かつてレコーディングスタジオにSSLとともに必ず導入されていたLexicon 480Lというリバーブをご存知でしょうか?現在でも、日本の大きいレコーディングスタジオにはSSLの卓が導入されていますが、その上に乗っているアレです。Lexicon 480Lは、1986年にリリースされたデジタルリバーブの中でも最も有名で、最も広く使用されたモデルの1つで、当時音楽業界に大きな影響を与えました。今でも愛用するエンジニアは多く、数多くのエミュレーションプラグインも発売されているので、見たことある方も多いかもしれませんね。
そんな数多くのメーカーがエミュレーションプラグインを開発する中、Lexicon 480Lを完璧にプラグインで再現したメーカーが存在しています。それが、Relab Developmentという会社です。伝説的なハードウェアの正確なデジタル化を20年近く開発しており、その技術力はクラス最高レベル。Bricasti、SSL、IK Multimedia、Kush など、多くのトップメーカーとも契約を結んでるのです。そんなRelab Developmentが開発したのがLX480 Dual-Engine Reverb V4(通常価格64,350円)およびLX480 Essentials(通常価格12,375円)という2つのプラグイン。このタイミングで日本上陸となったのとともに、それを記念したローンチセールが4月10日まで行われているので、Lexicon 480Lの歴史も含め紹介していきましょう。
1986年誕生のLexicon 480Lがデジタルリバーブの代表格に
Lexicon 480Lの歴史について紹介する前に、まず簡単にデジタルリバーブの歴史について触れておくと、史上初の実践的に使えるデジタルリバーブの誕生は1976年まで遡ります。そして、その2年後の1978年にLexicon社がモデル224を発売、デジタルリバーブ市場が広がっていきました。1980年代になると、ほかの会社からも様々なデジタルリバーブが登場。そんな中、1986年にLexicon社は224XLの後継機として、480Lをリリースし、その後多くのアーティストやエンジニアに愛用され、デジタルリバーブの代表格として認知されていきました。
デジタルリバーブ登場前は、アナログのリバーブ技術が主流でしたが、Lexicon 480Lの登場により、デジタル技術がリバーブの分野で主流となりました。Lexicon 480Lは、アナログのリバーブと比べて、高品質で透明な音質を実現し、自然な空間を再現することができたのです。そのため、プロデューサーやエンジニアたちは、Lexicon社のデジタルリバーブを使用することで、リアルな音響環境を再現することができるようになり、数々の名盤が生まれてきました。その時代の音楽のほとんどで使用されてきたので、知らず知らずのうちにLexicon 480Lの音を聴いているはずです。
Lexicon 480Lを完璧に再現するRelab Development
そのLexicon 480Lは、各メーカーから数多くのエミュレーションプラグインが開発・発売されていますが、その中でも完璧に実機を再現しているのが、Relab Developmentのプラグインなのです。
そんなRelab Developmentは、高度な機械学習技術を得意としており、複雑なオーディオ機器でさえ、正確にデジタル的に分解および再構築できるとのこと。開発環境としては、スーパーコンピューターで満たされた部屋を使用しており、何ヶ月にもわたって数値を計算し、すべてのランダムなニュアンスと独特の特徴を1対1のサンプル精度でモデル化しているそう。とにかく、アナログ機器を完璧にデジタル化することの技術が高い会社なわけですが、その技術は冒頭でもお伝えしたように、実はBricasti、SSL、IK Multimedia、Kush などのトップメーカーで使用されているのです。
また、Relab Developmentのプラグインは、以下の画像にある企業などでも使用されており、音楽はもちろんのこと、世界的な映画、ゲームの制作でも利用されています。
ちなみにWebページに、Lexicon 480LとRelab LX480のリバーブ テール ディケイのサンプル間比較とリバーブ テールの周波数特性の比較画像があったので、ご覧いただきたのですが、ほぼ完全に一致しているのです。
このテストの実験方法は、Relab Developmentが出している記事「Relab LX480 と Lexicon 480L を比較するサンプル精度テストの実行方法」に載っているので、Lexicon 480LとRelab LX480を自分で比較テストすることも可能。実際にテストできる方は少ないと思いますが、こういったことからRelab Developmentの自信が伺えますね。
さて、今回初の国内販売になったRelab Developmentのプラグインは、
・LX480 Dual-Engine Reverb V4
の2つ。大きな違いは、それぞれの製品に含まれるアルゴリズムの数です。名前の通り、LX480 Essentialsはエントリー版、LX480 Dual-Engine Reverb V4は上位版/完全版という位置付けになっています。LX480 Dual-Engine Reverb V4は、細かいパラメータのコントロールが可能である一方、LX480 Essentialsは簡単操作が特徴となっています。LX480 Dual-Engine Reverb V4の重要なパラメータを搭載しているのが、LX480 Essentialsとなっているので、LX480 Essentialsでも十分という印象です。LX480 Essentialsは、パラメータがシンプルになっているので、初心者でも扱いやすいプラグインですね。
エントリー版、LX480 Essentialsの基本的操作法
さてここからは、LX480 Essentialsに焦点を絞って紹介していこうと思います。起動すると以下のような画面が表示されます。
前述の通りLX480 Essentialsは、非常にシンプルで簡単に操作できます。まず、中段辺りにある、PLATE、HALL、AMB、ROOMから好みのリバーブを選択していきます。4つから選択すればいいので、直感的にパッと決めることができる、シンプルゆえの強みを持っています。
PLATE、HALL、AMB、ROOM、4つのアルゴリズムが搭載されている
その下の5つのフェーダーは、左からリバーブタイム、ローカット、ハイカット、プリディレイ、ミックスとなっています。基礎的なリバーブのパラメータしか搭載されていないので、これまでDAW標準のリバーブしか使ったことない方でも簡単に扱えると思います。
5つのフェーダーを使ってコントロールしていく
基本的なパラメータは以上です。PLATE、HALL、AMB、ROOMの4つから気に入ったものを選んで、5つのフェーダーを操作するだけ。簡単ですよね。なのに、おそらく多くの方がイメージするリバーブが鳴るのです。それもそのはず、Lexicon 480Lはあらゆる音楽で使われてきたので、リバーブといえばというサウンドの基準がLexicon 480Lになっているのです。完璧にエミュレーションされているからこそ、LX480 Essentialsを使えば、オリジナルと同様に音楽的でナチュラルなリバーブを得ることができますよ。
ちなみにプロのエンジニアが制作したものも含め、プリセットが多数収録されているので、まずはプリセットを選んで、LX480 Essentialsがどういったリバーブなのか把握していくこともできます。
少し上位版であるLX480 Dual-Engine Reverb V4についても触れておきましょう。その見た目から、いろいろなことができそうということが伝わると思います。
ここには、オリジナルLexicon 480Lのシステムが再現されつつも、独自の機能が盛り込まれています。それがDual-Engineルーティング機能です。これにより2つのLX480アルゴリズムを同時に使用できるようになっているので、通常のリバーブとしての使い方だけではなく、より創造的なサウンドを作ることも可能です。LX480 Essentialsと比べると、アルゴリズム数、プリセット数、操作できるパラメータの数などが圧倒的に違うので、よりこだわった音作りをしたい方は、LX480 Dual-Engine Reverb V4を選択するのもアリ。
とはいえ、LX480 Dual-Engine Reverb V4は今回のセール価格で32,175円、LX480 Essentialsであれば破格の4,950円なので、まずはLX480 Essentialsを試してみるのがおすすめです。こちらの2製品に加え、Relab Development Sonsig Rev-Aも、国内ではディリゲントが代理店として製品を扱っています。ちなみにSonsig Rev-Aは、
【関連情報】
LX480 Dual-Engine Reverb V4製品情報
LX480 Essentials製品情報
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