国産の譜面ソフトとして、1995年12月に誕生したカワイのスコアメーカー。現在のバージョンであるスコアメーカーZERO(スコアメーカー)は、楽譜が歌ったり、カメラで譜面を撮影してもきれいに楽譜を生成してくれたり、FinaleやSibeliusなど海外の楽譜ソフトとはちょっと違った進化を遂げています。というのも、FinaleやSibeliusなどは楽譜を作る人が使うソフトである一方、スコアメーカーZEROは楽譜を使う人が利用するソフトだからです。
最近では、かすれた譜面もAIを使って認識することで、精度よく楽譜にしてくれたりと日々進化をしています。前回のDTMステーション記事から5年経っているので、ほかにもあらゆる機能のアップデート、追加が行われてきました。そこで今回は、AI認識を中心に、この5年間でどんなアップデートが行われてきたのか、紹介していきたいと思います。
5年前の「カワイの楽譜ソフトが歌うようになった!?どんどん進化するスコアメーカーZERO」という記事で紹介したように、ここからカワイの楽譜ソフトが歌うようになり、このときから「スコアメーカーZERO」というネーミングに変わりました。当時から、スマホのカメラで撮影した譜面を楽譜にすることができたのですが、最近ではその精度が上がり、昔のかすれた譜面でも読み込めるようになったのです。
ユーザーは特に難しい操作は必要はなく、AI認識機能を利用することができます。ファイルメニューから、
次にパート構成や、五線記号がちゃんと認識しているか確認して、
認識実行をクリックします。すると、AI認識の確認というウィンドウが表示されるので、「AIを使って認識実行」をクリックすると、これまで認識が難しかった、かすれやにじみのある譜面を認識させることができるのです。予想時間が表示されていますが、AI認識の方が、やはり処理に時間がかかるようですね。
ちなみにこのAI機能について、製品を手掛ける河合楽器の吉田俊也さんはオンラインでの取材で
「5年間で部分的にAIを導入してきましたが、今回は音符、休符の認識に対して、これまで導入してきたAIとは別の種類のAIを導入しました。これにより、従来の方式では難しかった、カスレやニジミのある楽譜の認識精度が飛躍的に向上しました。たとえば、IMSLPなどにある古い楽譜で、スキャン品質が低いものでも認識できるようになりました。またAI認識には時間がかかるため、AI認識に適しているかどうかを判定しておすすめも表示します。今後はAI認識の高速化、対象記号の拡大、さらなる認識率向上などに取り組んでいく予定です」と話していました。
実際にAI機能を使って認識させてみましたが、予想時間より、はるかに短く3分ほどで処理が完了しました。ここは、譜面の複雑さだったり、元の譜面のきれいさだったりが関係しているかもしれませんね。
さて、この5年間で追加された主な機能の概要をここからは見ていきましょう。それぞれ詳しい内容については、オフィシャルブログで解説されているので、初心者でも使いやすいのは嬉しいところです。
練習モード
練習モードでは、練習に適した楽譜表示が可能です。具体的には、以下の画面のようになり、繰り返し記号のある部分は繋がって表示され、好きな場所をループさせることもできます。再生すると演奏に合わせて楽譜がスムーズにスクロールするのが練習モードの特徴となっています。
関連ブログ:http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e4442.html
mp3エクスポート
カワイのスコアメーカーZEROに譜面を読み込むと、ピアノや歌声が再生されるのですが、それをmp3で出力することができます。ファイルメニューからエクスポートにあるMP3を選択すると、MP3のビットレートを指定して保存可能です。
WAVはもちろん、mp3のエクスポートにも対応している
関連ブログ:http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e3585.html
MusicXMLのインポート
FinaleやSibelius、Rosegarden、Notionなどの楽譜作成ソフトウェアで作った楽譜をMusicXMLで出力すれば、スコアメーカーZEROに読み込むことが可能です。ファイルメニューのインポートにあるMusicXMLを選択すると利用できます。
関連ブログ:http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e3624.html
楽器パネル搭載
楽器パネルでは、ギター、ベース、ウクレレの指板での押さえ方が表示されます。五線譜が読めなくても、スコアメーカーZEROを使えば、簡単に弾き方が分かるのはポイントですね。自動的に決まるポジションだけでなく、自分でポジションを指定することも可能です。
関連ブログ:http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e4675.html
認識ナビ搭載
スコアメーカーZEROは、紙の譜面などを読み込めるわけですが、ちゃんと再現されているか確認するときに、便利なのが認識ナビです。確認すべき事項や間違っているかもしれない部分が表示されるので、それを元に修正を行うことで、簡単に楽譜認識を完了させることができます。譜面を書き慣れていたり、見慣れている方が、間違いを簡単に見つけるように、スコアメーカーZEROがアシスタントしてくれます。
関連ブログ:http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e4350.html
http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e4354.html
http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e4368.html
http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e4372.html
ほかにも、歌詞ではなく階名表示・階名で歌ったり(http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e3751.html)、平均律以外の音律にも対応(http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e3894.html)。DAWでベロシティーを操作するように、タイムラインパネル(http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e3984.html、http://sstyle.blog.kawai.co.jp/e4016.html)を使って、感覚的に強弱をつけたりすることができます。
なお、スコアメーカーZEROはサブスクリプションとなっています。たとえば、楽譜認識機能が使えるスタンダードなら月々2,178円(13か月目からは1,078円)、認識機能無しのエディターなら月々わずか132円(いずれも税込)という設定です。サブスクリプションのメリットとしては、ここで紹介した機能以外にも契約期間中に追加される新機能をどんどん取り入れることができるというメリットがありますね。
また、3か月/12か月/36か月間だけすべての機能を使用できる利用期間限定版も用意されています。利用期間限定版は、
1年目/月間(税込) | 2年目以降/13ヶ月以降(税込) | |
スコアメーカーZERO プラチナム 年間ライセンス | 22,880円 | 16,280円 |
スコアメーカーZERO プラチナム 月間ライセンス | 3,278円 | 1,628円 |
スコアメーカーZERO スタンダード 年間ライセンス | 15,180円 | 10,780円 |
スコアメーカーZERO スタンダード 月間ライセンス | 2,178円 | 1,078円 |
スコアメーカーZERO エディター 年間ライセンス | 1,320円 | 1,320円 |
スコアメーカーZERO エディター 月間ライセンス | 132円 | 132円 |
スコアメーカーZERO (プレーヤー) | 無料 | 無料 |
プラチナムには学割やアカデミック版、
「学割」
https://cmusic.kawai.jp/a/
「アカデミック版」
https://cmusic.kawai.jp/a/
「乗換版」
https://cmusic.kawai.jp/a/
それぞれのグレードの違いは、以下の通りとなっており、詳細な違いはぜひWEBページ(https://cm.kawai.jp/products/smz/lineup/)からご確認ください。
ラインアップ | プラチナム | スタンダード | エディター | プレーヤー |
楽譜表示/印刷/演奏 | ○ | ○ | ○ | ○ |
楽譜作成/編集 | ○ | ○ | ○ | × |
編集最大パート数 | 256 | 16 | 16 | × |
楽譜認識 | ○ | ○ | × | × |
認識最大パート数 | 256 | 16 | × | × |
拡張キット対応 | ○ | × | × | × |
以上、カワイのスコアメーカーZEROについて紹介しました。スコアメーカーZEROは、購入する前に誰でも15日間、無料でフル機能を試すことができるので、どのバージョンが自分に合っているのか、まずは試用版を試してみてはいかがでしょうか?
【関連情報】
スコアメーカーZERO製品情報
スコアメーカーZEROラインナップ比較表
【試用版ダウンロード】
スコアメーカーZEROプログラムダウンロード