Windowsの定番波形編集ソフトSOUND FORGEがメジャーバージョンアップを果たし、SOUND FORGE 17となりました。SOUND FORGEは768kHz/64bit Floatでの波形編集機能、マスタリング機能、レコーディング機能、ノイズ除去=クリーニング機能、ビジュアライゼーション機能など備えた強力なソフト。さらにスクリプト機能を装備しているため、膨大なファイルを一括自動編集できることなどから、ゲーム業界では必須のソフトとなっているSOUND FORGEですが、今回はプラグイン機能などが大幅に強化されており、より高機能な波形編集ソフトへと進化しています。
エントリーソフトのSOUND FORGE Audio Studio 17でも384kHz/32bit Floatに対応するなど他社製品でいうところのプロ機能まで備えていますが、5,980円と激安。が、今回特に注目したいのが最上位版のSOUND FORGE Pro 17 Suiteです。通常価格が59,800円というものながら、ここには33,000円で販売されているSteinbergのSpectraLayers Pro 9やiZotope Ozone 10 Elements、iZotope RX 10 ElementsさらにはCelemony Melodyne 5 essentialも付属しているなど、かなり充実した内容になっているんです。実際どんなソフトなのか試してみたので紹介してみましょう。
約30年の歴史のSOUND FORGEがバージョン17に
SOUND FORGEは30年近い歴史を持つWindows用の波形編集ソフト。私自身もSOUND FORGE 3.0が発売された1996年から使い続けているので、もう27年にもなりますが、とにかく軽くて使い勝手のいいソフトで、ここ最近、機能をいろいろ強化しつつも、軽さという面では以前と変わらない印象です。
やや妙な表現かもしれませんが、DAWがMicrosoft Officeのような統合ソフトであるのに対し、SOUND FORGEは秀丸のようなサクサク動くテキストエディターのようなものだ、というとピンとくるでしょうか?サッと録音し、細かな編集をして仕上げることができるため、とにかくスピーディーに作業ができるから便利に使っているのです。
そのSOUND FORGEが今回17にメジャーバージョンアップしたのですが、ラインナップとしては以下のようになっています。
製品名 | 通常価格 |
SOUND FORGE Audio Studio 17 | 5,980円 |
SOUND FORGE Pro 17 | 39,800円 |
SOUND FORGE Pro 17 Suite | 59,800円 |
注目はSpectraLayers Pro 9などがバンドルされるSOUND FORGE Pro 17 Suite
この中でやはり一番注目したいのが最上位版のSOUND FORGE Pro 17 Suiteです。これ、波形編集ソフト本体であるSOUND FORGE部分においては、真ん中のグレードであるSOUND FORGE Pro 17と同じなのですが、ここにはいろいろなソフトがバンドルされているんです。具体的な中身としては以下のとおり。
SOUND FORGE Pro 17 | MAGIX | 39,800円 |
SpectraLayers Pro 9 | Steinberg | 33,000円 |
Melodyne 5 essential | Celemony | 11,000円 |
Ozone 10 Elements | iZotope | 19,900円 |
RX 10 Elements | iZotope | 19,900円 |
Vintage Effects Suite | MAGIX | 13,200円 |
VariVerb II | MAGIX | 19,800円 |
MAGIX Vandal | MAGIX | 19,800円 |
合計 | 176,400円 |
これ、合計してみると176,400円ですから、66%引きという計算も成り立つわけですから、すごい設定ですよね。このラインナップの中で、見逃せないのはSteinbergのSpectraLayers Pro 9が入っているという点。このSpectraLayers Proはほぼセールがない製品であり、かつ現状においてはSteinbergサイトからオンライン購入するしかないのですが、その価格が33,000円。かなり嬉しい価格設定だと思います。。
ちなみにメインソフトであるSOUND FORGE Pro 17はWindows専用ですが、SpectraLayers Pro 9、Melodyne 5 essential、Ozone 10、RX 10はいずれもmacOSでも動作するソフトです。そしてこれらmacソフトがだけ目的であっても、十分元が取れる組み合わせなので、買ってしまうのもありですね。macの場合は、ランチャーからの一括インストールはできませんが、個別でインストールしていくことで利用することは可能ですよ。
波形編集ソフト、SOUND FORGE Pro 17の新機能
ではSOUND FORGE Pro 17、SpectraLayers Pro 9の新機能を中心にいくつか紹介してみましょう。まずはSOUND FORGEからです。
まずSOUND FORGE Pro 17は最高で768kHz/64bit Floatに対応した波形編集ソフトです。しかも、WAV、AIFF、MP3、MPEG、MUS、AAC、FLAC、OGG、WMA、ASF、FXP、FXB……とさまざまなファイル形式での読み書きに対応しているし、もちろんオーディオCDのリッピングもCD焼きも可能なので、入出力はこれ一つですべてOK。DDPファイルでのエクスポートも可能なので、マスタリングツールとしても重宝します。
そのマスタリングに関しては、前述の通りiZotope Ozone 10 Elementsをバンドルしているわけですが、このOzone 10と連携した音作りが可能になっているのもポイント。その上で、YouTube用、Spotify用、SoundCloud用に最適化した形で自動調整してくれるのも便利なところですね。
iZotope Ozone 10の機能を内包していて、ボタン一つでマスタリング操作ができるようになっている
またマスタリングに関して言うと、このオーディオデータを波形で視覚的に確認するだけでなく、さまざまな分析機能を用いて視覚化できるのもSOUND FORGEの特徴です。たとえばWAVECOLORという機能を使うことで、ピッチとサウンド特性に異なる色と彩度レベルを割り当て、波形でどのような変化が起きているかを簡単に確認できます。
波形分析した上で、サウンド特性によって色分けするWAVECOLOR機能
またスペクトル分析したり、ピークメーターで見たり、フェーズスコープで見たり……などなどさまざまな見方ができるほか、人口知能を使用してどこがボーカルなのかを視覚化する…なんて便利な機能も搭載されています。
今回、それほど多くの機能が追加されているわけではないのですがVST周りが強化されたほか、ARA2対応も新たな機能です。この後で紹介するSpectraLayersやMelodyneもARA2対応しているので、これらをSOUND FORGEの一機能のようにして呼び出すことを可能にしており、まさに有機的な連携が可能になっています。
またいわゆるアウトボードをプラグインのように利用する機能も今回のSOUND FORGE Pro 17から搭載されています。これを利用するためには4in/4out以上のオーディオインターフェイスを使用し、ASIOドライバを利用していることが前提とはなりますが、ビンテージエフェクトなどが手元にある人にとっては便利な機能だと思います。
SpectraLayers Pro 9の新機能
では、SpectraLayers Pro 9についても少し見てみましょう。SpectraLayersもサウンド編集ソフトではありますが、SOUND FORGEのような波形編集ではなく、スペクトル分析結果を編集するソフトであり、それをレイヤーして編集できるため、音をPhotoShopのようにエディットできるソフト、というとわかりやすいと思います。
このSpectraLayersを使うことで、気になるノイズ、気になる音を狙ってキレイに取り除くことができるのが大きなポイントです。これらはそれなりに編集スキルが求められるため、初心者ユーザーにはなかなかハードルが高かったのですが、現在はAI機能により自動でパターンを知覚し、操作を実行できることから、あまり慣れてないユーザーでも簡単に、正確に、スピーディーに操作できるようになっています。
また以前のバージョンで試して、非常に強力だったのがトラック分解機能であるUnmix Stems=「ステムを分離」です。これは2ミックスのデータをボーカル、ピアノ、ドラム、ベース、その他に自動で分解してくれるというもの。2年前の動画ではありますが、以下をご覧ください。
かなり正確に分解してくれるのが分かると思います。この手のAIによる音の分解ソフト、いくつか出ていますが、ピアノも認識して5つに分解してくれるのはこれだけなので、この機能のためだけに入手しても損はないと思います。
また最新のSpectraLayers Pro 9では、上記ビデオのSpectraLayers Pro 7のときとは違い、ステム分離する際の各音源ごとの感度を調整できたり、とりあえずカーソル位置での分解結果をリアルタイムにプレビューできるなど機能・性能的にもかなり進化しているようでした。
そのほか、SpectraLayers Pro 9になっての新機能については、英語ではありますが、以下のビデオで紹介しているので、参考になると思います。
必要あれば、YouTube画面を開いて、字幕機能をオンにした上で、日本語に翻訳させると、わかりやすいと思います。
そんなSpectraLayers Pro 9が、5月31日までにSOUND FORGE Pro 17 Suiteを買うと付いてくるのですから、今がチャンスだと思いますよ。
エントリーソフト、SOUND FORGE Audio Studio 17なら格安の5,980円
ちなみに、これまで波形編集ソフトって使ったことないけど、ちょっと試してみたいというのであれば、エントリーソフトのSOUND FORGE Audio Studio 17を買ってみるのも手です。
冒頭でも触れたとおり、このAudio Studio 17でも384kHz/32bit Floatまで扱うことができ、最大6chのオーディオ編集ができますからね。普通はステレオの2chかモノラルの1chしか使うことないので、6chあれば十分すぎ。もちろん、各種エフェクトも利用でき、CDの書き込みも可能ですから、たいていのことはこれでできてしまいます。
なお、SOUND FORGE Audio Studio 17、SOUND FORGE Pro 17、SOUND FORGE Pro 17 Suiteの各機能の細かな違いは、ソースネクストの製品紹介ページの下のほうに表でまとめられているので、そちらを参考にしてみるといいと思います。
DTMステーションPlus!
SOUND FORGE Pro 17 & SectraLayers Pro 9特集を
2023年5月23日に配信!
各週火曜日の夜に配信しているDTMステーションの番組、DTMステーションPlus!ですが、5月23日に配信した第219回においてSOUND FORGE Pro 17とSpectraLayers Pro 9を特集しました。実際、さまざまなデモを交えながらSOUND FORGE Pro 17とSpectraLayers Pro 9の使い方、その実力を紹介しているので、ぜひ音も細かくチェックしながらご覧ください。
【関連情報】
SOUND FORGE Pro 17 Suite製品情報
SOUND FORGE Pro 17製品情報
SOUND FORGE Audio Studio 17製品情報
【価格チェック&購入】
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