どうやって音楽でお金を稼ぐか知っていますか?JASRAC主催の音楽クリエイター限定・無料トークイベント、Creator’s Path

2017年から開催されているCreator’s Pathというイベントをご存知でしょうか?これは、日本音楽著作権協会=JASRACが主催するトークイベントで、音楽クリエイター向けの支援プログラム。著作権やJASRACの信託契約などに関する知識や情報を提供することで、音楽クリエイターの創作活動を支援することを目的としているのですが、毎回のゲストは第一線で活躍するクリエイターばかり。音楽制作の話などもあるので、参考になることもいっぱいです。

そんなCreator’s Pathは、次は2024年2月1日(木)に六本木クラップスで開催されます。音楽クリエイターは、2024年1月24日までに申し込みをすれば無料で参加することが可能(応募多数の場合は抽選)。ゲストは松井五郎さん、前迫潤哉さん、木村友威さんの3人です。プロになってどう楽曲制作をしていくのか、具体的にイメージを持つことができるトークセッションになる予定なので、多くのDTMユーザーにとっても興味をそそる話になりそうです。前回のCreator’s Pathは前迫潤哉さんと麦野優衣さんの二人のゲストという形で行われ、非常に面白い内容だったので、そのときの様子もピックアップしつつCreator’s Pathについて紹介してみましょう。

JASRAC主催の音楽クリエイター限定・無料トークイベント、Creator’s Path

2月1日のCreator’s Pathの概要

まずは、次回開催されるCreator’s Pathの概要です。

開催日:2024/2/1(木)
参加者応募締切: 2024/1/24(水)予定(応募多数の場合は抽選)
会場:六本木クラップス(六本木駅徒歩5分)https://c-laps.jp/
出演者:松井五郎・前迫潤哉・木村友威
テーマ:作詞家の見ている世界。ゲストと参加者による作詞ミニワークショップを実施予定。

ゲスト・プロフィール

松井五郎
作詞家。1981年にチャゲ&飛鳥の2枚目のアルバム「熱風」で作詞家デビュー。
安全地帯、工藤静香、BOØWY、氷室京介、郷ひろみ、MAX、V6など、幅広いアーティストに作品を提供。現在までの総作品数は、約3500曲。
代表曲には、安全地帯「好きさ」「Friend」、工藤静香「恋一夜」「メタモルフォーゼ」、BOØWY「Dreamin’」、ビリーバンバン「また君に恋してる」、氷室京介「KISS ME」、光GENJI「勇気100%」、V6「愛なんだ」などがある。
1985年には、安全地帯の「悲しみにさよなら」で日本レコード大賞金賞を受賞。
作詞家として、日本の音楽シーンを牽引する存在。
前迫潤哉
鹿児島県出身の作詞家、作曲家、編曲家、シンガーソングライター。2018年、欅坂46の「ガラスを割れ!」がミリオンセラーを記録。同曲は第69回NHK紅白歌合戦でも披露された。
主な提供楽曲には、欅坂46「W-KEYAKIZAKAの詩」、日向坂46「JOYFUL LOVE」、NiziU「LOOK AT ME」、Snow Man「EVOLUTION」、King & Prince「Focus」、内田雄馬「Salt&Sugar」、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「SUMMER DAYS」など。
2022年、音楽作家事務所「MOVEMENT PRODUCTION」を設立。
2018年にはオリコン年間ランキング・作曲家部門において1位を受賞するなど、活躍が目覚ましい作曲家。
木村友威
作詞家。2012年にKARAの「ロックオン」で作詞家デビュー。
主な提供楽曲には、SMAP「無我夢中なLIFE」、King & Prince「MAGIC WORD」、NiziU「Step and a step」、MAZZLE「Carnival」など。
作詞家として、幅広いアーティストに楽曲を提供しており、近年は特に若手アーティストへの楽曲提供が目立っている。今後も活躍が期待されるクリエイター。

 

この3名によるトークセッションが、2月1日に行われるわけですが、実際Creator’s Pathはどんな内容のイベントなのか、前回の様子をもとに紹介していきましょう。

前回行われたCreator’s Path “GATE”

前回行われたCreator’s Path “GATE”は、青山にあるライブハウス「月見ル君想フ」で行われました。作詞・作曲のほか音楽事務所の代表も務める前迫潤哉さんとシンガーソングライターで楽曲提供も行う麦野優衣さんの二人による楽しいトークを観ることができました。なお、前回は現地でのリアルイベントと同時にZoomでの配信も行われましたが、次回はリアルイベントのみとなっています。

青山にあるライブハウス「月見ル君想フ」で行われた

音楽制作における日本と世界の違いについて

ゲストのプロフィールの紹介や最近の活動などの話があり、話題は日本と世界の音楽制作の話題に。コロナ明けで、3、4年振りに韓国、フィンランド、スウェーデンで現地の人とセッションや共同で音楽制作を行うコーライトをした麦野優衣さんは、日本と海外との音楽制作のスタイルを比較して、
「まずスピード感が違いますね。そして、よく喋ります(笑)。普通に1時間半とか喋りますし、そして時間になると平気で帰っていきます。あとは絶対に最初か最後にご飯に行きますね。日本は、なかなかご飯は行かないですし、ちょっと切羽詰まった感じでセッションするので、日本人の働き過ぎがここにも出ているなと思います。海外のほうが緩いですが、的確なものを作る能力は高いですね。おそらく理由としては、自分がどういう個性を、この曲で出したいのかが、最初からブランディングとして決まっていることにあると思います。作家がただ求められたものを書くだけでなく、自分がどう爪痕を残すか込みで音楽を作っているので、そこも違いかなと思います」

シンガーソングライターの麦野優衣さん

「イケてるか、イケてないかのジャッジが早いですね。あとはボーカリスト、トップライナーと呼ばれる人もミックスはできて、基本みんな何でもできるので、全体に口出しできて、クオリティが上がるのかなと思います。そもそも、ボーカルのピッチ修正できるのは当たり前ですね」と前迫潤哉さん。

ちょっと脱線して、2mixをチェックで送るときは、zipファイルではなくて、出先ですぐに聴けるようにDropboxで共有したりしてほしいといった、日々音楽を作っている人だからこその会話も。

日本はコンペが中心。海外はアーティストと一緒に作るのが主流

また日本はコンペが中心ですが、世界はアーティストと一緒に作ることが多いという話も。
「海外のように自分からコミュニケーションを取りに行って仕事をゲットするのと、待っていればコンペがきて、という流れはモチベーションも違うのかなと。別に決まっていることではないので、もっと積極的に行動していってもいいですよね」(前迫潤哉さん)

作詞家、作曲家、編曲家、シンガーソングライターの前迫潤哉さん

音楽制作以外のアドバイスとして「昔のデモテープを出版社に送るみたいな時代よりも、現代の方が自分の楽曲を聴いてもらえる確率は高いんですよ。A&Rしている人のInstagramのアカウントを見つけて、音源を送ったら多分90%以上は聴いてもらえるはず。少なくとも、1回は自分のプロフィールをクリックしてもらえるので、簡単にアプローチできる時代だからこそ自分から動いてDMを送った方がいいと思います。そのときは、相手がすぐに音源を聴けるようにしてくださいね」(麦野優衣さん)

JASRACと契約したのは、身近な人からのすすめ。JASRACと契約を結ぶのはどうしたらいい?

一方でJASRACと契約したきっかけについては、「大先輩の方々に入ってないの?絶対損してるよ?と、10回ぐらい言われて、そろそろ手続き書類を取り寄せるか、となったのがきっかけですね」と麦野優衣さん。
「僕も一緒です。メジャーが決まりはじめたから先輩に絶対入った方がいいよと、言われたからですね。当時はJASRACと契約するのも大変で、役所に戸籍謄本かなんかを取りに行きましたよ」と前迫潤哉さん。

以前は、書類がたくさん届いて、手続きが大変だったJASRACの契約も、現在は2ステップのみ。オンラインから申し込みをして、確認が取れたら、免許証やマイナンバーカードを使って本人確認すればOK。印鑑証明書、戸籍謄本、住民票といったものは必要なくなったとのこと。通常であれば、費用が掛かりそうなところですが、JASRACは契約も、楽曲の登録も一切費用が掛からないのが特徴ですね。ぜひ詳しい話は「JASRACはDTMユーザーにとって敵か味方か!?突撃取材を試みてみた」という記事で紹介しているので、ご覧ください。

契約申し込み費用は0円

また、プロだけが契約できるのがJASRACというイメージの方も多いと思いますが、現在はJASRACと契約をする上でのハードルもグッと下がり、過去1年以内にYouTubeなどで再生回数が1,000回以上あれば、JASRACへの管理委託が可能。かなりライトになったので、もし楽曲を発表している方であれば、著作権使用料も追加で入ってくる可能性があるので、チェックしない手はありません。

この1年間に1,000回再生以上あれば、申し込みが可能

「私たちは音楽で生きていくんですよ。これで生涯生きていきたいと思っているから、ちゃんとお金を稼ぐ方法は知っておくべきです。それを助けてくれるのがJASRACさんなので、本当にお世話になっているなと思います」(麦野優衣さん)

JASRACと契約すると、もらえていなかった著作権使用料が受け取れるようになる

契約する、契約しないでいうと、たとえば自分の楽曲をSpotifyやApple Musicに上げている場合、再生回数に応じて音源使用料は入ってきますよね。一方で、著作権使用料というものも存在します。これは、楽曲が利用されたときに発生する、作詞家作曲家に対する使用料。配信代行サービスの注意事項にも、著作権管理団体のメンバーの方は著作権管理団体を通じて著作権使用料が送金されると書かれていると思います。この著作権使用料はJASRACに管理委託する契約を結ぶことで、音源使用料はこれまでどおりもらえて、加えて、著作権使用料も両方受け取ることができるんです。

音楽制作の話からリリース後、お金を受け取るまで、クリエイターのすべてが語られていた

SpotifyやApple Musicで配信すると、世界に発信される

もし世界で活動するとなるとIPI番号というものが必要となる。これも話題に上がっていたので、紹介していきましょう。

IPI番号とは、全世界の著作権管理団体が使っているクリエイターや音楽出版社、その権利者の情報が入ったデータベースで使われる権利者コードのこと。このIPI番号のあるクリエイターの作品に、ISWCという国際標準音楽作品コードが付与され、簡単にいうと海外で楽曲が使用された際にも使用料を受け取れるようになります。

「グローバルに音楽が届いたときに、それが対価として還元されないリスクがありますよね。DIYで楽曲が配信できるなど1人でなんでもできるようになったからこそ、めちゃくちゃ心強い味方だと思います。世界のどこで使われているかなんて、個人で把握するには限界がありますからね」(麦野優衣さん)

「サブスクで簡単に世界の音楽が聴けるからこそ、日本人の楽曲が地球の裏側のブラジルで聴かれてるかもしれないですよね。もしそこで、気に入ってくれて応援するためにラジオとかで流してくれたのに、自分には1銭も入ってこないのは切ないですよ。なので、そういったところも助かりますよね」(前迫潤哉さん)

トークイベントの後に、参加者が会場で飲食をしながらゲストと直接お話できたり、JASRACの人に質問できたりするのが、このイベントのおもしろいところです。

まだ自分には関係ないとは思わず、とりあえずイベントに参加してみるのが吉

以上、Creator’s Pathの概要について紹介しました。もちろん、ここでは紹介しきれないほど、クリエイターのためになる話が繰り広げられていたので、興味のあるクリエイターは申し込み無料なので、ぜひ次回2月1日のCreator’s Pathに参加してみてください。第一線のクリエイターの音楽制作の話は、雑誌などでも見れたりしますが、それが著作権やお金の話に結びつくのは、このイベントならではですよ。

【関連情報】
2月1日 Creator’s Path申し込みページ

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