AI歌唱ソフト、VoiSona の新ボイスライブラリとして、ゴールデンボンバー鬼龍院翔CVの『機流音』 、SILENT SIRENすぅCVの『AiSuu 』がリリース。AI歌声合成の世界に新しい波

すでにテクノスピーチからも発表されている通り、本日12月19日より歌声合成ソフトであるVoiSonaに2つのボイスライブラリが追加されます。ゴールデンボンバー鬼龍院翔(@kiryuintw)さんがCVをつとめる機流音(きるね)と、SILENT SIRENすぅ(@sumiredooon)さんがCVをつとめるAiSuu(あいす)のそれぞれ。いずれも、本人そのものといってもいい歌声で歌わせることができ、その提供形態も含め、これまでの歌声合成とは少し異なる新しい動きになりそうです。
VoiSonaのエディタはWindows版、Mac版のそれぞれがありますが、いずれも無料。そこに追加ソングボイスとして機流音やAiSuuを入れる形ですが、それぞれサブスクの形となっており、年間ライセンスだと税込みで6,600円、月間ライセンスの場合は880円で利用することが可能です。サブスクという提供形態は歌声合成ソフトウェアとしては珍しい形ですが、以前の記事でも触れた通り、リアルアーティストに継続的な収益をフィードバックしたいというVoiSonaの設計思想があるようです。
またリリース記念として両ボイスライブラリの無料お試しキャンペーンが実施されており、4日間限定、つまり12月19日~12月22日の間に申込をすると1か月間無料で利用することが可能となっています。その二つのソングボイスを一足早く試すことができたので、その詳細について紹介していきたいと思います。

12月19日、VoiSonaの新ボイスライブラリ、機流音とAiSuuがリリース

すでに「AI歌声合成ソフト「VoiSona」が本日正式リリース。2022年内には鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)、すぅ(SILENT SIREN)のボイスライブラリ発売も」や「CeVIO Pro(仮)改めVoiSonaのβ版無料公開がスタート。VSTiに加えAudio Unitsにも対応し、M1にもネイティブ対応」といった記事でも紹介してきたAI歌声合成ソフトのVoiSona。これはテクノスピーチが開発するソフトで、WindowsおよびMacのプラグイン環境で動作するとともにスタンドアロンでも使えるソフトとなっています。
冒頭でも触れたとおり、VoiSonaのエディタ自体は無料で誰でも入手可能。しかもこのエディタには標準で知声(ちせい)という女性シンガーのソングボイスが入っており、これも無料で使えるという嬉しいソフトとなっています。

VoiSonaのエディタ画面。このエディタ自体は無料で入手できる

実はこのVioSonaに搭載されている歌声合成エンジンはCeVIO AIに搭載されているものと基本的に同じもの。詳しくは以前の記事を参照いただきたいのですが、CeVIO AIのエンジンを作っているのがテクノスピーチである、という関係があるんですね。ただし、あくまでも別の製品であるため、ソングボイスに互換性はなく、あくまでもVoiSona用のソングボイスをインストールして使う必要がありますが、CeVIO AIとVoiSonaは姉妹ソフトという関係にあることから9月にはCeVIO AI用に出ていたソングボイスである「さとうささら」がVoiSona用にもリリースされ、CeVIO AIのさとうささらを持っているユーザーはVoiSonaのさとうささらも1年間無償で使える…といったサービスも用意されています。

CVに鬼龍院翔さんを起用した機流音(きるね)

そのVoiSonaで今回、機流音およびAiSuuが2つ同時にリリースされたのです。いずれもキャラクターデザインはテクノスピーチが行っているとのこと。機流音は「きるね」と読むのですが、「きりゅういん」とも読むことができるわけですね。イラストレーターはTERU(@teru_by_m)さんが担当しているのですが、その機流音、

<機流音プロフィール>
ヴィジュアル系エアーバンド・ゴールデンボンバーVocal「鬼龍院翔」の歌唱AIを搭載したアンドロイド。アンドロイドらしからぬ熱唱に定評があるがそのぶん熱を持ちやすく、体のあちらこちらに排熱の工夫が凝らされている。
身体年齢:21歳
身長:164cm

と紹介されています。

機流音を歌わせている画面

実際、歌わせてみると、まさに熱唱してくれるので、ちょっと驚きます。設定年齢が21歳となっているのは、テクノスピーチさんの方でキャラデザに際し、ゴールデンボンバー最初期くらいの年齢感をイメージした形だそうです。その機流音をつかって、ゴールデンボンバーの「女々しくて」を歌わせたデモがあるので、お聴きください。

まさに本人そのものであるのが分かると思います。鬼龍院さん自身も以下のようなコメントを発表されています。

鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)さんのコメント

今までの漠然とした常識だと、コンピューターに歌ってもらう場合は往々にして熱唱系とは対極にある無機質で機械的な印象の歌声にならざるを得なかった部分があると思います。しかしこの機流音の歌声はサンプルを聴いていただければ一聴瞭然だとは思いますが、僕が10年以上「暑苦しさ」をアイデンティティにして歌ってきた熱さが存分に再現されています。いわゆる「ボカロP」と呼ばれる作家さんの中で、今まで人間らしさが必要な熱唱系の曲が浮かんではいたけれどもそっとフォルダにしまって眠らせていた曲がありましたら、是非この機流音で熱い命を吹き込んで形にしていただけたら幸いです。

CVにすぅさんを起用したAiSuu(あいす)

さてもう一方のAiSuuは「あいす」と読むのですが、「AIすぅ」のようにも読めるわけで、うまくネーミングしていますよね。SILENT SIREN、そしてすぅからSをモチーフにしているのだとか。そのSを回転させるとハートマークになるようデザインされていて、靴や衣装にもあしらわれているんですね。こちらのイラストはtamimoon(@tami_moon02)さんが担当。そのAiSuuは

<AiSuuプロフィール>
すぅ(SILENT SIREN)の歌唱AIを搭載したアンドロイド。首周りと頭のインタフェースからそれぞれオーディオ信号、電子データの入出力ができる。お気に入りのギターを肌身離さず持ち歩いており、たまに首から延びるケーブルを差しては、ギターと自分の声を混ぜたりして遊んでいる。
身体年齢:14歳
身長:153cm

と紹介されています。

AiSuuをVoiSonaで歌わせている画面

14歳という設定が気になって、ちょっと歌わせてみたところ、なるほどちょっとSILENT SIRENの楽曲で聴くすぅさんの声より幼い感じもします。AiSuuは、AIにご本人の声質・癖・歌い方を学習させた後で、さらにチューニングによるキャラクタライズを施しているのだそうです。すぅさんご本人も以下のようにツイートしています。

https://twitter.com/sumiredooon/status/1598298855896158213

実際、そのAiSuuで歌わせたSILENT SIRENの「八月の夜」があるので、こちらもお聴きください。

確かにすぅさんの歌声ではあるけれど、ちょっとカワイイ感じに聴こえます。そのすぅさんも以下のようなコメントを発表されています。

すぅ(SILENT SIREN)さんのコメント

AiSuuの音声を聞いたとき、自分だー!って不思議な感覚になりました!歌ってない曲が自分の声で聞こえてくるのは新感覚で嬉しかったです。少し機械っぽい要素もお気に入りです。そしてAiSuuのキャラデザインもSシルエットのギターを持っていたりシールドが付いていたり、犬好きなので耳が付いているあたりも私の要素を入れてくださっていることに感激です♪沢山の方にAiSuuが愛されるキャラクターになれば嬉しいです!

その機流音とAiSuuは、オリジナルの公式デモソングも発表されています。

12/15(木)18:00公開 カイロスの騎士|ひとしずく×やま△ feat. 機流音

12/16(金)18:00公開 CUGE!!|Sohbana feat. AiSuu

12/19(月)18:00公開 子供部屋のエチュード|OSTER project feat. 機流音&AiSuu

さて、この機流音およびAiSuuはリリース記念のキャンペーンとして、2022年12月19日12:00~12月22日23:59までの間に申込みすることにより、両ボイスライブラリとも1か月間無料で使うことが可能です。具体的なキャンペーンページは以下のとおりです。

機流音:https://voisona.com/license/kirune_ja_JP_song/
AiSuu:https://voisona.com/license/aisuu_ja_JP_song/
※公式サイトよりアカウント登録が必要です。

アクセスするとそれぞれの申込ページが表示されます。下の利用規約のところを確認の上、2項目それぞれにチェックを入れます。その後「月間プランに申し込みへ」か「年間プランを申し込みへ」のいずれかをクリックします。

機流音の申込ページ

さらに進んだページでクレジットカード情報の登録を行います。1か月間0円での利用という形ではありますが、クレジットカード情報は必須のようなので、これを入力します。これにより1ヶ月間サブスクプランが0円にて購入できるようになっています。

AiSuuの申込ページ

デフォルトでは1ヶ月間の無料期間終了後、最初に選択したサブスクプラン(年間もしくは月間)に移行する設定となっております。そのため、放置しておくと2か月目から課金がはじまってしまうわけですが、とりあえずは無料で1か月使い、その後どうするかは、後日決める…という場合は無料期間中にあらためてキャンペーンページにアクセスの上、「解約予約」ボタンを押してください。このボタンを押しても1か月間は使うことができ、無料期間終了後の自動更新がオフとなります。つまりギリギリになってキャンセルする必要はないので、良心的なシステムですよね。

ところで……、そのVoiSona、12月8日のタイミングで1.2.0というバージョンになっていますが、いくつかのアップデートがあったようなので、少し紹介しておきましょう。ひとつは、いわゆる「ケロ」った声にする機能です。正しくいうとピッチの忠実度を調整する機能としてTUNEというグローバルパラメータが追加されています。まあ、Auto-Tune的な機能が搭載されたといってもいいと思います。通常は中央値である0.00にしておくものですが、これを変化させることで、ピアノロール上で指定したピッチの忠実度を変えることができ、たとえば1.0にするとかなりケロった声になるというわけです。

グローバルパラメータにTUNEが追加され、ケロらせることも簡単にできる

もうひとつ大きいのはこのピアノロール左側にある鍵盤をクリックした際の音についてです。これまではサイン波でポーという音が鳴るだけだったのですが、このバージョンから実際のソングボイスで試聴可能になっています。この際、ドレミファソ…の音階名で歌うようになっています。そのほかにも右クリックで表示されるメニューやキーボードショットカットからファルセットを設定できる機能が追加されたり、ソングエディタからWAVファイルをエクスポートする際にビット深度を選択できる機能が追加されるなど、結構いろいろな強化がされています。

エディタ画面の左側の鍵盤をクリックするとソングボイスでの試聴が可能になった

テクノスピーチに確認したところ、今後のアップデートで、ARA2の対応度合いをさらに向上させ、さまざまなDAW上と連動を強化できるよう開発中とのこと。また今回、機流音とAiSuuがリリースされましたが、以前の記事でも何度か触れている知声英語版など、さらにソングボイスを充実させていくよう準備をすすめているとのことです。

さて、すでにSNSでの告知もしておりますが、2022年12月20日のネット配信番組、DTMステーションPlus!(ニコニコ生放送およびYouTube Live)において、このVoiSonaの特集を行います。ゲストは

鬼龍院翔さん(ゴールデンボンバー)
すぅさん(SILENT SIREN)
株式会社テクノスピーチ代表取締役 大浦圭一郎さん
同エンタメ事業部プロデューサー 塚田恵佑さん

の4名。まさか、この番組に鬼龍院翔さん、すぅさんがいらっしゃっていただけるとは夢にも思っていなかったので、私自身驚いているところですが、どんな展開になるのか今からとっても楽しみです。ぜひ、多くの方にVoiSonaの威力、面白さを紹介していければ、と思っておりますので、ご期待ください。

DTMステーションPlus!第211回
特集:VoiSonaで広がる歌声合成の可能性
2022年12月20日 20:30~22:30

 

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VoiSona製品情報

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