みなさんは、自分でボーカルやアコギなどのレコーディングをする際のマイクはなにを使っていますか?「定番のモデルを使っているよ!」「エントリーモデルを使い続けている」など、一度買ったものを長く使っている方も多いと思います。安いマイクは1万円以下からありますし、高いマイクであれば30万円以上することもしばしば。中には、「エントリーモデルをとりあえず買ったけど、実は一生使えるマイクを探している」という方もいるのではないでしょうか?
よくレコーディングスタジオなどで使われるNeumann U87Aiなどは、長く使えるとはいえ、約40万円するので簡単に購入できるものでもありません。さらにいえば、音楽ジャンルや声質に合った、より自分に最適なマイクがもしかしたらほかにもあるかもしれないのです。とはいえ、どうやって探したらいいか分からないし、楽器屋さんに直接行って、端から試してみるという時間もない、という場合もあるかと思います。そんなときに参考になるのが、レコーディング機器を扱うお店、Rock oNがWEB上で展開する、各種機材のサウンドを比較試聴できる人気企画「HEAR THE REAL TONE」。先日公開されたページでは、価格帯としては高めのハイエンドの中から、Rock oNのスタッフが「現在のトレンド等を鑑みて重要なプロダクトである」という観点で選んだ12本のマイクの音を聴けるので、これについて紹介していこうと思います。
このRock oNが定期的に展開しているHEAR THE REAL TONEは、以前「バイノーラルマイクとAmbisonicsマイク合計9機種が勢ぞろい。エンジニアの飛澤正人さんと各種比べてみた」という記事のときにも紹介しましたが、同じコンセプトや同価格のマイクなどを比較試聴できる面白い企画となっています。
「直接Rock oNに行ってマイクを比較するには自宅から遠すぎる」とか、「初心者だから端から試すのは気が引ける……」といった方も簡単にマイクを比較できるし、プロのエンジニア・アーティストのコメントもあるので、これらを参考にどんなマイクが自分に合っているか参考にすることができます。たとえば、HEAR THE REAL TONEでマイクを比較して、2,3本よさそうなものを決め、実際に店舗に行って試してみるなどというのもよいですね。
今回のHEAR THE REAL TONE 2022は。ハイエンドマイク編として12本のマイクをピックアップしています。エンジニアは、big turtle STUDIOSのyasu2000さん、シンガーソングライターはさらささん。お二人の全面協力のもとレコーディングを行ったとのこと。
yasu2000さん |
1999年、DJとして単身渡米。N.Y.のライブハウス「CBGB」にて一流ジャズミュージシャン達とMPCで共演。NYであらゆるジャンルのカルチャーに感化されサウンドエンジニアに興味を持つ。レコーディング学校 I.A.R. (Institute of Audio Reserch) NY校に入学。卒業後、ブルックリンにある Bushwick Studio に2年間在籍。エンジニア Nic Hard (2016年Snarky Puppy『Culcha Vulcha』でグラミー賞を受賞)のアシスタント経験が財産となる。2005年に帰国後、origami PRODUCTIONS のハウスエンジニアを勤める。現在はorigami所属アーティストは勿論、あいみょん、JUJU、藤原さくら、向井太一、Anly、GLIM SPANKY、AmPm、Uru、WONK、TENDRE、Awesome City Club、U-zhaan × KAKATO、サイプレス上野とロベルト吉野などを手がける。 |
さらささん
Twitter (@omochiningen_) Instagram (@omochiningen) |
湘南出身のシンガーソングライター。音楽活動にだけに留まらず美術作家、アパレルブランドのバイヤー、フォトグラファー、フラダンサーとマルチに、そして自由に活動の場を広げている。悲しみや落ち込みから生まれた音楽のジャンル”ブルース”に影響を受けた自身の造語『ブルージーに生きろ』をテーマに、ネガティブな感情や物事を作品へと昇華する。 |
今回比較が行われたマイクは以下の通り。
メーカー | 型番 | 価格 |
Roswell Pro Audio | Colares | 171,600 円 |
Audio-technica | AT5040 | 307,989 円 |
NEUMANN | TLM67 | 256,289 円 |
Audio-technica | AT4050 | 76,769 円 |
LCT 1040 | LEWITT | 418,000 円 |
TOWNSEND LABS | SPHERE L22 | 179,300 円 |
NEUMANN | U87Ai studio set | 393,999 円 |
NEUMANN | M149 Tube | 748,000 円 |
TELEFUNKEN | TF51 | 236,500 円 |
AKG | C414 XLⅡ-Y4 | 121,000 円 |
MANLEY | Reference Cardioid Microphone | 385,000 円 |
Brauner | Phanthera | 284,900 円 |
これらのマイクが、以下の画像のように表になっているわけですが、
タテ軸は色付けを指針に評価、ヨコ軸は周波数特性を指針に評価したものになっています。
ヨコ軸 : 周波数特性を指針に評価
右方向(High) – 高域に特徴(一般的に、抜けがいい等)
左方向(Mid-Low) – 中低域に特徴(一般的に、温かみがある、太い等)
タテ軸 : 色付けを指針に評価
上方向(Colored) – 色付けあり(倍音等による音色変化あり)
下方向(Pure) – 一般的に原音忠実
ここのマイクの画像をクリックすると、そのマイクの音声を聴けたり、yasu2000さんとさらささんのコメントを見ることができます。
それぞれマイクには、指向性を変えるスイッチがあったり、モード選択ができたりするので、これらも別々に収録されています。DTMステーションでも定番のNeumann U87Aiでレコーディングされた音が以下の2つ。それぞれカーディオイド(単一指向性)とオムニ(無指向性)です。表で、どんなキャラクタか直観的に分かった上で、それぞれのマイクのデモ音源をさくっと聴けるのは、比較しやすくて嬉しいところですね。
ほかにもHEAR THE REAL TONE 2022の記事では、収録を終えた後のお二人のインタビューも掲載されています。そこでは、結構マニアックな話からマイク選びの参考になる話もでているので、ぜひそちらもご覧になってみてください。
定番といわれるマイクはもちろんのこと、中には初めて知ったブランドのマイクもあったのではないでしょうか?個人で、これだけの数のマイクを比較することは難しいですから、個人で音楽制作している方、プロとして仕事している方など、幅広い層が参考になる記事だと思います。定番のマイクを比べてみるだけでも、新たな発見があったりしたのではないでしょうか。ぜひ、一生もののマイクを見つける参考にしてみてくださいね。
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【関連情報】
Hear The Real Tone 2022