世界中の楽器プレイヤー、DTMユーザーが待望する夢の技術のひとつは、やはり耳コピではないでしょうか?そう、コンピュータにCDやMP3、場合によっては生演奏を聴かせたら、それをすぐに譜面に起こしてくれるソフトがあれば最高ですよね。さまざまな企業や研究機関がそうした音楽解析に取り組んでいますが、なかなか決定打となる耳コピシステムが登場していないのが実情です。
そうした中、コード分析という点においては私の知る限り、現在最高の性能を発揮してくれるソフトが、カワイが開発したWindows用のアプリケーション、バンドプロデューサー5=Band Producer 5です。以前に「耳コピの解析エンジンがさらに高性能化したBand Producer 5」という記事で紹介したこともありましたが、ここしばらく新バージョンは登場していないようです。そのバンドプロデューサー5、発売当初は19,000円だったのですが、7月22日~31日の期間限定、2,978円で入手することが可能になっています。その方法を紹介するとともに、改めてバンドプロデューサー5とはどんなソフトなのか紹介してみたいと思います。
※ソースネクストが、再度セールを行うことになったのに伴い、2018年9月の記事を一部修正する形で掲載しています。
ボーカルなど単音のオーディオを元に譜面を起こすことは、以前から実現しています。たとえばMelodyneなんかがその実例であり、Melodyneなら検出したピッチや長さを自由に修正することだってできちゃいますからね。
ただ、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード……と音か重なってきたときに、特定の楽器の音を抜き出して、それを譜面化するとなると、なかなか困難です。その背景には同じ音でギターとピアノが出ていた場合、コンピュータにはそれがどちらの音なのかを認識するのが苦手ですし、実は同じ音程で鳴っていても、実は「倍音」と呼ばれる成分も同時にいっぱい出ているので、単純な周波数=音程で検出することができないからなんですよね。
バンドプロデューサー5は、コード解析を中心とした耳コピを支援するためのソフト
それは、人の認識力を考えても想像がつくのではないでしょうか?いっぱいの音が出ている中、ギターがどの音程で鳴っているか、シンセパッドがどのコードを弾いているのかを判断するのは難しいですからね。
こうした耳コピを正確にできるソフトは残念ながらまだ世の中に存在していません。ここで紹介するバンドプロデューサー5も、完璧な耳コピにはほど遠いものです。でも耳コピを支援するツールとしてみれば、なかなかよくできたソフトになっているのです。
バンドプロデューサー5は、耳コピモードのほか、DAW的な作成モードも備えている
以前の記事でも紹介していますが、改めてバンドプロデューサー5の基本的な耳コピ支援機能を紹介しましょう。バンドプロデューサー5には耳コピ支援のための耳コピモードとDAW的な音楽制作のための作成モードの大きく2種類があるので、まずは耳コピモードとします。
まずは耳コピモードへ
ここでCDから耳コピするか、ファイルから耳コピするか、録音して耳コピするかを選択します。ファイルの場合、wav、wma、mp3、cdaに対応しているので、これを使って読み込むと耳コピメニューが表示され、左の「コード検出」を選ぶか、右の「コピー支援」をするかの選択を求められます。まずは左のコード検出を選んでみましょう。
「コード検出」か「コピー支援」かを選択する
ジャンルやテンションレベルについて選択した上で、OKをクリックすると曲が波形表示されますが、そのままOKをクリックすると解析がスタートします。処理速度はCPUパワーにもよると思いますが、3分の曲で20~30秒もすれば終了し、ちょっと変わった画面が登場すると同時に、演奏がスタートします。
すぐに解析が終了し、あまり見慣れない雰囲気の画面が登場してくる
そう、原曲に合わせてクリックが鳴るとともに、ピアノ音でコードも演奏されるんですよね。場合によってはテンポが倍や半分になっていたり、裏拍になっていることがあるので、それを確認設定した上でOKすれば、もうコード解析完了です。そう、ここでは曲のコードを自動で解析してくれるのです。
解析された結果、小節ごとにコードが表示されている
いろいろな音が鳴っている中から特定の楽器の音を抜き出すのは困難だけど、「楽器の構成からコードを検出することならなんとかできる」というアプローチで耳コピに挑んでいるわけですね。
このクリックやピアノ音はMIDIで鳴っているわけですが、オーディオとMIDIの音量調整をすることもできるので、解析結果だけを音でチェックということも可能ですし、必要に応じてコードを弾く音色を変更することなどもできますよ。
必要に応じてコードを弾く音色などを変更することも可能
もちろん、それでも完璧とまでは言えませんが、結構いい線は行ってくれます。「ちょっと違うな…」というときはテンションの設定を変更してみると、いい感じになったりもしますよ。また「ここはEm7じゃなくて、Edimでしょ」なんてこともあるはず。そんな場合は自分で修正できるというのも融通の利く点です。
コードだけとはいえ、小節番号も含め曲全体の構成を数十秒で解析してくれるのは曲をコピーするという意味では、かなり役に立つと思います。また、必要に応じて解析結果を譜面で出力することも可能です。「リードシート出力」という機能を使うのですが、リズム譜、TAB譜そして五線譜でも出力可能となっています。
この際、リードシートエディタというものを介して、印刷したり保存したりするのですが、必要に応じてここでエディットを行ったり、歌詞を入力することも可能なので、いろいろな使い方ができそうですよ。たとえば、曲をコピーして、友達とバンド演奏するときなどにも活用できそうですよね。
リードシートには歌詞を入れるなど、さまざまなエディットもできる
さて、もう一つの耳コピ機能が、「コピー支援モード」です。こちらはベース検出とメロディ検出という機能があるのですが、結構使えるのはベース検出機能。もちろん解析する曲にもよると思いますが、ベースは比較的ほかの音との重なりが少ないこともあって、うまく検出してくれるのです。
今度はコピー支援を使ってみる
基本的な手順はコード検出モードと同じ。解析が終わるとクリックとともに、ベースの演奏がスタート。画面にはTAB譜も表示されるし、そのままリードシート出力もできるので、ベースのコピーとしてはまずまずの精度で使えると思います。
コピー支援モードで検出したベースライン
一方で実質あまり役立ちそうにないのがメロディー検出。人間にとっては、ボーカルの主旋律は聴き分けやすいけれど、機械には難しいようで、まだまだ発展途上ということなんでしょうね。
このようにバンドプロデューサー5の解析機能として有用なのはコード検出とベース検出ですが、耳コピ支援のために、必要な部分をループ再生させたり、センターキャンセルをして鳴らしたり、ピッチやテンポを変更してみたり、EQで再生する音を調整したり……とさまざまな機能が用意されているので、いろいろと試してみる価値はあると思います。
耳コピ支援のためのさまざまな機能も用意されている
ところで、バンドプロデューサー5には、もう一つDAW的な作成モードというのがあるので、こちらも軽く紹介しておきましょう。
基本的には一般のDAWと同様、各トラックにオーディオやMIDIをレコーディングしていくことができ、必要に応じてピアノロールエディタでエディットしていくことも可能です。またMIDIの音源としては、バンドプロデューサー5標準のKAWAI GM2 SW SynthというGM2マルチ音源が使用されますが、手持ちのVSTインストゥルメントを利用することも可能になっています。
VSTインストゥルメントを利用可能。ただし32bit版VSTのみへの対応
MIDI入力は接続しているUSB-MIDIキーボードなどから行うことができる一方、ユニークなのは鼻歌入力機能を装備している点です。オーディオインターフェイスを介してマイクを接続し、ここに歌っていくことで、その歌声をMIDIに変換することができるのです。ここでの入力のコツは、あくまでも鼻歌で「ん、ん、ん~」と歌うこと。こうすることで認識率が上がっていくのです。逆に歌詞も入れながらしっかり熱唱してしまうと、キレイに音程が認識できなくなるので注意してください。
MIDIの鼻歌入力機能にも対応
またマイクからの鼻歌入力だけでなく、ギターなどを接続して楽器から入力するのも手。この場合もあまり上手なギター演奏にするより、1音1音区切って入力するほうが、キレイに音程がとれるようですよ。
さらにこの作成モードでは、コードを活用しつつ、より簡単に音楽制作をするための機能が搭載されています。考え方的にはAbility/Singer Song WriterやBand-in-a-boxのアレンジ機能的なもので、スタイル=リズムパターンを選択し、それをトラック上にドラッグした上で、コードを指定すれば、リズム、ベース、伴奏を自動生成してくれるというもの。こうした機能を使って、曲のイメージを作り上げていくというのも便利そうですよね。
スタイルやコードを指定するだけで、簡単に伴奏を作りあげることができる
なお、この制作モードで作って完成でもいいですし、MIDIやWAVで書き出して、ほかのDAWへ引き渡した上で、作り上げていくということもできるので、ぜひいろいろ活用してみてください。
ちなみに、以前2018年に記事を書いた際は5.0というバージョンでしたが、その後何度かのアップデートがあり、最新版は、5.1.007となっており、「スコアメーカーZERO」と連携して、耳コピメモを楽譜にできるようになったり、耳コピモードのパワーマップ上に一時的にグリッド線を表示できるようになるなど、いくつかの機能強化も図られています。
さて、おそらくこの記事を読んでいただいた多くの方が気になっているのが値段についてではないでしょうか?実は以前記事を書いた当時、バンドプロデューサー5はパッケージ版として販売されており、実売価格が19,000円(税抜き)程度だったんです。ところが、その後、ダウンロード版が登場し、価格は7,980円(税込みだと8,778円)と半額以下に。
ダウンロード販売になったことで、通常価格でも7,980円と安くなっている
さらに7月22日~7月32日の期間限定ではありますが、クーポンコードを入れることで、当初の19,000円から見れば85%オフの2,978円(税込)で購入可能となっているのです。
具体的にはソースネクストのバンドプロデューサー5のページから、いったん8,778円のままカートに入れます。そこで出てくる画面において「クーポン」の欄に下記のクーポンコードをを入力して「適用」ボタンをクリックしてください。すると2,979円に変わるはずです。
※このクーポンコードはバンドプロデューサー5専用のもので、ほかのDTMソフトなどには適用されません。
クーポンコード: dtm-2207-03
割引後価格:8,778円→2,978円
有効期限 : 2022年7月31日(日)まで
利用方法 : 以下のページからダウンロード版の商品をカートに入れた後に、クーポンコードを入力してください。
販売ページ : ソースネクスト バンドプロデューサー5
ちなみに購入に関してはAmazon PayでAmazonのアカウントがそのまま利用できるほか、クレジットカード払い、コンビニ払い(後払いもしくは先払い)が利用できますよ。
せっかくなので、この機会にバンドプロデューサー5を入手してみてはいかがですか?
【関連情報】
バンドプロデューサー5製品情報(ソースネクスト)
バンドプロデューサー5製品情報(河合楽器製作所)
【価格チェック&購入】
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