12月11日にJSPA(Japan Synthesizer Professional Arts)が主催するシンセサイザのイベント、「シンセフェスタ メタ」が東京・南青山にあるBAROOMで開催されました。昨年までシンセフェスタという名前で実施されていたイベントが、リアルとネット配信の次世代型イベントとして生まれ変わり「シンセフェスタ メタ」が誕生。会場となったBAROOMの円形ホールではライブパフォーマンスが開催されていた一方、その外では多くのメーカーが参加して、最新のシンセやその関連製品を数多く展示するとともに、来場者が触れる形となっていました。ゲストとしてDÉ DÉ MOUSEさん、SASUKEさん、はなわさん、小林俊太郎さん……などが出演し、会場ではJSPAの氏家克典さん、守尾崇さん、浅田祐介さんたちにお会いすることができました。メーカーとしては、Roland、KORG、REON、MI7、Media Integration……などが一堂に会し、かなり面白いイベントになっていました。
一方のオンラインとしては、会場で行われたライブパフォーマンスが配信されるとともに、VRメタバース・プログラムと題し、JSPA公式YouTubeチャンネルにて、VRを駆使したライブ、セミナー、トークセッションが無料で公開されています。このVRメタバース・プログラムは、DTMステーションでもお馴染みシンセアニキことJSPA理事の江夏正晃さんと、渡部潤一さん、タイプゼロの主導の元で行われました。実際にシンセフェスタ メタの会場と、VRメタバース・プログラムを撮影している現場に行ってみたので、どういった内容だったのでかレポートしていきたいと思います。ちなみにオンラインで配信されていた会場ライブのアーカイブは、12月21日まで視聴することが可能。リアルイベントを見逃した方、地方で東京までは来れなかったという方は、ぜひご覧になってみてください。
今回12月10日と12月11日の2日間に渡って開催されたシンセフェスタ メタは、リアルとネット配信のハイブリッドで行われました。会場となった南青山にあるBAROOMは下図のようなマップになっており、画像にもあるようにARTURIA、AHS、浅草電子楽器製作所、ARTinoise、エムアイセブンジャパン、InstaChord、コルグ、ファインアシスト、MOOG、メディアインテグレーション、ヤマハミュージックジャパン、REON、ローランドがずらっと並んでいました。
BAROOMの中心にある円形ステージでは、ライブイベントが行われており、私が現地に行った12月10日の15時30分からは、氏家克典 × RIO スペシャルライブがスタートしました。JSPAの代表理事も務める氏家克典さんとグローバルに活躍する21歳の新次元ウクレレ奏者のRIOさんの圧巻のライブはこのイベントならでは。
氏家克典さんはYAMAHA MODX7+を使用し、披露した楽曲の中には、最近「AI歌声合成に命を吹き込むSynthesizer V 1.8.0発表。歌姫Maiの歌声データベースはSynthesizer V Studio Proユーザーに無料で公開へ!」という記事でも紹介した歌声合成ソフトウェアSynthesizer Vを用いていたり、終始楽しいライブとなっていました。
また以前「楽器がまったく弾けない人でも1分の練習で弾けるようになる電子楽器InstaChordが発売カウントダウン。その使い勝手を体験できるiPhoneアプリが無料で遊べる」といった記事に登場していただいた作曲家・ミュージシャンでもある永田雄一さんが開発したInstaChordが登場する場面も。
時間の関係で、私もすべてのライブを観ることはできなかったのですが、見逃し配信があるので今からでも見ることが可能です。ちなみに会場で行われた見逃し配信されるステージプログラムは以下の通り。こちらの見逃し配信は、有料となっています。支払いはクレジットカードでネット決済です。期間中は何度でも見ることができるようになっているので、興味のあるプログラムがあれば、ぜひ早めの申し込みをしてみてください。
シンセフェスタ メタ day1 -1部-【再配信】
目次
「氏家克典 × RIO スペシャルライブ」「東京◯×問題 スペシャルライブ」1,000円https://baroom.jp/events/W5rNkUUg 氏家克典 × RIO スペシャルライブ
12/10(土)1部 15:30~16:15 出演:氏家克典(キーボード/シンセ演奏、作編曲、プロデューサー) RIO(新次元若手ウクレレ・プレイヤー) 東京◯×問題 スペシャルライブ
12/10(土)1部 17:00~17:45 出演:東京◯×問題 モデル・女優としても活動するVo.小日向ひなたと、クラシック・ピアニストとしてピティナ・ピアノコンペティション 特級グランプリの受賞歴を持つカタヤマシュウによるエレクトロ・ポップ・デュオ |
シンセフェスタ メタ day1 -2部-【再配信】
「はなわ & 小林俊太郎 ライブ&トーク」2,000円https://baroom.jp/events/eTeVZaDY はなわ & 小林俊太郎 ライブ&トーク
12/10(土)2部 19:30~20:30 出演:はなわ(お笑いタレント、ミュージシャン)、小林俊太郎(ミュージシャン、プロデューサー、ピアニスト) 司会進行:守尾 崇(作編曲家、キーボーディスト、 シンセシスト、マニピュレーター) 出演は、お笑いタレントでミュージシャンのはなわ氏、はなわ氏の音楽を支えるミュージシャン、プロデューサー、ピアニストの小林俊太郎氏。司会進行はJSPA理事の守尾崇が務めます。 はなわさんの大ヒット曲、映画『翔んで埼玉』主題歌「埼玉県のうた」の制作秘話や、普段どうやって楽曲制作を行っているか?などを、お二人にお聞きします。はなわさんの意外な一面が見られるかも?? |
シンセフェスタ メタ day2 -1部-【再配信】
「KORG × Roland × Yamaha Colorful Synth Session !」「篠田元一 × 宇都圭輝 スペシャルライブ」1,000円https://baroom.jp/events/kBomvGKh 篠田元一 × 宇都圭輝 スペシャルライブ ともに作編曲家、キーボーディストとして活躍中のベテラン篠田元一と新進若手の宇都圭輝によるスペシャルな師弟ライブ・ステージ! KORG × Roland × Yamaha Colorful Synth Session ! 女性キーボーディスト3名×国内3大シンセメーカーのプレミアム・コラボレーションプログラム。進行役にミュージシャン、プロデューサーとして活躍する守尾崇を迎え、ゲストミュージシャンのシンセサイザーへのこだわりや演奏や音作りへのアプローチ法など、トーク、セッションを交えてお届けします。 |
シンセフェスタ メタ day2 -2部-【再配信】
「DÉ DÉ MOUSE × SASUKE スペシャルライブ」2,500円https://baroom.jp/events/sb9NXl5C DÉ DÉ MOUSE × SASUKE スペシャルライブ 今回「シンセフェスタ メタ」にて、兼ねてより友人として親交が深く才能溢れるお二人によるコラボでのパフォーマンスが実現した。 全クリエイターの皆さん、要チェックです。 |
一方で、VRメタバース・プログラムは、JSPA公式YouTubeチャンネルにて、VRを駆使したライブ、セミナー、トークセッションが無料で閲覧可能。具体的には以下のそれぞれです。
Yamaha MODX+シンセをプラス!FMシンセのはじめかた
出演:ナビゲーター 小原莉子(声優)
インストラクション:大野拓(ヤマハ)
内容:RAISE A SUILEN のギタリストとしても活躍 話題の声優 小原莉子さんナビゲートにより、最新シンセ MODX+の魅力に触れるスペシャルプログラム!
FILTER KYODAI メタバースライブ
出演:FILTER KYODAI(サウンド&ビジュアルエンターテイメント・ユニット)、 須田英和(タイプゼロ取締役)
内容:ライブ&メタバースライブの可能性を探るパフォーマンス。今回駆使するタイプゼロ社のVRシステムの仕組みや解説も必見です。
東京◯×問題 メタバースライブ
出演:東京◯×問題
内容:モデル・女優としても活動するVo.小日向ひなたと、クラシック・ピアニストとしてピティナ・ピアノコンペティション 特級グランプリの受賞歴を持つカタヤマシュウによるエレクトロ・ポップ・デュオ in メタバース
ビンテージシンセ・パラダイス on メタバース
出演:江夏正晃(音楽家、DJ、プロデューサー、エンジニア)、渡部潤一(作曲家、ノイズアーティスト)、林 廉吉(シンプレックス代表 シンセサイザーリペアの世界的スペシャリスト)
内容:江夏氏所有の貴重なビンテージシンセを江夏、渡部両氏が音出し解説。さらに林 廉吉氏にシンセサイザーリペアの極意を聞く!
こちらのVRメタバース・プログラムのほうは、上に掲載したとおり、すべてYouTubeで無料で見れる形となっています。
私は、BAROOMの会場にあった大きなテレビでの配信を見ていた一方、BAROOMに来る前に、VRメタバースの配信スタジオのほうにも見学に行ってきました。この配信スタジオは南青山ではなく、そこから6~7km離れた目黒にあったため、物理的に簡単に行き来きできる場所ではないのですが、お互い連携をとりながらの運営となっていました。
私が見に行ったのはちょうど「シンセをプラス!FMシンセのはじめかた」のリハーサルを行っている最中。ヤマハの大野拓さんと、声優でギタリストでもある小原莉子さんがMODX7+を使いながらFM音源講座を展開しているところでした。
このアーカイブは上記の通り、誰でも無料で見れる形になっていますが、これを見ても分かる通り、まさにメタバース空間上での配信となっていました。が、実際のスタジオではグリーンバックのシンプルなスタジオなんですね。ここには数々の機材が置かれており、リアルタイムにメタバースの世界の映像へとリアルタイム変換。横にあるモニターには、スタジオとはまったく違う世界が映し出されていました。いずれも、濃厚な内容ばかりですから、ぜひご覧になってみてください。
さて、シンセフェスタ メタのもう一つの目玉は、会場に設置されていた展示スペースでの各社の展示です。楽器フェアなどがコロナ禍で何年も開催されていない中、リアルに機材を見て、触って、音を試せる数少ない機会だったわけですが、各社ともさまざまな機材を展示していたので、並び順に、新製品や注目の製品などに絞って簡単に紹介していきましょう。
オンド・マルトノが現代に蘇り発売開始
入口を入ってすぐのところに展示されていた、レトロな雰囲気を醸し出す機材は浅草電子楽器製作所が苦節23年の開発の末、ようやく製品化にこぎつけた、というオンド・マルトノである、Ondomo(オンドモ)。1928年にフランスで生まれたオンド・マルトノは、シンセサイザの原点ともいえるもので、テルミンの原理を元にリボンを使って演奏できるようにしたもの。後に鍵盤も使えるようになっていったのですが、それをようやく再現して発売にこぎつけたのだとか。すでに最初の限定100台のロットはすべて予約完売で、現在それに続くものを準備中とのこと。それが今回展示されていたのです。価格は70~80万円程度と簡単には手を出せない価格ですが、世界中から注目を集めているようです。将来的には廉価版のリリースも視野に置いているそうなので、その辺も期待したいところです。
浅草電子楽器製作所がオンド・マルトノを再現したOndomo
サックス型のシンセ、Elesaは来年5月ごろの発売予定
ファインアシストは、Elefueというリコーダー型のシンセサイザ&MIDIコントローラ(近日中の記事で紹介する予定)を出していますが、その上位版的位置づけの電子サックスであるElesaを参考出品していました。Elefueより一回り大きく、まさにサックス型のボディーとなっていますが、20の音色が内蔵されており、アンプ&スピーカーも内蔵しているので、このまま単体で演奏可能。Elefue同様、Bluetooth-MIDIを使って外部コントロールもできるほか、外部からBluetoothオーディオを流すこともできるため、BGMに合わせて演奏するといったことも可能になっています。
一方、折り畳み式キーボードの新製品、オリピアーV49も展示していました。従来のオリピアは4つに折り畳める88鍵盤でしたが、こちらは2つ折りの49鍵盤。従来製品よりハイグレードな鍵盤にし、ベロシティにも対応。またMIDIコントローラとしての機能もより充実させているようです。こちらは2023年春発売の予定で、25,000円程度での販売となる見込みです。
アコースティックとBluetoothを共存させたリコーダー、RE.CORDER
Elefueの向かいのブースで展示していたのはイタリアのメーカーARTinoiseが開発したRE.CODERです。こちらは、まさにそのままアコースティックで使えるソプラノリコーダーでありつつ、Bluetooth-MIDIを使って演奏もできるというデバイス。笛としてアコースティック部分を使わない場合は蓋をすることで、鳴らなくなり、MIDIだけで演奏ができる仕組みとなっています。
ARTinoiseは専用のスマートフォンアプリもだしており、これと接続することで、さまざまな音色で演奏できるのはもちろんのこと、演奏の仕方をいろいろカスタマイズできるのもユニークなところ。ブレスコントロールを効かせるかどうかを設定したり、くちびるを軽く触れるだけで演奏できるようにしたり、キーボードモードも持っていたり…。また、運指をカスタマイズすることで、リコーダーにしたりサックスにしたり、トランペットにしたり…といったことも可能になっています。さらに、Learn-and-Playスタイルの学びながら演奏を身に着けていく学習機能も搭載しているなど、工夫が凝らされたアプリになっています。
試しにElefueと並べて写真を撮らせてもらいましたが、この辺の機材が手ごろな価格でいろいろ登場してきたのは楽しいところです。
InstaChordは操作性が進化。来年にはアイワから廉価版も
DTMステーションでも何度か取り上げてきた、まったく新しい楽器、InstaChord。クラウドファンディングからスタートし、通販での購入ができる形となっていましたが、最近になって楽器店での流通も始まったようなので、近所の楽器店で触れてから購入も可能になってきているようです。そのInstaChordは、これまでも何度かファームウェアアップデートにより機能・性能を向上させてきていますが、先日、新モデルを発表し、パッド部分の性能がよりよいものになっています。すでに購入した人にとっては、悔しい思いを持ってしまうかもしれませんが、大丈夫とのこと。アップデートをお願いすると5,400円で部品交換を行って新バージョンにすることができるのです。また、自分で部品交換を行う、というDIY派の人であれば、2,200円で部品だけを注文できるので、より安くアップデートが可能になっています。なお、InshtaChordの新展開としては来年1月からアイワからInstaChordの新製品が発売される予定です。これはMIDI機能をなくし、内蔵音色を少なくするとともに、スピーカーのグレードを少し下げたもの。その分安く購入できるようになるとのことです。この辺も新しい情報が入ったら紹介していければと思っています。
オーディオIF、5製品が12月25日までセール中
PreSonus製品やSoftube製品などを扱うエムアイセブンジャパンは、Studio Oneの新バージョン、Studio One 6の展示デモを行う一方、PreSonusのオーディオインターフェイス5機種の展示を行っていました。具体的にはAudioBox Go、AudioBox iOne、Revelator io24、STUDIO24C、そしてRevelator io44のそれぞれ。いずれもDTMステーションの記事でも紹介してきた機材であり、必ずしも新製品というわけではないのですが、このタイミングでキャンペーンセールを展開中で12月25日まで最大32%オフで購入できるとのこと。DTM業界でも値上げラッシュとなる昨今なので、このタイミングで購入するのは大きなチャンスといえそうです。
一方、数々の機材を忠実にソフトウェアでエミュレーションしているSoftubeの製品の展示もしていましたが、こちらも25日まで最大75%オフとのこと。いずれも、MI7のオンラインストアである、MusicEcoSystemでの販売品が対象とのことなので、気になる製品がある方はぜひチェックしてみてください。
音からテンポ抽出してSYNC信号を出力可能なTX-6
Teenage Engineering製品を取り扱うメディアインテグレーションが展示していたのは、小さな小さなミキサー、TX-6。でも、これはステレオ6ch/モノラル12chのミキサーであると同時に、イコライザー、フィルター、コンプレッサ、Auxセンド、キュー、デジタルエフェクトを内蔵するとともに、多機能USBオーディオインターフェイスとしても使用することができるユニークな機材。
でも最大のポイントはこのTX-6に入力されたオーディオ信号からリアルタイムにテンポを検出するとともに、SYNC信号を出力することができるという点。これによって、普通にCDなどを鳴らしながら、それにPocket Operatorのリズムマシンを同期させたり、KORGのvolcaやSONICWAREのLIVENを同期させるなどユニークな使い方が可能。ただ、それだけ多彩な機能を持っているだけに、見た目はカワイイけれど、値段はあまりカワイくはなく、実売は税込みで18万円程度とのことでした。
Synthesizer Vには多くの参加者が興味津々
ここで今さら細かく紹介するまでもありませんが、「AI歌声合成に命を吹き込むSynthesizer V 1.8.0発表。歌姫Maiの歌声データベースはSynthesizer V Studio Proユーザーに無料で公開へ!」や「Synthesizer Vに超強力な女性ボーカル、Maiがまもなく登場。もうAIと人間の違いは認知できないレベルに」の記事でも紹介したSynthesizer Vが展示されており、開発者のKanru Huaさんも会場で製品説明などもしていました。このMaiのリアルな歌声のデモ演奏がされていたこともあり、来場者の多くは興味津々に製品をチェックするとともに、歌わせてみてその実力を確認していたようでした。
Arturia製品も新製品を続々と投入
コルグのブースにおいてはmodwave、opsix、NAUTILUSといった製品やMOOGのシンセサイザ類の展示を行っていた一方、新製品として目立っていたのがフランスArturiaの製品。その一つはMINILAB 3。MINILABはMIDIキーボードとAnalogLabというソフトウェアを組み合わせた人気製品ですが、その3世代目となるMINILAB 3では鍵盤がよりしっかりしたものとなるとともに、スライダー、ノブ、パッド類もより高品位なものになっています。それと同時に、今回液晶ディスプレイも搭載されたことから、視認性も向上しより使いやすいものとなっています。
そのキーボードと対になるAnalogLab Vも大きく強化されています。Arturiaでは「MS-20やSQ80も登場!32種類のシンセをパックにしたArturiaのV Collection 9が発売開始」の記事でも紹介したV Collection 9が全部入りの集大成ですが、そのサウンドをほぼそのまま鳴らせる同じエンジンを持ったものがAnalogLab Vなのです。全パラメータをいじれるわけではないものの、演奏するならこれで十分という機能を持ったもの。この辺も近いうちに紹介していく予定です。また、MicroFreakを機能拡張するとともに、鍵盤をしっかりしたもにして進化させたMiniFreakも展示。こちらも近いうちに詳細を紹介していく予定です。
19,900円で買える小さなガジェットシンセ、AIRA Compact
ローランドブースで人気となっていたのは小さなガジェットシンセである、AIRA Compact。TR-808とTB-303を合体させたT-8 BEAT MACHINE、JUNO-60のサウンドと強力なコードシーケンサを組み合わせたJ-6 CHORD SYSNTH、そして声をさまざまに変化させる多彩なエフェクトとルーパーを駆使して、一味違うボーカル・パフォーマンスを実現させるE-4 VOICE TWEAKERの3機種がありますが、いずれも実売19,900円+税で買える手ごろな機材。発表自体は今年の6月だったのですが、世界的に大人気でまったく入手できない状況が続いていました。が、ようやくこのタイミングで供給が追い付いてきたとのことで、12月中旬からは購入しやすくなっているようです。これまで買いたくても買えずに諦めていた…という方も多そうですが、いまなら入手できそうなので、年末の買い物としてもよさそうですね。
ヤマハ自らがDX7を再現するとともに機能強化した、MODX+
ヤマハブースで展示していて多くの人が集まっていたのがMODX+のコーナー。ご存じの方も多いと思いますがMODX+は以前あったMODXシリーズの後継モデルで、ある意味、DX7を現代に蘇らせたともいえる機材。61鍵盤のMODX6+、76鍵盤のMODX7+、88鍵盤のMODX8+の3つがありますが、もちろん単なるDX7の復刻ではありません。FM-X音源といってDX7を大きく進化させたFM音源で、最大同時発音数128音も実現。その一方でPCM音源であるAWM2音源も搭載されており、これと合わせると最大256音まで出せるようになっています。もっともシンセフェスタに集まる人達にとって気になるのはDX7との関係。WebアプリであるFM Converterを仕様することでDX7シリーズの音色データコンバートも簡単にできるようになっており、会場においてはDX7IIFDと並べて、MIDIシステムエクスクルーシブを使って実機から直接データ転送。これを使った音の比較などもしていました。
新発明したFAMエンジンで、シーケンサとは異なるコントロールを実現するMuton
最後に紹介するのは、日本が誇るベンチャーシンセサイザメーカー、REON。REONではコンパクトなシンセサイザdriftboxシリーズやMOOG IIIcを再現するREON IIIC、ユニークなFMシンセのCistronなどを開発・販売してきましたが、今回投入したのはMuton(ミュートン)というセミモジュラーシンセ。Mutonは医学用語で突然変異を意味するものですが、まさに突然変異したシンセ。
ここにはdriftboxライクの音源が搭載されている一方、REONが新たに作り上げたFlexible Advanced Multiplier (FAM)エンジンなるものが搭載されています。これは音源の演奏を司るエンジンでありながら、シーケンサとはまったく異なるもの。サンプル&ホールドの考え方を応用したシステムで、GATEジェネレータ3基とLFOジェネレータ3基を組み合わせ、フレーズを作り演奏していくのだとか。パラメータをいじりながら、気に入ったフレーズ/サウンドを作りつつ、それを調整していくことで、リアルタイムに音に変化を加えていくことができるそうです。