ACID Pro 11リリース。上位版のSuiteは約40万円分のプラグインがテンコ盛りで29,800円

独MAGIXからDAWであるACIDの新バージョン、ACID Pro 11およびACID Pro 11 Suiteが発表され、国内ではソースネクストから発売が開始されました。ご存じの通りACIDは元祖ループシーケンサであり、1998年にループ素材を並べていくだけで音楽制作ができるという画期的な考え方を生み出したソフトです。そのループシーケンサは、今ではDTMの常識となり各DAWでも同様の機能が取り入れられているわけですが、ACIDはその後も、独自の道を歩みつつ進化しており、現在でもループシーケンサとしてみれば最高の機能、性能を持っているソフトであることは間違いありません。

もちろん、その進化の過程において、オーディオレコーディング機能やMIDIシーケンス機能などさまざまな機能を取り入れ、いわゆるDAWとしての機能もすべて整ったソフトとなっています。今回リリースされた最新版のACIDであるACID Pro 11は、従来の機能性能を引き継ぎつつ、MAGIXのMusic Makerとの親和性を高める一方、マスタリングプロセッサであるBRAINWORX bx_masterdeskや強力なプレイバックサンプラーであるIndependence Pro Sound Library、さらには非常に使いやすいマルチバンドEQであるmodernEQなどを搭載したもの。さらに上位版のACID Pro 11 Suiteは、これらに加えFORCUSRITEのコンソールを再現するプラグインやOberhheimのSEMを再現するソフトウェアシンセ、ボーカルピッチ修正プラグインなどさまざまなプラグインを追加したものとなっています。とくにACID Pro 11 Suiteはプラグイン類だけで約40万円のがバンドルされているもので、価格は48,279円(税込)と約1/9の価格設定。さらに9月20日~30日の期間、DTMステーション読者のみ29,800円円で購入できるというクーポンコードが発行されています。そのACID Pro 11 Suiteのライセンスをソースネクストから提供いただいたので、実際どんなものなのか試してみました。

ACID Pro 11および上位版のACID Pro 11 Suiteが発売。9月末まで38%オフで購入可能

ご存じの方は多いと思いますが、改めてACIDの基本的なことについて簡単に紹介すると、これはACID LoopsとかAcidized Loopsなどと呼ばれるループ素材をトラック上に貼り付けていくことで、音楽制作ができるというもの。

このACID Loopsというのが世の中のループ素材のデファクトスタンダードになっているので、普通にループ素材といえば、ACID Loopsを指しており、ファイル形式的にはWAVファイルです。ただし、このWAVファイルの中にはテンポ情報、キー情報、ループポイント情報などが入っているので、普通の音楽のWAVファイルとはちょっと違うんですよね。

従来からの機能を引き継ぎつつ、プラグインなどを多数同梱したACID Pro 11

今回発売されたACID Pro 11やACID Pro 11 Suiteにも膨大なACID Loopsの素材が付属していますが、そこに入っているドラム、ベース、ギター、パーカッション、シンセサウンド……などをブロックのように並べていけばそれだけで音楽が出来上がるという仕組みになっています。もちろんテンポを変更すればそれにしたがって各ループ素材も追従するので、テンポの異なるループ素材も気にすることなく組み合わせていけるのも面白いところです。また、各ループ素材ごとに、ピッチを変更していくことができるので、自在にコード進行を設定できるようにもなっています。

ループ素材を並べていくだけで曲を作成でき、ループごとに個別にピッチ変更も可能

また、すでに存在している楽曲データなどを読み込んだ上で、ビートマッパーというツールを通すことで、テンポや小節を自動で割り出してくれます。つまり、これをベースにして、ループ素材を貼り付けていくことで、簡単にリミックスを作っていくことができるのです。こうした使い勝手の良さは、やはり元祖ループシーケンサであるACIDが今も一番いいと思います。

MP3やWAVなど、長い楽曲をトラックに読み込むとビートマッパーが起動し、テンポや小節を自動で割り出してくる

そんなACIDの最新版であるACID Pro 11はワイクリックで音をパッドに登録でき、それらを組み合わせてモーフィングしていくACID Morph Pads機能をはじめ、MIDIのインライン編集機能、ドラムグリッドモードでの編集機能、MIDIフィルタリング機能、グルーブマッピング機能……とさまざまな機能を搭載しつつ、今回多くのプラグインをバンドルしたのがポイントとなっています。

そのプラグインの収録数がACID Pro 11とACID Pro 11 Suiteで異なるのですが、ざっとまとめてみたのが以下の表です。

ACID Pro 11 Suite ACID Pro 11 USドル 日本円
Brainworx Console Focusrite 349 49,907
Brainworx bx_console N 299 42,757
Brainworx bx_masterdesk 149 21,307
Brainworx Refinement 199 28,457
Brainworx Oberhausen Synthesizer 249 35,607
Brainworx Crispy Tuner 399 57,057
Independence Pro Sound Library 59.99 8,579
MAGIX colorFX Suite 99.99 14,299
MAGIX essentialFX Suite 179.99 25,739
MAGIX coreFX Suite 199 28,457
MAGIX Analogue Modelling Suite Plus 179.99 25,739
MAGIX VariVerb II 179.99 25,739
MAGIX Vandal 179.99 25,739
MAGIX Vintage Effects Suite 119.99 17,159
iZotope Ozone 9 Elements 14,960
Melodyne 5 essential 11,000

国内流通していないソフトも多かったので、USドルでの価格を掲載するとともに$1=143円として計算した日本円で計算してみると、ACID Pro 11 Suiteが約40万円分、ACID Pro 11でも22万円分とかなり膨大なものとなっています。

ACID Pro 11 Suiteのインストーラー。ここからACID本体とともに各種プラグインをインストールする

実際どんなプラグインなのかを少しピックアップしてみると、目玉はBrainworxのプラグインの数々です。Brainworx Console Focusriteは、その昔、Focusriteが10ユニットだけ開発したといわれる名コンソールを再現したというもの。コンプレッサ、ゲート、ディエッサ、エキサイター、イコライザなどがこの中に入っているわけですが、これを通すだけでグッとくるサウンドに仕立て上げられるという点で、持っていて絶対に損のないプラグインです。

Focusriteのコンソールを再現するBrainworx Console Focusrite

同じくBrainworxのOberhausen SynthesizerはOberheimのSEMと呼ばれるシンセサイザの名器を再現したもの。まさにアナログシンセのサウンドを忠実に出すことができるもので、シンセの音作りとしては非常に価値のあるものです。

OberheimのSEMを再現するBrainworx Oberhausen Synthesizer

またMAGIXのプラグインも数多く搭載されています。たとえばcolorFX Suiteは以前「テープ、真空管、ビットクラッシャー、音に暖かみを出すMAGIXのプラグイン集、colorFX Suite」という記事で取り上げたこともありましたが、テープサチュレーションソフトのTape Machine、真空管サチュレーションのTube Distortion、ビット解像度を落とすBitcrusherの3つをセットにしたもの。これだけでもかなり便利に使えますね。

テープサウンドをシミュレーションするMAGIX colorFX Tape Machine

さらにMAGIX Analogue Modelling Suite Plusはマスタリング用途などで使える強力なプラグイン集。たとえば、その中に含まれるam|munitionは、コンプレッション、フィルタリング、サイドチェイン、リミッター、クリッパーなどの独立したユニットを搭載しているツールです。

マスタリングツールのam|munition

そのほかにもiZotopeのAIマスタリングツールであるOzone 9 EssentialやボーカルエディットツールであるMelodyne 5 Essentialなど持っておきたいツールが山ほど。そして、特筆すべきことは、これらプラグインがどれも他のDAWでも使えてしまうという点です。実際、Cubase 12を起動してみたところ、普通にVST3プラグインとして読めてしまうので使うことができます。したがって40万円ソフトのプラグイン集を安く入手するという意味でACID Pro 11 Suiteを買うのも手というわけです。

ACID Pro 11 Suiteに付属の各種プラグインはCubase Pro 12上でも動かすことができた

一方で、これまでのACID Pro 10以前と異なる面白い機能も搭載されていました。それは同じMAGIXのDAWであるMusic Makerとの連携です。画面右側にストアという機能が追加されたのですが、ここを通じてループ素材やエフェクト、インストゥルメントなどが購入できるようになっています。実は、これがMusic Makerのものと同じなんですね。すでにMusic Makerを持っているという人も多いと思いますが、Music Makerは購入すると、好きなループ素材やエフェクト、インストゥルメントをいくつかもらえる権利がついてくるので、すでに入手している人も多いでしょう。そうしたツールが、そのままACID Pro 11上でも利用できるようになっているのです。

今回のACIDにはMAGIXのストア機能が搭載され画面右側からコンテンツが購入可能になったのだが、実はMusic Makerと共通

ただし、これらのエフェクトやインストゥルメントは、Music MakerまたはACID Pro 11で使えるだけで、他のDAWでは利用できないので、その点のみご留意ください。

以前Music Makerで入手したシンセをそのままACID上で使うことができた

以上、ざっとではありますが、ACID Pro 11およびACID Pro 11 Suiteについて紹介してみました。これらが発売記念ということで9月21日~30日の期間、通常よりも38%安い価格で入手できるクーポンコードがあります。ぜひ、この機会に入手してみてはいかがでしょうか?

DTMステーション特別割引情報
クーポンコード: DTM-2209-02
割引後価格:24,079円→14,800円
有効期限 : 2022年9月30日(金)まで
利用方法 : 以下のページから商品をカートに入れた後に、クーポンコードを入力してください。
販売ページ : ソースネクストACID Pro 11ダウンロード版

クーポンコード: DTM-2209-03
割引後価格:48,279円→29,800円
有効期限 : 2022年9月30日(金)まで
利用方法 : 以下のページから商品をカートに入れた後に、クーポンコードを入力してください。
販売ページ : ソースネクストACID Pro 11 Suiteダウンロード版

※この記事はソースネクストからACID Pro 11 Suiteを提供いただいたものを元に執筆しています。

【製品情報】
ACID Pro 11製品情報
ACID Pro 11 Suite製品情報

【価格チェック&購入】
◎ソースネクスト ⇒ ACID Pro 11
◎ソースネクスト ⇒ ACID Pro 11 Suite

モバイルバージョンを終了