Blue MicrophonesブランドからSpark SL、Bluebird SL、Baby Bottle SLというコンデンサマイクが発売されているのはご存知でしょうか?いずれもビンテージ風マイクのデザインで、海外MVなどでもよく見かけるBlue Bottleというマイクのデザインを踏襲したもの。これらの製品は、それぞれ違ったキャラクターを持っており、Spark SLは鮮やかなディテールで透明感の高いサウンド、Bluebird SLはモダンなクリスタルクリアなサウンド、Baby Bottle SLはノスタルジックで暖かみとプレゼンスを持つサウンド、と公式ページでは紹介されています。
先日DTMステーションPlus!の番組内でBlueマイクの3機種を比較実験したので、実際はどのような音の違いがあるのか見ていきましょう。価格は、Spark SLが24,970円(税込)、Bluebird SLが32,780円(税込)、Baby Bottle SLが43,780円(税込)と導入するには手軽な価格帯。番組には、シンガーの中原涼(@nakaharasuzuka)さんに出演していただき、歌のレコーディングを行ったものをここでも聴き比べることができるようにしました。それぞれのマイクの概要とともにBlue XLRシリーズを紹介していきましょう。
現在、Blue Microphonesはパソコンの周辺機器を発売しているロジクール(海外での名称はLogitech)の傘下のブランドとして運営されています。今回の3製品自体は、以前より発売されていたモデルで、約4年前にDTMステーションの記事でも取り上げていました。2018年からBlueマイクロフォンズはロジクールの傘下に入ったので、現在はロジクールがマイクの発売やプロモーションを担っています。
そんなBlue Microphonesは、国内外のアーティストのプロモーションビデオなどでもたびたび登場する、特徴的なデザインのマイクをリリースしています。フラグシップモデルは、実売価格約44万円の真空管マイクBlue Bottle(現在、ロジクールでは取り扱っていないため国内流通品は並行輸入品となっています)。このマイクは、カプセル交換が可能という大きな特徴を持っており、そこからこの独特な形状・デザインが生まれて、Blue XLRシリーズの3機種にもデザインが継承されています。
ボーカル用、アコースティック楽器の録音用として、高い評価を受けるBlueマイク。今回紹介するBlue XLRシリーズは、
Bluebird SL (実売価格:32,780円)
Spark SL (実売価格:24,970円)
の3種類で、それぞれ異なる音の特徴を持っています。また大きさやマイクの頭の部分の形状が若干異なりますが、基本的な外見は統一されていて、どのモデルもXLRケーブルで接続するタイプのコンデンサーマイクなので+48Vのファンタム電源の供給が必要。フロント面の2つのスイッチは共通です。
右側のスイッチがパッド。これをオンにすることで20dBの減衰するので、マイクプリアンプへ送るレベルを簡単に調整できるようになっています。たとえば、ギターアンプからの音をレコーディングしたりする場合など、音声出力の大きいもののレコーディングの際も柔軟に対応できます。
一方で、左側は100Hzのハイパスフィルタ。いわゆるローカットですが、無駄な低音域を拾わないようにするために使い、ノイズの原因をカットすることができます。
このBlue XLRシリーズは床からの振動などを防ぐためのショックマウントが付属しているので、別途用意する必要はなく、さらに専用のマイクケースが付属しています。
このマイクケースは持ち運びにも便利ですし、使い終わったら保管するためにも使えます。これがまた、高級感のあるケースとなっていて、テンションに上がるものに仕上がっています。
では、音質の違いについて見ていきましょう。今回の実験はDTMステーションPlus!の番組内で行ったので、全編YouTubeから試聴可能です。実際のセッティング方法や、中原涼さんが前モデルであるBaby Bottleを長年使ってきた話など、記事内では紹介しきれない内容もあるので、お時間ある方はぜひご覧ください。
実際のレコーディング時には、条件をできるだけ同じにするよう、3つのマイクをY字に並べて、1テイクで3本のマイクを収録しています。
レコーディング環境としてはWindowsPCを使い、ここでCubase Pro 11を起動。オーディオインターフェイスとしてはマイクプリを3つ以上搭載しているものということでPreSonusのStudio 1824cを使用しました。
マイクの特性の違いを分かりやすくするため、あえてゲインの設定は、すべて同じだけツマミを回してレコーディングしています。
中原涼さんの楽曲「シャボン玉」の歌をレコーディングする際は、EQやコンプ、リバーブなどのエフェクトは一切掛けていません。録音後はノーマライズを掛けた上で、オケとボーカルのバランスを少し調整し、各マイクがなるべく同じ音量になるように揃えました。また、録音後の処理にもエフェクトは一切掛けてません。実際に試してみた結果が以下のものです。
オケの入っているデータとソロのデータを用意したのですが、聴き比べてみていかがでしょうか?Soundcloudに上げるとMP3化されてしまうので、その違いが分かりにくいかもしれませんが、3本ともコンデンサマイクなので、しっかり声を捉えてクリーンですよね。ちなみに24bit/44.1kHzでレコーディングしたWAVをそのままSoundcloudへアップしています。
まず、聴き比べをして思ったのは、3機種とも音のクオリティに大きな差がないということ。音の傾向に差があるものの、全体的には高い解像度で、ボーカルレコーディングに最適だと思いました。Spark SLは、もとから完成されたような音をしており、派手目な音なので自分でミックスするのが苦手という方でも使いやすく、あまり加工しなくてもいい感じになるマイクだと思いました。Bluebird SLは、Spark SLよりかは少し落ち着いており、艶やかで上品な出音のするマイク。激しめのロックに向いているのがSpark SLで、Bluebird SLはもう少しテンションの低いポップスなどに向いていると感じました。
一方、Baby Bottle SLはこの2機種と基本は同じですが、キャラクターは異なっており、かなり落ち着いた出音で、ビンテージマイクを彷彿とさせる音をしています。自分でミックスができるのであれば、音を太くレコーディングすることができるので、編集しやすく使いやすそうだと感じました。無加工の状態で3機種を聴き比べると、Spark SLとBluebird SLが派手な音をしているので、一見よさそうに思いますが、Baby Bottle SLも使い方次第では、かなり自由度の高く、3機種それぞれで使いどころが違うなと思いました。
まずは先入観なしに音を聴いていただきたかったので、周波数特性の図を出さなかったのですが、実際に以下の図を見てみていかがですか?
これらを見比べると、周波数特性にも指向性にも、3機種それぞれ結構違いがあります。ソロのデータを聴いていただくと若干分かるかもしれませんが、DTMステーションPlus!放送中だったこともあり、会場に薄く音源を鳴らしていたので、その音も少し拾っています。
今回の実験結果の音源では、3機種の音の被り方に大きな違いはありませんでしたが、もし配信などでもBlueマイクを使うのであれば、Spark SLが指向性が広めなので、これがいいと思います。背面の音も拾いにくくなっており、マイクから顔をそらしたときでもキレイに音を拾ってくれますよ。
以上、Spark SL、Bluebird SL、Baby Bottle SLについて紹介しました。もちろん配信でも使用することができて、見栄えもするBlueマイクたちでした。最初の1本目としても最適ですし、中原涼さんは15年もBlueマイクを使っているとのことでしたから、長く愛用することができると思います。3本の価格は近いので、迷うかもしれませんが、今回の比較実験を参考にしていただけたらと思います。
【価格チェック】
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【関連情報】
Baby Bottle SL製品情報
Bluebird SL製品情報
Spark SL製品情報
Blue Microphones製品情報
中原涼さん公式サイト
【DTMステーションPlus!アーカイブ】
第180回 DTMステーションPlus! 特集:BlueマイクをDTMにフル活用!(YouTube)