ゲームボーイ風のDAWマシン、SmplTrekが2.0にバージョンアップ!外で気軽に音楽制作し、自宅でコンピュータと連携

日本のベンチャー電子楽器メーカー、SONICWARE(ソニックウェア)が世界中で快進撃を続けています。LIVEN Lofi-12LIVEN 8bit warpsなど、ほかにはないユニークでパワフルな楽器を次々とリリースしており、今月ドイツ・ベルリンで開催されたSUPERBOOTH 23でグラニュラー・シンセ/エフェクター、LIVEN Texture Labも発表され、ヨーロッパやアメリカで絶賛されています。そのSONICWAREが昨年発表して、日本でもかなり話題となったのがゲームボーイ風の小型サンプラー、SmplTrek(サンプルトレック)です。実際にはサンプラーというよりもDAWと言って差し支えないパワフルな音楽制作機材で、サンプラーとしての機能はもちろん、シンセ機能、オーディオレコーディング機能、MIDI打ち込み機能、オーディオ編集機能、エフェクト機能、ミックス機能……と、この小さなガジェットにすべてが詰まったマシンなんです。

そのSmplTrekが先日2.0にバージョンアップし、ワークフローが大幅に見直され、かなり使いやすくなりました。
これ1台で音楽制作すべてができる一方でWindowsやMacとの連携も可能で、SmplTrekでラフスケッチを行った上でコンピュータ上のDAWに取り込んで仕上げを行っていくこともできるようになっています。SmplTrek発表時はクラウドファンディングでの発売という形でしたが、現在は国内での販売もスタートし、気軽に購入可能になっています。そこで、改めてコンピュータとの連携という観点からSmpleTrek 2.0について紹介してみたいと思います。

バージョン2.0になったSmplTrekをコンピュータのDAWとどう連携するか試してみた

次々と新アイテムをリリースする日本のメーカー、SONICWARE

SONICWAREの名前を見たことがある、という方も少なくないと思いますが、ここはれっきとした日本のメーカー。

Lo-Fiサウンドで音楽制作できるLIVEN Lofi-12

以前「どんな音でもイカしたローファイ・サウンドに仕立て上げるレトロ・サンプリング音源、LIVEN Lofi-12が発売開始」という記事でも紹介したLIVEN Lofi-12が昨年末から年始にかけてが日本でも話題になりましたが、SUPERBOOTH 23で発表されたグラニュラー・シンセ/エフェクターーのLIVEN Texture Labも大きな注目を集めています。

先日SUPERBOOTH 23で発表されたばかりのLIVEN Texture Lab

そのSONICWAREが開発したSmplTrekについては、昨年の発表されたタイミングで「ゲームボーイ風小型サンプラー!?多機能な作曲ガジェット、SmplTrekがKICKSTARTERでクラウドファンディング開始!」、「ゲームボーイ風小型サンプラー、SmplTrekの詳細が明らかに。小さいながら楽しくスゴイ機能が満載」といった記事で紹介したことがありました。

今回取り上げるのは2.0にアップデートされたばかりのマシン、SmplTrek

私個人的にもクラウドファンディングでSmplTrekを購入し、昨年12月に機材が届いて少し使ってみていたので、どこかでレポートを……と思っていたところ、バージョン2.0の発表があったんです。ファームウェアの2.0へのアップデートで、全ユーザーが無償アップグレード可能なので、さっそく2.0にしてみました。

トラックボタンを長押しすると、即そのトラックにサンプリングできるQUICK SAMPLING機能

SONICWAREによると、ユーザーのフィードバックを元に大幅に機能改善を行っているとのことで、確かにかなり使いやすくなっています。何よりサクサクとサンプリング出来るようになっているのが印象的。空いてるトラックのパッドをギュッと押すだけでサンプリング待機。設定値を超えた音が入ってくるとオート録音が開始され、ノーマライズされて、音源やループに設定できるQuick Sampling機能は、こちらの動画を見ていただけるとお分かりいただけると思います。

バージョン2.0では、マイクロタイミングRECによるノンクオンタイズ・レコーディングをはじめ数多くの機能が追加されているのですが、何が良くなったのかに焦点を置いて紹介しても、SmplTrekを使ったことのない方にはピンと来ないと思いますので、改めてSmpleTrek全体の概要を見ていきましょう。そのSmplTrekがどんな機能で、どんな使い方をするものかがうまく紹介された2分のビデオなので見てみると概要が感覚的に掴めると思います。

まず、この機材はスタンドアロンで動作する強力なDAWであり、これ1台で音楽制作ができるマシンだ、と理解するのがよさそうです。小さなマシンではありますが、単3電池x6本で駆動させることができるので、どこにでも持ち運びが可能(もちろん、ACアダプタも付属)。

単3電池x6本で駆動できるので、どこにでも持ち歩き可能

これでオーディオもMIDIも扱えるのですが、全体としては10トラック+3グローバル・オーディオトラックから構成されているというのが大きな特徴です。ここが普通のDAWとはちょっと違うので、理解するのにちょっと時間がかかったのですが、以下のような形です

SmplTrekのトラック・シーン構成

10トラックはそれぞれパターン・シーケンサとなっていて、

LOOPトラック:サンプル・ループ用のシーケンサ
SHOTトラック:ワンショット・サンプル用シーケンサ
DRUMトラック:ドラム専用ステップ・シーケンサ
INSTトラック:楽器サウンド用ピアノロール型シーケンサ
MIDIトラック:外部MIDI機器用のピアノロール型シーケンサ

の5種類からどれでも好きなものを設定できるようになっています。そして最大16個のシーンがあるので、ここで曲を構成していくのです。
そして、シーンをつないで作ったものに、ボーカルでフルコーラスを歌っていくとか、ギターソロをレコーディングしていくという場合は、全体を通して使えるグローバル・オーディオ・トラックにレコーディングしていくのです。上記の図にもある通り、3つのグローバル・オーディオ・トラックがある上、各グローバル・オーディオ・トラックにはV1、V2、V3の3つのバーチャルトラックもあるので、複数テイクを録って、後でコンピングしていく、ということもできる仕様です。

人によって曲の作り方っていろいろだと思いますが、たとえば、外に出ているときに、ふとメロディを思いついたとしましょう。そんなとき、このSmplTrekがあれば、即、そのメロディーをサンプリングしておくことができます。このSmplTrek本体に内蔵マイクがあるので、とりあえずそれで鼻歌でもラララでも、歌って録っておくのが簡単です。

右上にあるエレクトレットコンデンサマイクで簡単にサンプリングできる

もちろん、自宅では、ダイナミックマイクを接続して録ることもできるし、ステレオライン入力で録ることもできれば、ギターを接続して録音することもできるようになっています。

ギターやマイク入力もできるし、ライン入力も可能

ドラムパターンに合わせて何か弾いてイメージを広げていくスタイルの人もいるでしょう。そんなときは、SmplTrekには300種類のドラムパターンが入っていますので、ロックやポップス、ジャズ、HipHop……といったドラムパターンで好きなものを選ぶだけでOK。もちろん、好みのドラムキットを選んでパッドを叩いてリズムを打ち込んでいくこともできます。この際、ヘッドホンで音をモニターすることもできますが、内蔵スピーカーも搭載されているので、スピーカーで聴きながら作業できるのも嬉しいところです。

ドラムトラックでは打ち込みもできるし、数多くのパターンが入っているので選択するだけですぐにリズムを鳴らせる

さらにベースを…というのなら、別のトラックをINSTトラックに設定した上でベース音源を選んで入力していきます。このSmplTrekのパッドは鍵盤にもなるので、ここでリアルタイムに入力していくこともできるし、十字キーでポチポチ入力していくこともできますよ。

MIDI入出力端子にWIDI Masterを取り付ければBluetooth-MIDI対応になる

ちなみに、この本体の鍵盤じゃ物足りないというのなら、MIDI鍵盤を接続してい本格的に弾いていくこともできますよ。MIDI DIN端子があるので、ここに繋げばいいのです。個人的には非常に便利に感じたのはここに、以前「現時点、最強のBluetooth MIDIかも!? 各種BLE-MIDI機器と自動でペアリングしてくれるWIDI Masterがスゴイ!」という記事で紹介したWIDI Masterを取り付けて、Bluetooth-MIDIに対応したキーボードを接続するという方法。これで普通に鍵盤が弾けてレコーディングできちゃいますからね。

MIDIキーボードを使って演奏、レコーディングもできる

まあ、こんな感じで、外にいても曲のイメージを膨らませながらラフスケッチをしていくことができます。前述の通りシーンがあるので、思いついた他のメロディーを別のシーンに録音していくことで、曲を断片的に作っていくことも可能です。その後に、シーンを並び替えていけば、効率よく1曲に仕立て上げていくことができる、というわけですね。

ちなみに、内蔵マイクからの録音でもリバーブやコーラスなどセンド/リターンのエフェクトをかけることもできるし、ギターを接続した場合、インサーションでアンプシミュレータを使ってパワフルなギターサウンドにするなど、ホントにこれ1台で何でもできてしまう、という感じで、ラフスケッチにとどまらず、ここで仕上げていくことも十分可能です。

内蔵エフェクトも充実しており、アンプシミュレータなども強力なものが搭載されている

また先ほどのビデオにもあったように、SmplTrekのマイクでサンプリングした音を元に簡単にリズムを作ってしまったり、それでメロディー演奏することもできるので、コンピュータのDAWでの音楽制作作業とはだいぶ違う、インスピレーション先攻で曲を作っていけるのが楽しいところです。

さて、個人的には、ここからが本題。SmplTrekでラフスケッチしたものを、最終的には自宅のDAW環境で仕上げていきたい…と考える人もいると思います。ボーカルをレコーディングし直すとか、ドラムをより高音質な音源のものに差し替えるとか、慣れたDAWとプラグインで音をブラッシュアップさせたい……などなど、DAWユーザーなら、SmplTrekで作ったプロジェクトをDAWに取り込んでいきたいところですよね。

ステムファイルでトラックを出力しておけば、コンピュータのDAW側で簡単に取り込める

もちろん、そうしたこともできるようになっています。方法はいくつかあるのですが、AUDIO EXPORT機能を使って事前に書き出しておくのが良いでしょう。この場合、2ミックスしたデータにするか、各トラックごとに出力するのか(ステムファイル)を設定できるので、後者を選んだ上で、コンピュータ側のDAWのトラックに読み込んでいけば、再現することが可能です。この際、SDカードを経由してWAVファイルをやりとりすることが可能になっています。SDカード経由でWAVファイルのやり取りが可能

もう一つユニークな方法としては、SmplTrekとコンピュータをUSBでオーディオ接続した上で、MIDIクロックで同期してしまう、という方法です。

USBケーブルでコンピュータと接続するとSmplTrekは2in/2outのオーディオ入出力として見える

実は、USBでSmplTrekをコンピュータと接続すると、コンピュータ側からは2in/2outのオーディオ入出力として見えるようになっているのです。そして、SmplTrekを再生すると、劣化がない状態でUSBオーディオでコンピュータに入ってくるので、これをレコーディングしていけばいいわけです。

コンピュータのDAW側からもSmplTrekがオーディオ入出力として見える

とはいえ、ただ流れてきても、タイミングを合わせにくいため、ここでMIDIクロックを利用するのです。SmplTrekにはMIDI同期の機能も持っているので、外部からのMIDI入力に同期するように設定した上で、コンピュータのDAW側はMIDIクロックを出力する設定にしてDAWをスタートさせれば、それとピッタリ同期する形でSmplTrekからオーディオが入ってきます。

クロックソースをMIDIにすることで、MIDIクロックに追従する形になる

それを、そのままオーディオトラックにレコーディングしていけばいいのです。どちらをどう使うかはアイディア次第ですが、いろいろな連携ができそうです。DAWで作った曲をSmplTrekに持ってきて、SmplTrekでリミックスするなんてのも面白そうです。

DAWだけで音楽制作するのとは、またちょっと違った作り方でイメージも膨らませていくことができるSmplTrek。電車の通勤・通学時に音楽制作するのにもいいし、散歩のとき、旅行のお供に持っていくのも楽しそうです。

SmplTrek発表時はクラウドファンディングでの販売のみでしたが、現在はSmplTrekディーラーがあり、店頭で見て触って試して購入できるようになりました。

 

SmplTrek v2.0コンテスト実施中

毎週2名に非売品オリジナルTシャツプレゼント

SONICWAREがSmplTrekを使用したオリジナル曲のコンテストを実施中です。パフォーマンスまたは制作プロセスの動画をYouTube、Instagram、Facebook、Twitterのいずれかに投稿することで、毎週2名にオリジナルTシャツがプレゼントされる、とのこと。

動画はSmplTrek v2.0をメイン機材として使用したものとするのが条件で、次のハッシュタグをつけて投稿してください。

#SONICWARE #WeeklyJamSmplTrek

・著作権侵害となる録音またはサンプルサウンドの使用は禁止です。
・毎週木曜日に受賞者を発表し、Tシャツの儀希望サイズ/カラーを伺うために、SONICWAREから連絡がいきます。
・受賞者の動画は、SONICWARE製品のプロモーションに使用されることがあります。

 

【関連情報】
SmplTrek製品情報
LIVEN Lofi-12製品情報
LIVEN Texture Lab製品情報

【取り扱い店舗】
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