10月10日〜11月6日の募集期間で、Audiostock × ヤマハ研究開発統括部 Music Research Contest 2023 Autumn「VOCALOID 作曲コンテスト」が実施されます。これは、どんなVOCALOIDの曲だったらテレビやYouTube・TikTokで使われるのか、商用利用の可能性を試す実証実験として行われるコンテスト。実験とは書いてあるものの、本格的なコンテストとなっており、賞金総額は最大100万円。指定のVOCALOIDボイスバンクを使った楽曲を作って応募する、イベントとなっています。
部門はAとBに分かれており、部門Aではライブラリーミュージックというテーマで、テレビやYouTubeにおけるコンテンツ・広告に商用利用できる楽曲の募集が行われており、部門BではTikTok/SNSでの人気曲というテーマで、TikTokでみんなが歌ったり踊ったり思わず使って投稿したくなるような楽曲を募集しています。また本コンテストでは、コンテスト応募者向けの専用の抽選によるVOCALOID β-STUDIOのVX-βの提供も実施。以前VX-βはDTMステーションでも紹介したことありますが、これを試せるまたとない機会ともなっています。そんな、VOCALOID 作曲コンテストについて、その詳細を紹介していきましょう。
世界最大級の音源数を誇るロイヤリティフリーの音楽・効果音の販売サービスAudiostock
VOCALOID 作曲コンテストを共催しているAudiostockは、2013年にサービスを開始したロイヤリティフリーの音楽・効果音の販売サービス。世界最大級の音源数95万点以上のBGM・効果音が並んでおり、新作も毎月5,000点以上が追加されています。登録クリエイターによってアップロードされたBGM(インスト)、効果音・SE、ボイス・ナレーション、歌もの楽曲を、ロイヤリティーフリーで販売しているので、作品を作っている方であれば、使ったことのある人も多いと思います。
Audiostockとヤマハ研究開発統括部がタッグを組んで開催される「VOCALOID 作曲コンテスト」
そんなAudiostockとヤマハ研究開発統括部がタッグを組んで開かれる、本コンテストは指定のVOCALOIDのボイスバンクを使った楽曲で応募する形となっています。部門はAとBに分かれており、どの部門も1人あたりの投稿上限数はなし。つまり、好きなだけ楽曲を作って、応募することが可能となっています。また各部門の賞金などは、後ほど詳しく載せていますが、入選作品に関しては、本来であればAudiostockの規約で、VOCALOIDなど歌声合成ツールを使った作品は投稿NGですが、今回のコンテストに応募した楽曲のうち、Audiostockで販売してニーズがあると判断した楽曲は入選とし、Audiostockにてライセンス販売を可能になるとのこと。すでにAudiostockに投稿している方の中には、VOCALOIDを使った楽曲を作っている人もいると思うので、嬉しい内容だと思います。
VOCALOID5、VOCALOID6、VX-βの利用可能なボイスバンク
さて、前述の通り、VOCALOID 作曲コンテストは指定のボイスバンクを使う必要があるので、これについて見ていきましょう。以下がその一覧です。なお記載のないボイスバンクを使った作品は対象外となってしまうので、気をつけてください。
●使用可能なVOCALOIDのボイスバンク
VX-β | VOCALOID6 | VOCALOID5 |
prtv_0 | AI Megpoid | CYBER DIVA II |
prtv_1 | AI 音街ウナ Sugar | CYBER SONGMAN II |
prtv_2 | AI 音街ウナ Spicy | Amy |
prtv_3 | 符色 | Chris |
我然β | HARUKA | Kaori |
nagiβ | AKITO | Ken |
multiβ-N | ALLEN | VY1 |
ゲキヤクβ | SARAH | VY2 |
カゼヒキβ | ZOLA Project | |
花奏かのんβ | ||
杏戸ゆげβ | ||
Ciちゃんβ | ||
春日部つむぎβ |
VOCALOID β-STUDIOで開発中のVX-βを使えるチャンス!
VOCALOID5、VOCALOID6そしてVX-βのボイスバンクが並んでいますが、「VX-βってなに?」という方もいるかと思います。VX-βは、ヤマハが合成音声の常識を打ち破ることを目的とする研究スタジオVOCALOID β-STUDIOの立ち上げと共に発表された技術試作であるAI歌声合成プラグインの名称。このVX-βはWindowsおよびMacで動作するVST3/AudioUnitsのプラグインですが、市販されるというわけではなく、クリエイターを対象に使ってみたい人を公募するとともに、不定期に行われる抽選に当選した人に配布されてきたもの。
これまでVX-βの抽選申し込みページはヤマハVOCALOID β-STUDIOのWebサイトのみでしたが、それと並行して、今回のコンテストページの中でも抽選の受付が開始しました。こちらは本コンテストへの応募希望者向けの特別な申し込みページとなっているようなので、特にこのコンテストのためにVX-βを使いたいと思う方は、こちらから申し込むのがよさそうです。なお、既にVOCALOID β-STUDIO のWebサイトで抽選申し込み済みだけれど未当選の方が、重複してこちらに申し込むのも問題ないようです。また、申し込みは10月20日まで。当選すると、VX-βのライセンス情報が届き、使用可能になります。申し込み締め切りが近いので、コンテストにVX-βを使いたいと思う方は、早めに申し込みしておくとよさそうですね。ちなみにVX-βについては以前「未来を探求するためのヤマハの研究スタジオ、VOCALOID β-STUDIOがスタート。AI歌声合成プラグイン、VX-βとは何なのか!?」という記事で紹介していたり、DTMステーションPlus!でも取り上げているので、ぜひご覧ください。
VOCALOIDの体験版でも参加OK
中には指定のVOCALOIDを持っていない、またはまだ使ったことがないという方もいると思います。このコンテストに参加するためにVOCALOIDを買わなくてはいけないか、というとそうではありません。本コンテストは、VOCALOID6の体験版の使用もOKとなっています。こちらもコンテストページからアクセスできるので、チェックしてみてください。
さて、それぞれの部門の詳細について見ていきましょう。まずは部門Aから。
部門A ライブラリーミュージック
部門Aは、ライブラリーミュージックというテーマで、テレビやYouTubeにおけるコンテンツ・広告に商用利用できる楽曲となっています。最優秀賞は、最大5作品で賞金10万円。また入選作品は、前述の通りAudiostockでのライセンス販売を特例で認められます。
選考の流れとしては、投稿された音源を元に1次選考を実施。1次選考を通過した作品は、ライセンス販売を申請可能になり、その後2次選考を実施。特に優秀な作品を最優秀賞として選定・表彰するとのこと。
たとえばネイティブ英語を活用した歌もの作品などは、ニーズがあるものの数が少ないため、従来より拡充したいという狙いがあり、VOCALOIDを活用することで、高品質な楽曲が増えることを期待しているそう。また、Kawaii Pop, Kawaii EDM, Kawaii Future Bassのような日本ならではの文化は、海外版を本格展開しているAudiostockにとっては喜ばれそうですね。そのほか、ヒーリングミュージックなどのAhやUhなどの歌で成立するようなものだったり、ゴスペルなど多人数で歌う系の作品も、VOCALOIDを活用してのライブラリ音楽としては、可能性があるとのこと。
以下、このコンテストを共催するAudiostockから出されているVX-βを活用したライブラリーミュージック向け作品が聞けますので、ぜひご確認ください。
部門B TikTok/SNSでの人気曲
続いて、部門BはTikTok/SNSでの人気曲というテーマで、TikTokでみんなが歌ったり踊ったり思わず使って投稿したくなるような楽曲となっています。最優秀賞は1作品で賞金30万円。優秀賞は2作品でそれぞれに賞金10万円。
こちらの選考の流れとしては、投稿された音源を元に1次選考を実施。1次選考を通過した作品をTikTokへ連携。2次選考としてSNS審査を実施。楽曲を利用して作成されたTikTok動画の本数を元に最優秀賞・入選作品を選定・表彰するとのこと。測定期間は2023年12月上旬〜1ヶ月間を予定、発表は2024年1月中旬予定。こちらの部門に関しては、ちょうどクリスマスや年末の時期になるので、そういったところも考慮するといい結果に繋がったりしそうですね。
こちらはVOCALOIDを活用していれば、ジャンルも問わず、音楽である必要もない、という部門。アイデアを活かして、いかにヒットを生み出すか、という挑戦となっています。キャラクターを活かした楽曲からのヒットや、正統派POPソングでのヒットを狙うのもアリですね。
以上、VOCALOID 作曲コンテストについて、その概要を紹介しました。応募期間は約1ヶ月間の11月6日までとなっているので、どんどん応募してみてください。そのほか詳細については、ぜひコンテストページをご確認ください。
【関連情報】
VOCALOID 作曲コンテストページ