YAMAHAのモニターヘッドホン、HPH-MT220の後継、MT8を試してみた

DTMユーザーにとって重要な機材選びの一つがモニタースピーカーモニターヘッドホンの選択でしょう。やっぱり音の好みというのはあるし、とくにヘッドホンの場合、装着した際の付け心地というのはありますから、何を選ぶのかというのは大切です。

ただし、モニタースピーカー、モニターヘッドホンは1つあればOKとも限らないというのが難しいところで、面白いところ。音楽制作をしていく上で、複数のモニター機材を使って、音の違いをチェックすることで、多くの人にとって聴きやすいサウンドに仕上げていくことが可能になると言われています。そんな中、YAMAHAのモニターヘッドホン、HPH-MT8というものを使ってみたので、ちょっと紹介してみたいと思います。

YAMAHAのモニターヘッドホン、HPH-MT8を使ってみた



今年4月にDTMステーションでは「モニターヘッドホンはどこの製品が好きですか?」というアンケートを行いました。実際、投票いただいた方も数多くいらっしゃると思いますが、計435票の内訳は以下の通りとなっていました。

DTMステーション、2017年4月のアンケート「モニターヘッドホンはどこの製品が好きですか?」の結果

やはりSONYMDR-CD900STは異常なまでに人気ですよね。レコーディングスタジオに行けば必ず置いてある定番ヘッドホンですし、日本のミュージックビデオを見ても頻繁に登場するので、実質的な業界標準です。ここまで広く使われているのは日本だけ、という話もありますが、とにかく人気機材ですよね。実際、私もオーディオチェック用に900STを使うことが多いのですが、もう一つよく使っているのがYAMAHAのHPH-MT220というもの。


左がHPH-MT8、右がHPH-MT220
以前、YAMAHAの仕事をしたキッカケにいただいたので、使ってみたところ、とても音のバランスがよく、また解像度が高いモニターヘッドホンとして、細かい音までチェックしやすく、気に入っていたからです。今もMT220は現役で使っているのですが、実はMT220はすでに生産終了モデルとなってしまい、店頭からもなくなっていたんですよね。

そうした中、先日、DTMステーションにYAMAHAからモニタースピーカー、モニターヘッドホンに関するバナー広告を入れていただいたのをキッカケに知って、ちょっと気になっていたのがMT220の後継モデルであるというHPH-MT8というもの。YAMAHAの担当の方にお願いしたら、数週間お借りできるということだったので、ちょっと試してみました。


密閉型のモニターヘッドホン、HPH-MT8

並べてみると分かる通り、ロゴ部分やハウジング部の外側の色がシルバーかブラックか、など違いはあるものの、基本的にはよく似た構造であり、イヤーパッド部の材質もおそらく同じもののようです。

しっとりと湿った感じがするイヤーパッド
MT220をご存じない方に説明しておくと、このイヤーパッドが、すごい特徴的で「プロテインスキン」という合成レザーなのですが、適度な湿り気と革のような滑らかさを持っていて、とっても肌触りがいいんです。この夏の季節に使っていても蒸れるということもありません。

装着してみた感じはHPH-MT220とHPH-MT8では違いを感じないほどソックリ

装着した感じもMT8、MT220ともに、すごく近く、密閉型ではあるけれど、キツくはないので、長時間していても疲れないですね。900STと比較すれば、もちろん密閉度は高く、音漏れもありません。ここには低反発クッションが効いていて、余計な振動を吸収してくれるという構造も関係しているようですね。もっとも重量の面では900STのほうがずっと軽いのですが、このことが音にも大きく影響してくるんです。

YAMAHAのHPH-MT8とSONYのMDR-CD900ST
まず私が、これまでMDR-CD900STとHPH-MT220を併用してきた理由は、その音の違いです。個人的には900STの軽さが好きであり、業界標準だからということでずっと使っていますが、MT220は900STと比較して音のバランスが断然いいんです。とにかく低音がしっかりと出ているし、中域から高域にかけても、フラットな感じなんですよね。

900STだと、高域はしっかりしているけれど、低域が苦手なので、ベース音などを確認する際には、両手でハウジング部分を強く耳に押し当てないと分からないし、それでも正確な音として捉えるのが難しいところ。無理に900STでいい音に鳴るようにベースを調整すると、スピーカーで確認すると低域が鳴り過ぎになってしまうという問題点もあります。

コンパクトに折りたたんで、持ち運ぶことができる
それに対し、MT220は低域までしっかり鳴ってくれるので、使いやすいわけです。では、HPH-MT8はどうなのか、というと、基本的にはMT220の音を踏襲したサウンドです。でも聴き比べてみたところ、さらに低い音までしっかり聴こえるようになっていました。これはMT220に比べて低音が強すぎるというわけではなく、より自然に聴きとれるという感じ。装着感はソックリなのに、より聴きやすくなった印象です。いずれにせよ900STとは明らかに違う、しっかりした低音ですね。

もっともスペックで見比べると、MT8もMT220もCCAW (copper clad aluminum wire) ボイスコイルを採用した45mmドライバーなので口径は同じ。ただ、MT8のほうは「強磁力ネオジムマグネットを採用」と書かれているので、ドライバが改良され、その結果として低域がよりしっかり出るようになったのかもしれませんね。数曲聴いてみて、明らかにMT8のほうがいいな、というのが結論です。

標準ではカールケーブルが取り付けられている

もう一つHPH-MT8がいいな、と思ったのがヘッドホンケーブルです。HPH-MT220はカールケーブルであったのが個人的に好きでなかったのに対し、MT8のほうはカールケーブルとストレートケーブルを自由に選択できるようになっているのです。

脱着式なので、付属のストレートケーブルに切り替えることができる

どういうことかというと、MT8のほうはケーブルが脱着型になっており、標準はカールケーブルだけれど、ストレートケーブルも付属しており、簡単に差し替えることが可能なんです。また、利便性という点においては、MDR-CD900STが標準プラグだけなのに対し、HPH-220もHPH-MT8も6.3mmステレオ標準プラグ変換アダプタが付属しているので、簡単に切り替えられるというのも、今の時代当たり前ではあるけれど、便利なところですね。

もちろん標準プラグ、ステレオミニプラグの切り替えも可能

ところで冒頭にあげた、私がHPH-MT8を知ったキッカケのバナー広告、実はHPH-MT8の宣伝というわけではなく、HPH-MT8がプレゼントとしてもらえるというモノなんですよね。「ヤマハマイスタジオ投稿キャンペーン~抽選でプレゼント」というもので、7月17日までの期間にYAMAHAのパワードスタジオモニター、HSシリーズに関するお気に入りポイントと、それが映った自宅スタジオの写真をTitterやFacebookに投稿すると、抽選で9名にHPH-MT8が、2名にパワードサブウーファーのHS8Sがもらえるという内容です。

7月17日まで行われているHSシリーズに関するマイスタジオ投稿キャンペーン

残念ながら私が普段使っているのは、YAMAHA製品の5インチモニターだけどHS5ではなくてMSP5 STUDIOなので対象外。気に入ってしまったので、返却後に購入しようかな、と思っているところです。

【価格チェック】
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【製品情報】
YAMAHA HPH-MT8製品情報
ヤマハ マイスタジオ投稿キャンペーン

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