セールの状況などを見て「そろそろか……」なんて噂も出ていましたが、Native Instrumentsからついに待望の新製品が発表されました。しかもKOMPLETE 12シリーズを中心に、KOMPLETE KONTROL Sシリーズキーボードの弟分となる、KOMPLETE KONTROL Aシリーズ、コンパクトながら強力な機能を持つMASCHINE MIKRO MK3、ゼロから作り直したというTRAKTOR PRO 3やそのコントローラーとなるTRAKTOR KONTROL S2/S3……など、「FOR THE MUSIC IN YOU」のコンセプトの元、一挙に9種類もの製品が発表されたのです。
そのKOMPLETE 12の中には、あのMASSIVEの新バージョンとなるMASSIVE X、またソフトサンプラーのデファクトスタンダードともいえるKONTAKTの新バージョンKONTAKT 6などDTMユーザーにとって非常に重要なものも多数含まれています。数が多すぎるので、個別の紹介については、また改めて実物を入手してからレポートしていきたいと思っていますが、まずは今回のNI新製品の概要について紹介してみたいと思います。
実は、これら新製品について8月に都内某所で「NEW PRODUCT PREVIEW」と銘打ったプレス向けに発表会が行われていたので、その発表会のレポートという形で紹介していきますが、今回のNI新製品群は「FOR THE MUSIC IN YOU − 私の中の音楽が、目覚める」をコンセプトとして作られたもの。
その9製品の中で、まず最初にお披露目されたのがNative Instrumentsの音源を詰め込んだパック製品、KOMPLETEの新バージョン、KOMPLETE 12です。KOMPLETEは2003年に9つの音源をセットにして発売したのが最初であり、2018年は15周年になる、とのこと。
これまではエントリー版のKOMPLETE SELECT、通常版のKOMPLETE、最上位のKOMPLETE ULTIMATEと3ラインナップとなっていましたが、今回はULTIMATEのさらに上、まさに全部入りパックのKOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s Editionが誕生。結果として
製品名 | 製品数 | サウンド数 | メーカー希望小売価格(税込み) |
KOMPLETE 12 SELECT | 14 | 7,000以上 | 24,800円 |
KOMPLETE 12 | 50以上 | 25,000以上 | 69,800円 |
KOMPLETE 12 ULTIMATE | 100以上 | 45,000以上 | 139,800円 |
KOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s Edition | 150以上 | 90,000以上 | 198,000円 |
の4ラインナップになったのです。発売は10月1日とのこと。それぞれの内容は以下のようになっています。
ちょっと膨大すぎるほどの内容ですが、これまでKOMPLETE 11 ULTIMATEを買っても入っていなかったSYMPHONY SERIESもKOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s Editionには入っているわけなのです。
一方、今回のKOMPLETE 12シリーズの目玉ともなるのとして、新音源のMASSIVE X、そしてKONTAKT 6も発表されました。
いまさら説明するまでもありませんが、MASSIVEはソフトシンセの王道ともいえる世界大ヒット音源。基本はアナログシンセ的な構造ながら、MASSIVEだからこそできるパワフルなサウンドが世界を魅了してきたわけです。今回その後継といえる新シンセサイザー音源、MASSIVE X(マッシブエックス)がリリースされ、これがKOMPLETE 12シリーズに入る形になったのです。
中には「MASSIVEとの互換性はどうなっているのか?これまでのMASSIVEは消えてしまうのか?」と心配する方もいるかもしれませんが、その点は大丈夫。従来のMASSIVEも現役続行でMASSIVE Xと並べて使うことができるようになっています。
このMASSIVE Xは、次世代のサウンド、最先端のDSPコンポーネント、新しいエフェクト、パワフルなモジュレーションなどを備えています。
このMASSIVE Xは2019年2月リリース予定となっているため、KOMPLETE 12、KOMPLETE 12 ULTIMATE、KOMPLETE 12 ULTIMATE Collector’s Editionのユーザーは、リリース後、ダウンロードできる形になるとのことです。
一方、KONTAKT 6はKONTAKT 5以来7年ぶりとなるバージョンアップ。まさに業界標準のサンプルプラットフォームであり、Native Instrumentsのシステム的にいえばREAKTORと並ぶNKSの中核をなすもの。
ご存じの通り、KONTAKTは製品版であるKONTAKTとフリーで配布されるKONTAKT Playerがあり、そのシステム上に読み込むライブラリインストゥルメントから構成されるわけですが、その構成はKONTAKT 6でも同様。このKONTAKT 6では新しいウェーブテーブルエンジンが採用されているのです。KOMPLETE 12 SELECTにはKONTAKT 6 Playerが、KOMPLETE 12以上にはKONTAKT 6が搭載されます。
さて、そのKONTAKT 6を用い、ライブラリインストゥルメントに
-
- SESSION STRINGS PRO 2
- SESSION GUITARIST ELECTRIC SUNBURST
- SYMPHONY SERIES PERCUSSION
を用いたデモを、DTMステーションPlus!でもお馴染み、作曲家の多田彰文さんが行っていたので、ビデオで撮影してみました。ぜひ、ご覧になってみてください。
なお、旧KOMPLETEからのバージョンアップや下位のKOMPLETEから上位のKOMPLETEへのアップグレードパスについても発表になっており、Webショップなどを通じてアップグレードできるので、この図として紹介しておきます。
続いて紹介するのはKOMPLETE KONTROL S(以下KKS)シリーズキーボードの新製品、88鍵のKKS88MK2です(メーカー希望税込小売価格124,800円)。KKSシリーズは25鍵、49鍵、61鍵、88鍵の4種類がありますが、すでに49鍵のKKS49および61鍵のKKS61はMK2という新世代になっていましたが、今回待望のKKS88がMK2としてリリースされたのです。
MK2の詳細については、以前の記事「NIからオーディオIF機能統合のMASCHINEとKOMPLETE KONTROL S49/S61の新モデルが登場!」などをご覧いただきたいのですが、これで88鍵も揃ったわけですね。
そして、そのKKSシリーズのエントリーモデルとして登場したのがKOMPLETE KONTROL A(以下KKA)シリーズです。こちらは25鍵、49鍵、61鍵の3モデル。
- KOMPLETE KONTROL A25(18,800円)
- KOMPLETE KONTROL A49(24,800円)
- KOMPLETE KONTROL A61(31,800円)
※価格表記はすべてメーカー希望小売価格の税込み表記、以下同
KKSシリーズから見て、かなり低価格であることがわかると思いますが、KKSシリーズとの大きな違いは大型のディスプレイが存在していないことと、各鍵盤に割り当てられているLight Guideがないこと。とはいえ、このキーボードを購入するとさまざまな音源がバンドルされているのも大きなポイント。
具体的にはMONARK、REAKTOR PRISM、THE GENTLEMENを始めとしたKOMPLETEインストゥルメント&エフェクトの幅広いコレクション、MASCHINE ESSENTIALSのフルバージョン+1.6GBファクトリーライブラリーのセット。これが入っての値段ですから、かなりのコストパフォーマンスといえるのではないでしょうか?
別の見方をすれば、DAWを持っていなかったとしても、このKKAを買ってバンドルソフトであるMASCHINE ESSENTIALSや各種音源ソフトをインストールするだけで、超強力な楽器となり、音楽制作環境が構築できるわけです。まさにこれだけでDTMをスタートすることができるというのは大きな魅力だと思います。
発売は10月23日の予定となっています。なお、このKKS88MK2とKKA61を使ったデモをやはり多田さんが行っているので、ご覧ください。
続いて紹介するのはMASCHINE MIKRO MK3です。ご存知の通り、MASCHINEは2009年に発売が開始されたハードとソフトが完全に連携するグルーヴプロダクションシステムで、まさに新しい音楽制作スタイルを確立してきましたMASCHINE。さまざまな大きさ、機能を持ったMASCHINEシリーズを展開する中、2011年にコンパクトなグルーヴプロダクションシステムとしてMASCHINE MIKRO MK1、2012年にマルチカラー対応のパッドや改良されたデザインでMASCHINE MIKRO MK2が発売されましたが、それから6年たっての新モデルということでMK3が登場したのです。
今回、新しいデザイン方針によって開発されたMASCHINE MIKRO MK3は税込み31,800円という手ごろな価格を実現しつつ、過去最小の大きさを実現。そして、さまざまな新機能を搭載してきています。その特徴をいくつか箇条書きで並べてみると
-
- 16の大型のベロシティ対応RGBパッド
- リアルタイム演奏に有効なSMART STRIP
- 使用頻度の高い機能に対応した専用ボタン
- パラメーターのコントロールが可能なプッシュ式エンコーダー
- 有機ELディスプレイ
- MASCHINE ESSENTIALS、MONARK、REAKTOR PRISM、MASSIVEが付属
などなど。9月18日の発売が予定されています。
そして、PC DJのスタンダード、TRAKTORの新バージョン、TRAKTOR PRO 3も登場します。初期バージョンのTRAKTOR DJ STUDIOが誕生したのが2001年だから18年の歴史を持つわけですが、今回はパフォーマンスを重視した最高の音質と安定性を実現したバージョンとのこと。新しいGUI、新しいミキサーFX、数々のワークフローの向上を実現させてきています。
さらにこのTRAKTOR PRO 3と合わせてコントローラーのTRAKTOR KONTROL S4 MK3(2018年秋発売、税込99,800円)、エントリー向けのTRAKTOR KONTROL S2 MK3(2018年秋発売、37,800円)も発表されました。S4は
- ハプティクス制御のジョグホイール
- 鮮やかな視覚効果付きRGB LEDリング
- 2つの高解像度ディスプレイ
などの特徴を持つ一方、S2のほうは
- 大型でスムーズな新しいジョグホイール
- 新しいビートグリッドモード
- USBバスパワー駆動
などの特徴を持っており、S4もS2にもTRAKTOR PRO 3が標準で付属してきます。
37,800円と手ごろな価格のTRAKTOR KONTROL S2 MK3
このTRAKTOR KONTROL S2 MK3を用いてRed Bull 3 styleに出演のDJ YUTO(https://www.instagram.com/djyuto_/)さんがプレイを行っていました。これも撮影してみたので、ぜひご覧になってみてください。
以上、Native Instrumentsの新製品ラインナップを紹介してみました。あくまでも発表会のレポートで、個別の製品についてあまり突っ込んだところまでは見ることはできませんでしたが、今後順次各ソフト、ハードを実際に使いながら、その詳細についてもレポートしていければと思っております。
【関連情報】
FOR THE MUSIC IN YOU特設ページ