7年の歳月をかけてついに完成。日本が誇る世界最高峰のエレキギター音源、SC Electric Guitar 2がついにリリース

世界中で高い評価を受けている日本のギター音源メーカー、Prominy(プロミニー)をご存じでしょうか?北海道・札幌にあるProminyは約20年間、ギター音源一筋で開発を続けてきたメーカーで、これまで究極のアコースティックギター音源であるHummingbird、メタルギター音源であるV-METAL、エレクトリックベース音源のSR5 Rock Bass 2など、数々の名作を作り出してきた、世界にも例を見ないメーカーです。

そのProminyが大絶賛されてきた音源、SC Electric Guitarの後継となる新エレキギター音源、SC Electric Guitar 2を9月30日に発売開始します。開発着手を発表してから7年という長い期間をかけてようやく完成したこの音源は、FenderのStratocasterのサウンドをサンプリングしたもので、サンプル数は約200,000、約147GBにのぼる膨大なもの。これだけの表現力を持つギター音源は世界中探しても他にはない、まさに唯一無二の究極のギター音源です。どのようにして、このSC Electric Guitar 2を開発してきたのか、Prominyの代表取締役である大川晃史さんにオンラインでインタビューすることができたので、紹介していきましょう。なお、SC Electric Guitar 2はNative InstrumentsのKONTAKT Player(無料)で動作する音源で、価格は54,890円(税込)となっています。

究極のリアルギターサウンドを追い求めて完成したProminyのSC Electric Guitar 2

そのインタビューに入る前に、まずはこちらのビデオをご覧になってみてください。SC Electric Guitar 2のスゴさが分かると思います。

どうですか?これがソフトウェア音源によるものだと信じられますか? このビデオで使用されているすべてのギターサウンドはSC2内蔵のアンプシミュレータおよびエフェクトによって作られているとのこと。ご覧いただくとわかる通り、さまざまな楽曲の一部を集めた総集編的な内容になっていますが、各楽曲のフルビデオも順次アップされているようなので、ぜひ聴いてみると面白いですよ。現在、以下の2つのビデオがUPされています。

では、さっそく、開発者である大川さんにいろいろ伺ったので、その内容を紹介していきましょう。

Prominy 代表取締役 大川晃史さんインタビュー

--ついに、SC Electric Guitar 2が完成したのですね。おめでとうございます。最初に開発しているという話を伺ってから、結構時間が経ったようにも思いますが……。
大川:みなさんに大変お待たせしてしまいましたが、ようやく完成しました。2015年にHummingbirdを出し、その年の秋にSC Electric Guitar 2の制作に着手したので、7年という期間が経ってしまいました。世界中のみなさんから、「まだか!」という声をいただきつつ、ずっと一生懸命作ってきたんです。「本当は作ってないんじゃないか」なんて声もあったようです。しかし、多くのユーザーさんがずっと待ってくださっていたことには、本当に感謝です。

SC Electric Guitar 2の開発者であるProminyの大川晃史さん

--7年間の開発期間って、尋常な長さじゃないですよね。Prominy製品の中でも最長ですか?
大川:そうですね。これまでエレクトリックグランドPCP-80、LPCエレクトリック・ディストーション&クリーン・ギター、今回の製品の前モデルにあたるSC Electric Guitar、ベース音源であるSR Rock Bass2、メタルギター音源のV-METAL、そしてアコースティックギター音源のHummingbirdと開発してきたので、今回のが8製品目となります。が、やはり開発期間でいうと最長ですね。最初のころは、本当に終わりの見えない作業で黙々と進めてきました。膨大なサンプルを1つ1つレコーディングしてきたこともあり、その選別、編集…というと途方もない作業量です。昔は若かったので、勢いで作ってきた面もありますが、歳をとってくると、もっと欲も出てきて、「もう少しよくなるんじゃないか」、「もっと別の方法があるのでは」……とテイク数が増え、ほかにも試したくなったり…とかなり時間がかかってしまいました。

KONTAKTでも無料のKONTAKT Player上でも動作するSC Electric Guitar 2

--スペックとして20万サンプルと記載されていましたが、途方もないというか気が遠くなりそうな量ですよね。
大川:いつできるか、まったく予想がつかない中進めてきたのですが、もうすぐできそうだと感じたのは、つい最近のことなんですよ。といっても昨年秋くらいでしょうか?このまま続ければ、なんとか完成しそうだと。ここまでこだわってリアルなサウンドを作り出している音源は現時点では世界中探しても他にはないし、今後もしこれよりリアルなものが出現するのであれば、それは常にProminy製品でありたいと思っています。それだけ長い期間を費やして作り上げてきただけの表現力を持つ音源が完成したと自負しています。

--今回、SC Electric Guitar 2と、SC Electric Guitarの新バージョンという位置づけですが、どんなところが変わったのでしょうか?
大川:Prominyのカラーでもある圧倒的なリアルサウンドを突き詰めたということのが最大なポイント、SC1にはない奏法なども数多く収録しています。またSC1と比較するとUIが大きく変わり使い勝手がよくなっているのも大きな特徴です。そしてアンプシミュレータ、エフェクト周りも充実させて、この内蔵エフェクトだけで十分に使えるものへと進化させています。以前はSC1からのドライ音を手持ちのエフェクトやアンプシミュレーターを自由にかけてご利用ください、というスタンスでしたが、今回はSC Electric Guitar 2だけでミックスレディーのサウンドまで作れるようにしています。

数多くのエフェクトやアンプシミュレータを内蔵しているので、これだけギターの音作りが完結する

--エフェクトを掛けた音をサンプリングしているということですか?
大川:いいえ、サンプリング自体はすべてギターからのドライ音で行っています。これを内蔵のエフェクト、アンプシミュレーターで作り上げていくのです。この何年間かでNative InstrumentsのKONTAKT自体で利用できるモジュールが拡充するとともに質も大きく向上したことからこれらをSC Electric Guitar 2で使えるように内蔵しているのです。もちろん、これらをオフにして使わずに、ご自身の好みのエフェクトやアンプシミュレーターなどを利用していただいてもいいと思います。

--今回7年の歳月をかけて、膨大なサンプリングを行ってきたとのことですが、他社のサンプリングギター音源と比べて何が根本的に違うのでしょうか?
大川:いつもお話していることですが、フレット間を自由に行き来できるレガートスライド、ハンマリング、プリング、グリスダウン/アップ……といった奏法を実際に弾いた音で実現しようとすると、かなりのレコーディング量が発生してしまうので普通はやりたがらないと思いますが、Prominyはやります(笑)。これらの奏法はギターという楽器をギターたらしめる上での最重要事項として位置づけていますので。これに加えて、コードのサンプリングも実際に弾いた本物のコードとして数多く収録しているのです。他社でもパワーコードくらいはサンプリングしているケースはあるようですが、ここまで多くの種類のコードをサンプリングしているメーカーはProminy以外にないだろう、ということですね。

--一般的にはコードをサンプリングしているわけではなく、単音をサンプリングした音を重ねているといことですか?
大川:その通りです。それだとどうしても本物のギターの音とは違ってきてしまうのです。リアルなギターサウンドに徹底的にこだわるとなると、やはりコードとして録る必要があると考え、作ってきました。もっともこの方法だけで全部やろうとすると、無限になってしまうので、シングルノート、単音のエミュレートコードも用意しており、ユーザーはこれを意識せずに使うことができ、システム側が自動的に切り替えを行います。エミュレートコードもできるだけリアルに聴こえるよう様々な工夫を施していますが、エミュレートコードはhybridモードで鳴るリアルサンプルコードのニュアンスの違うバージョンという位置づけで使うこともできます。

--システム側が自動的に切り替える?
大川:はい、hybridモードにしておけば、コードサンプルがあった場合はそちらが鳴り、ない場合にはエミュレーションで鳴らす形になります。一方で、あえて、hybridをオフにしてエミュレーションモードにすると、すべてが単音を重ねたエミュレーションのコードで鳴る形になっています。スローストロークについても汎用的なスピードでいい具合に「ジャラーン」と鳴るリアル・コード・サンプルが収録されています。「ジャラーン」のスピードを変更したい場合はエミュレートコードでスピード調整をしていただければと思います。

hybridモードとemulatedモードの選択が可能

--実際そのレコーディングは、どのように行っていったのですか?
大川:FenderのStratocasterは3つのピックアップがありますが、それぞれをパラアウトできるように改造し、3つの音をパラで同時に別々に録音しています。そのためSC Electric Guitar 2側でピックアップを切り替えると、本当に切り替えたようなサウンドが鳴らせるようになっています。その音はギター用のダイレクトボックスを介し、オーディオインターフェイスを使ってCubaseでレコーディングしています。SC1の時からありましたが、ストラトのピックアップ・セレクターのスイッチを動かしたときの「カチャッ」という音まで再現しています。

ユーザー・コード・エディタであらゆる独自のコードが作成可能で弦ごとに鳴らし方を設定できる

--DTMユーザーの中にはギターのソフトウェア音源ってまったく使ったことがない方もいると思いますが、そうしたユーザー向けに少しコメントをいただけますか?
大川:ギター音源の場合、シンセやワークステーションなどでプリセットを選んで弾くというのとは少し違います。低音の鍵盤などに割り当てられているキースイッチやMIDIのコントロールチェンジを利用してギターの奏法を切り替えて、サウンドを作っていくとタイプの音源です。このスイッチを利用すると、本当にさまざまな奏法、さまざまな演奏を実現できるので、ギターについて改めて深く知ることができるのではないかと思っています。ギターはピアノやオルガンと違って、不確定要素の多い楽器、多次元な楽器であることを実感できると思います。もちろん、SC Electric Guitar 2によるサウンドがホンモノのギタリストにかなうわけではないですが、ギタリストがどんなことをしているのか、Prominy製品を通じて分かってもらえるのではないかなと思っています。

キースイッチ使うことで奏法を簡単に切り替えられるようになっている

--最近はMIDIの知識をあまり持たずにDTMが使える便利な時代にはなりましたが、SC Electric Guitar 2を使うことで、MIDIに関する理解も深まるかもしれませんね?
大川:確かに以前は、MIDIの知識が豊富な人が多かったですが、最近はDAWの操作やMIDIに関する基礎知識をあまり習得していない方も多い印象です。Prominy製品以外のものも含めてどのような音源を使うにしても、たとえそれがギター音源でなくともDAWの操作やMIDIに関する基礎知識は曲のクオリティアップに直結する絶対に必要なものです。加えて、大まかにいえば、基本的にはキーボード楽器は横軸のみの楽器で、音階とノートベロシティのみで(サスティンペダルなどの追加情報もありますが)ほとんど表現可能な楽器であるのに対し、ギターやベースは縦軸と横軸があり、さらにミュートやピッキング方法、ストローク方向など、先ほども言いましたが、その音を鳴らすまで演奏者(作曲者)にしかわからない、他の楽器に比べて不確定要素が非常に多く存在する極めて多次元的な楽器です。

--なるほど、確かに不確定要素が多い楽器ではありますね。

大川:そうした不確定要素を何らからの方法で確定させることがその楽器をリアルに再現するために必要となりますが、その手段がキースイッチやMIDI CC(MIDIコントロールチェンジ)などであり、それを実行させるためにお使いのDAWの操作方法を知る必要があります。こうしたことを理解することで、より表現力豊かな曲作りが可能になると思うので、Prominy製品を使うことが、ギター音源に関してだけではなく打ち込み全般のスキル向上の機会になれば…と思っています。……と長々と説明しましたが、基本的な使用方法は実はいたってシンプルです。

1. インストゥルメント・セレクト・キースイッチで奏法を選択

2. サンプルがマッピングされている範囲(演奏可能な領域)の鍵盤を弾いて音を鳴らす

基本はこれだけです。簡単な曲ならこれだけでも結構リアルなギター・トラックになります。あとは、必要があればその他のキースイッチやMIDI CCで他の要素を確定する、といったところです。ご購入いただいた後はProminyのウェブサイトのユーザー専用ページから公式デモ曲のMIDIファイルもダウンロードできます。MIDIファイルのデータは各デモ曲と全く同一のそのままの打ち込みデータですので、そのMIDIファイルをお使いのDAWで開いてその曲が実際にどのように打ち込まれているかを正確に見て製品の様々な機能の使用例として参考にしていただくことができますので是非活用してください。製品マニュアルについては、色々な機能があるので文章に起こすとそれなりに長くなってしまい結構なボリュームとなっていますが、実際に操作をしてみると意外とシンプルで特に難しくないものがほとんどだと思います。画像もかなり多いのでページ数のわりには文章は少ないとは思います。マニュアルの内容を理解するにはDAWの操作やMIDIに関する基礎知識が必要なのは確かですが、逆にそれがあれば特に難しいことはなく、むしろ容易に製品をフル活用していただくことができるはずです。マニュアルの情報量に臆せず、ぜひ色々な機能を試しながら楽しんでいただければと思います。

--ありがとうございました。

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【関連情報】
SC Electric Guitar 2製品情報
Prominyサイト

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