本日、3月27日、Waves Audio(以下Waves)がサブスクリプションサービス「Waves Creative Access」なるサービスを発表、開始するとともに、これまであったWavesのプラグインのセットであるMercuryやHorizon、Platinum、Diamond……などのパックや単体販売が終了し、この新しいWaves Creative Accessに一本化されることとなったのです。
現在、Wavesのプラグインは220種類以上となっていますが、これらすべてのWavesのプラグインが使用できるWaves Ultimateと、その約半分となる110種類のプラグインを使用できるWaves Essentialの2つのプランが選択可能。別の言い方をすれば、この2種類以外のプランは存在せず、あとは1カ月、3カ月、6カ月、12カ月と、必要な使用期間を選択するのみです。もっともすでに持っている永続利用可能なWaves製品は今後も使い続けることは可能なので安心してください。ただし、各ユーザーのWUP=Waves Update Planの期間が終了した後はWUPの更新はできないため最新OSなどへの対応はできなくなってしまうので、Wavesプラグインを使うのであれば、遅かれ早かれ、Waves Creative Accessへの移行は必須といえそうです。一方で、この新システムのスタートに合わせ、AIによるミックスアシストサービス、StudioVerseなるものがスタートしているのも大きなポイントです。そこで、Waves Creative Accessとは、具体的にどのようなものなのか、期間はどのように選ぶのが得なのか、すでに使っているユーザーは今後どうしていくべきなのか、さらにStudioVerseとは何モノなのかなど、紹介していきましょう。
すべてのセット製品、単体売りは廃止され、サブスクに移行
今回のWavesの発表に驚かれた人は多いと思います。すべてのパッケージやセット製品、単体売りを中止し、サブスクリプションサービスのWaves Creative Accessに移行するということで、世界中のユーザーの間に動揺が広がっているのでは…とも予想するところです。プロユーザーの間ではデファクトスタンダード・プラグインとして幅広く使われている一方、手ごろな価格でのセール展開も多かったことから一般のDTMユーザーでも使っている人が非常に多いので、今回の変更の影響範囲はかなり大きそうです。
かなり思い切ったドラスティックなサービス変更だな…と感じるところですが、価格やそのサービス内容を見ると、リーズナブルな内容であり、そこまで大きな心配をする必要はなさそうです。実際多くのユーザーにとっては、より手ごろな価格で、Wavesプラグインを活用できるようになった、とも言えるので、今回の変更を歓迎する人も少なくないと思います。
Wavesユーザーには先日来、発売元のメディア・インテグレーションから「【重要】Waves製品の登録/認証システム変更のお知らせ」といったメールが届いていたと思うので、「どういうことだろう!?」と不思議に感じていた方もいるとと思います。3月27日にすべてのサービスがWaves Creative Accessに一本化されるため、その前日までに登録するよう、アナウンスをしていた、ということなんですね。
UltimateとEssentialの2種類で、プリペイド形式の課金
そうした準備もあり、しばらく前からWaves製品やWaves Update Planの発売はストップしていたようです。では、そのWaves Creative Accessとは、どんな内容で、いくらなのか?これはとてもシンプルで以下のようになっています。
Waves Ultimate Wavesプラグイン220種以上のすべてを網羅 |
Waves Essential 110種のプラグインをラインナップ |
3,630円/1ヶ月(30日) | 2,200円/1ヶ月(30日) |
10,890円/3ヶ月(90日) | 6,600円/3ヶ月(90日) |
21,780円/6ヶ月(180日) | 13,200円/6ヶ月(180日) |
36,300円/1年間(365日) (2ヶ月分割安) |
22,000円/1年間(365日) (2ヶ月分割安) |
この金額は、すでになんらかのWaves製品を持っている人も、まったく初めてという人も同じで、バージョンアップ価格とかアップグレード価格、クロスグレード価格といったものも一切ありません。220種類以上となるすべてのWavesプラグインが使えるWaves Ultimateか、必要不可欠なプラグインを網羅する、110種類のプラグインが使えるWaves Essentialかの2択。1カ月、3カ月、6カ月の3つの期間であれば、単純に日数に比例した金額であるのに対し、1年間まとめてであれば10か月分の金額だから2か月分の割引になる、という計算です。
220種類以上のすべてが使えるUltimateと、約半分のプラグインが使えるEssentialの2種類
したがってずっと使い続けるのが間違いなければ1年間のプランを買ってしまうのが絶対得。でも、何かのプロジェクトで使うので今だけ使いたいというのであれば、1カ月を選べば、3,630円でWavesの全プラグインを使えてしまうのですから、かなりリーズナブルといえると思います。
また、サブスクという表現をしてきましたが、国内のWavesサイト(発売元はメディア・インテグレーションであり、MIオンラインストアでの購入の形となる)での購入の場合、プリペイドでの課金という形になります。したがって、一度契約したら、勝手にお金が引き落とされ続けるという心配はありません。更新をしていく必要はありますが、使っていないのに無駄にサブスク料金を払い続けてしまわない、という点では安心です。
※2023.03.27 13:30追記
今回のWaves Creative Accessは、UltimateもEssentialも、オーソライズできるのは1台のみで、従来あったセカンドライセンスの制度はなくなっているので要注意です。なお、従来通りUSBメモリやUSBドライブでのオーソライズは可能なので、そのUSBメモリなどをドングルとして持ち歩いて利用することで、複数マシンで利用することは可能ですが、複数台での同時利用はできません。
※2023.03.27 17:15追記
上記セカンドライセンスですがWUP期間内にカバーされている永続ライセンスユーザーは、期間内においては有効です。ただし、WUP期間終了後は利用できなくなります。」
Ride on Waves Start UP!キャンペーン実施中
これまでWaves Update Plan(以下WUP)を使っていた人は多いと思いますが、WUPの料金計算はかなり複雑で、わかりにくい面がありました。というのも持っているプラグインの内容によってWUPの金額が変わるため、たとえばPlatiumを持っていて、そこに含まれていないプラグインを単体でいくつか購入したい、という人はその内容に応じて金額がきまっていたわけです。が、ざっくり言うとそのWUPとほぼ同価格で、Waves Creative Accessの価格設定がされているので、WUPを利用しているユーザーからすれば、ほぼ違和感はないはず。また国内のWavesサイトでの製品購入であっても、Waves本国サイトからの直接販売であっても価格差はほぼないようですね。
もちろん国内のWavesサイトからの購入であれば日本語マニュアルがあり、国内でのサポートも受けられるわけですが、さらに早期購入者向けに「Ride on Waves Start UP!」なるキャンペーンが実施されており、さまざまな特典が用意されています。具体的には
1)3カ月分のMIオンラインストアで使用できるポイントをプレゼント!
※1年ライセンス(2カ月分お得)に加え、+3カ月分のポイント(最大10,890円分)を付与。実質15ヶ月分のライセンスとしてお使いいただけます。
2)MIオンラインストア購入者限定のオンラインセミナー「Mix with Waves Master Class」の参加チケットをプレゼント!
3)OP-1 fieldやClear MG Proなど総額100万円の豪華景品が抽選で当たる !
となっているので、せっかくなら早めの乗り換えがよさそうです。金額面でいうと、1年ライセンスによる2カ月分割り引かれるのに加えて次年度に使える3カ月分のポイントがもらえるのだから圧倒的に安いという点は見逃せません。もちろん、WUP期間がまだ残っているのであれば、それを消化したタイミングでの乗り換えがいいと思いますが、ぜひWUPの残存期間などをチェックの上、特典がなくならないうちに購入するのがよさそうです。なお、ここまでも伝えてきた通り、パッケージ製品などが廃止されることもあり、楽器店での購入はできなくなるため、オンラインでの購入のみとなるので、その点は注意してください。
7日間のデモ版はあるけど注意が必要
ところで、デモ版に関しても一つ大きな変更があります。従来デモ版を使いたい場合はWavesの本国サイトで登録することで14日間、製品版と同様に使えるものを入手することができました。が、今回そうしたものはなくなっています。
そのため、Waves本国サイト側では、7日間フリーでWaves Creative Accessに参加できるプランが用意されています。これについては日本のWavesサイトでは、そうしたプランはないんですね。ただし、ここにはいくつか大きな注意点があります。
まず、この7日間のフリープランを使う場合でも、クレジットカードの登録が必要となります。さらに、このフリープランが終了すると自動的にWaves本国側でのサブスクがスタートしてしまうため、必ず7日間経過する前に退会しないと、料金が発生し、こちらは前述のようなプリペイド形式ではないので、ずっと課金が続きてしまいます。もちろん、日本のWavesサイトではないため、日本語マニュアルもないですし、1年間サブスクをしても3カ月のポイントがつくといったサービスもありません。
さらに重要なポイントとして、7日間のフリーの期間使えるのは、あくまでもデモ版であり、従来のデモ版と違って、一定時間ごとに音が途切れる仕様になっているということ。つまり7日間だけフリーとはいえ、あくまでもちょっと音を試しに聴くだけのもので、実際の制作作業などには使えないということです。
こうしたことを考えると2,200円とか3,630円の支払いは生じるけれど、日本のWavesサイトでEssentialかUltimateに1カ月加入して試すのが、無難で安心といえそうです。
AIが曲にピッタリなプリセットを見つけ出してくれるStudioVerse
ところで、今回発表された、もう一つ大きなトピックスが、StudioVerseというものです。これは簡単にいえば、Wavesのさまざまなプラグインを組み合わせて作ったプリセットで、自分の音作りにマッチしたプリセットをAIが自動で見つけ出して勧めてくれるというユニークなサービスです。
ご存じの方も多いと思いますが、WavesにはStudio Rackという無償のプラグインがあり、これに複数のプラグインを組み込んで1まとめにすることができました。今回このStudio Rackの中にAI機能として入ってきたのがStudioVerseというわけなのです。
実際にDAWのトラックを再生してAIに聴かせることで、それにマッチしたプリセットをお勧めしてくれるため、音作りの知識の有無に関わらず、誰でも簡単に音楽制作とミックスをより良いものにすることができます。また、中身的には、複数のWavesプラグインを組み合わせて作られたプリセットなわけですが、多くのプラグインがあると、どのパラメータをどういじればいいか難しく、特に初心者にとっては音の調整のハードルは高くなってしまいます。そこで、このStudioVerseでは各パラメータの中から効果的なものをマクロパラメータとして表に出して、そこをいじるだけで、主な調整ができるような仕組みにもなっているのです。
StudioVerseにはすでに数千に及ぶミックス・チェインが搭載されており、さらに日々新しいチェインが追加されていきます。すべてのチェインはユーザーのDAWから直接アクセスすることができます。AIにすべてをお任せするだけでなく楽器やジャンル、アーティスト、音楽的なフィーリングから検索することも可能なので、そうした検索をしながら音を聴き比べてみるという使い方もよさそうです。
以上、大きく変わったWavesのサービスについて紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?まだスタートしたばかりのサービスだけに、まずは概要の紹介となりますが、また細かなところが見えてきたら、Tipsなども紹介していければ、と思います。
※2023.3.27 20:20追記
永続ライセンスの登録期間が急遽3月31日 23:59まで延長されたのに伴い、永続ライセンス製品の在庫処分セールである「WAVESデッドストックセール」が3月30日 23:59まで開催されています。これが最後のチャンスとなるようですので、買い逃した!と思っていた方は、お急ぎください!
【関連情報】
Waves Creative Access日本語ページ
WAVES デッドストックセール情報(2023年3月30日 23:59まで)