPigmentsにして、Pigmentsがこの信号を受け取れるよう設定し、

オーディオトラックのOutをPigmentsに変更

サイドチェイン入力もオンにして、Synthの中にあるUTILITY ENGINEタブの2段目をAudio Inputに選択すると、Inputのメーターが振れ始めます。

Pigmentsのサイドチェイン入力をオンにして、Audio Inputを選択

インストゥルメントトラックにMIDIノートを入力すると、オーディオループが流れ始めるので、あとはPigmentsに搭載されている、あらゆる機能でオーディオを加工していくことが可能となりました。

各種フィルターを使って、オーディオデータを加工できる

Pigmentsをゲットしてしまえば、音源としても、オーディオを加工するエフェクタープラグインとしても使用することができてしまうのです。

Pigmentsに搭載されているFXを自由に使用できる

Playビューが追加され、初心者でも使いやすく、パーフォマンス時も便利に

また、インターフェイスが刷新され、新しくPlayという演奏に重きを置いたシンプルな画面が追加されました。主要なパラメータが揃った画面になっているので、プリセットを選択して、ここで簡易的に音作りを始めていくことも可能。もともとPigmentsの画面は見やすくて使いやすかったですが、Playビューを使えば初心者でもPigmentsを好きなサウンドにしていくことができますね。

演奏時や初心者に嬉しいPlayビューが追加された

マルチコアプロセッシングにより効率を高めCPU負荷の軽減が行えるようになった

さらにSettingからMulticoreをオンにすると、マルチコア処理を活用可能になり、これまで以上にCPUを効率的に使うことが可能になりました。

マルチコアプロセッシング対応になった

以上、Pigments 5のアップデートポイントの概要を紹介しました。Pigmentsがオーディオのエフェクターとして使用できるのは、かなりいいアップデートポイントだと思います。むしろ、エフェクトとしてPigmentsを選んでしまってもいいレベルですよね。現在イントロセール中となっているので、ぜひこの機会に試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
Pigments 5製品情報

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