日本の小さなガジェットシンセ、ELZ_1がNAMMでお披露目!

1月25日~28日で開催されている世界最大の楽器関連の展示会、NAMM SHOW 2018。実は私がこのNAMM SHOWに行くのは今回が初。ずっと行ってみたいと思っていながら、なかなか行くキッカケがなかったのですが、今回たまたま、機会に恵まれて参加することになりました。噂には聞いていましたが、膨大な規模の展示会なんですね。

その大手メーカーから、名前も聞いたことない小さなメーカーまで、さまざまなメーカーがブースを出展してさまざまな製品を展示しているのですが、私が最初に行ってみたのは、日本の小さな小さなメーカー、SONICWAREのブース。ここでELZ_1というユニークなシンセサイザが初披露されるということで見てきたので、紹介してみましょう。

NAMM SHOW 2018がスタート


SONICWAREのブースがあったは、今回NAMMに初出展というベンチャー、ガレージメーカーばかりが集まるホールEの地下会場。玉石混合といった感じの会場ですが、見渡す限り小さなブースがいっぱい並んでいて、目的のSONICWAREを探し出すのも一苦労。


小さなガジェット型のデジタルシンセ、ELZ_1

ようやく見つけ出すと、399(横)×130(縦)×47(高)mmという小さなガジェット系のこのシンセELZ_1が展示されていました。このELZ_1を紹介してくれたのはSONICWAREの社長で、このELZ_1の開発者でもある遠藤祐さんです。

ELZ_1を開発したソニックウェアの社長、遠藤祐さん
中央にカラーディスプレイがあり、ボタンとノブで操作するシンセサイザであるという辺りは、Teenage EngineeringのOP-1を彷彿させますが、遠藤さんは
「OP-1はどちらかというと、さまざまなことができるDAW的なガジェットであるのに対し、このELZ_1はシンセサイザという点を前面に打ち出した楽器なんです」とアピールします。

周辺のブースからいろいろな音が流れ出ている会場ではありますが、そのELZ_1の音、そして操作をビデオで録ってきたので、まずはこれをご覧になってみてください。

どうですか?なかなかグイグイくるシンセですよね。もう少し具体的に見ていきましょう。

まずこのELZ_1、シンセサイザ・エンジン的には
・FM SYNTH
・8BIT WAVE MEMORY SYNTH
・DNA EXPLORE
・SiGRINDR
・STNDARD OSC/LOW-BIT OSC
の5種類があります。

一番左のボタンを押して、その下のノブを回すことで切り替えられるのですが、簡単に紹介すると、FM SYNTHは4オペのもので、各オペレータはサイン波を出す昔ながらのものですが、31種類のアルゴリズムを組めるだけに、かなりアグレッシブな音作りが可能です。

31種類のアルゴリズムを組めるFM音源
8BIT WAVE MEMORY SYNTHは、その名のとおり深度8bitで、32サンプル(?)のごく小の波形を作って鳴らすシンセサイザ。サイン波や三角波、矩形波だけでなく、自由に波形を描くことができるため、チップチューン音源としても、いろいろと面白いことができそうです。

チップチューンサウンド作りにも使える8BIT WAVE MEMORY SYNTH
またDNA EXPLOREはAUX INから取り込むオーディオを元に、さまざまな加工をしていくことができるシンセサイザ。SiGRINDERはグラニュラーシンセサイザ、そしてSTANDARD OSC/LOW-BIT OSCはサイン波、矩形波、三角波、ノコギリ波による、シンプルなシンセサイザとなっています。

グラニュラーシンセサイザのSiGRINDER

こうしたシンセサイザ・エンジンが作り出した音に、ADSRによるエンベロープをかけ、さらにフィルターをかけていきます。

エンベロープの設定
フィルター自体は、ローパスフィルター、ハイパスフィルター、バンドパスフィルターが用意されており、自由な音色加工が可能です。

フィルターは現在3種類が用意されている
さらにエフェクトセクションがあり、ここでドライブ、モジュレーション、ディレイ、リバーブといったエフェクトを掛けることができます。

エフェクトも搭載されている
そして一番右のボタンを使うことで、アルペジエータも使えます。上昇、下降、その往復などができるという仕様ですね。

アルペジエーター
コンパクトで持ち歩きができるようにと、単3電池×4本で駆動するとともに、内蔵スピーカーでもかなり大きな音で鳴らすことができます。「今回の製品で一番高かった部品がこのスピーカーですから」といった言葉からも、単体で出せる音にかなりこだわっていることも感じとることができました。

右側にスピーカーが内蔵されている
リアパネルを見ると、USB端子がありますが、これを通じてUSB-MIDIのやりとりが可能になっています。これはホストとしてもスレーブとしても動作する仕様であるため、PCのDAWと接続して音源として利用できるとともに、ELZ_1を弾いてMIDIデータを送出することも可能になっています。

USB端子でPCとの連携も可能

さらに演奏さんによれば、製品発売後も開発を続けるため、新機能などができたら、ファームウェアを提供する予定で、そのアップデートにもこのUSB端子を利用するとのことでした。
気になる発売時期と価格ですが、国内では5~6月に発売開始する予定で、価格は500ドル以内を目指しているとのこと。遠藤さんによると「なるべく安く押えたいので、目標は399ドルなのですが、どこまでできるか、調整中」とのこと。

もしかすると、世界的にヒットするシンセサイザになるかもしれませんね。また、最新情報を掴んだら、お知らせしていこうと思います。

【関連情報】
SONICWARE ELZ_1製品情報

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