iPad用の高性能DAWとして人気を二分するのがSteinbergのCubasisとWaveMachine LabsのAuria Proでしょう。Cubasisのほうはその名前からも分かるとおりCubaseのiPad版といえるもので、ユーザーインターフェイスも機能的にもCubaseを引き継いでいます。一方のAuria Proは、とくに元となるソフトがあるわけではありませんが、雰囲気的にはPro ToolsのiPad版といった感じのアプリとなっています。
いずれのソフトもDTMステーションで何度か取り上げてきましたが、先日そのCubasisがバージョンアップし、Cubasis 2.2へと進化しました。Cubasis 2.1、2.2と進化する過程で、いろいろな機能強化がされているのですが、今回の目玉となるのが、TR-808やTR-909またLinnDrumを再現する80年代ドラムマシン、Classic Machinesの搭載です。正確にはオプションとしての搭載ではあるのですが、これだけでも十分買う価値があるアプリとなっているので、紹介してみましょう。
Cubasisの新バージョンが登場、オプションで80年代ドラムマシンが搭載に
ご存じない方もいると思うので、改めてCubasisについて紹介すると、これはiPad専用(iPhoneでは使えない)のアプリで、Windows/Mac版のCubaseと近い感覚で使えるDAWです。オーディオトラック、MIDIトラックの双方を使うことができる、レコーディング、打ち込み、ミックスとこれ一つで音楽制作が可能となっています。
CubaseをベースにしてiPadに移植されたDAW、Cubasis
iPadの性能次第ではありますが、オーディオトラックもMIDIトラックも無制限で、オーディオは最大で24bit/96kHz、24chのレコーディングが可能。内部的には32bit-floatでの演算を行うオーディオエンジンが搭載されているというのですから、もうPCのDAW顔負けですよね。
HALion SonicをベースにしたMICRO SONICというマルチ音源が標準搭載されている
音源としてはHALion Sonicをベースにした120種類以上のサウンドを含むMICRO SONIC、またRETROLOGUEをベースとした強力なアナログシンセ、MICRO LOGUE、そして20種類の音源を持ち自らサンプリングも可能なサンプラー、MINI SAMPLERも標準装備。でも、使える音源はこれに留まりません。
以前「いつの間にか超高機能DAWに進化していたiPad用Cubasis」という記事でも紹介した通り、Inter-App Audioに対応しているから、iPadで動作する多くのソフトウェア音源をプラグインのように利用することも可能なので、この辺の自由度も嬉しいところ。
さらにCubasis 2.1からはAudiobus 3にも対応しているので、さまざまな音源、レコーダー、エフェクトなどと連携させることが可能になっているんですね。
TASCAM US-2×2とLightning-USBアダプタ経由で接続し、KORGのmicroKEY AirとBLE-MIDI接続
もちろんオーディオインターフェイスも利用可能。Steinberg純正品という意味では、UR12やUR22mkII、UR44などを使えばオーディオもMIDIも入出力できるし、RolandのRubix 22、TASCAMのUS-1×2、US-2×2、IK MultimediaのiRig Pro DUOなどでも利用可能。またつい先日紹介したFocusriteのiTrack Dockなどとの組み合わせでもバッチリ動作しますよ。キーボードはやはりKORGのmicroKEY AirなどBluetooth-MIDIでの接続が便利ですね。
Cubasis 2.2のチュートリアルビデオ(英語)
そのCubasisが7月4日バージョンアップしてCubasis 2.2となったわけですが、このバージョンでは、オプションとしてClassic Machinesというドラム音源が10種類用意されました。これは80年代を象徴するドラムマシンを音源にしたということなのですが、立ち上げてみると、いかにもというサウンドが飛び出してきます。
TR-808を再現したものと思われる音源、EIGHT
一番上にあるEIGHT Classicは、まさにTR-808。12個並ぶパッドを叩いてみると、808サウンドが飛び出してきます。これはドラムマシンというわけではなく、あくまでもドラム音源。打ち込み自体はCubasisのトラックで行っていくのです。
数小節でループレコーディングしていく
簡単な使い方としては1~4小節分をループレコーディングにし、オートクォンタイズをONにした上でクリックをONにしてからレコーディングしていくわけです。これでクリックに合わせて叩いていけば、誰でもすぐにパターンを作っていくことができますよ。
画面中央の音符をONにすることで、正確なタイミングでの発音が可能になる
さらにドラム音源の画面真ん中にある音符を選ぶと、パッドを押し続けた際、そのタイミングで連打されていく形になります。したがって、クォンタイズを掛けなくてもテンポにマッチした演奏ができるわけですね。
Classicというオリジナル音源とEFXというエフェクトセットの音源が交互に並んでいる
そのほかの音源を上から順に見てみると、EIGHT EFXというがあり、これは先ほどのTR-808にディストーションとリバーブなどのエフェクトを掛けたサウンドとなっています。いずれの音源もオリジナルを再現するClassicと、それに合ったエフェクトを施したEFXというのがあるんですね。
LinnDrumと思われる音源、LD2
というわけでClassicの音源ほうだけを見ていきましょう。次のLD 1はおそらくLinnのLM-1ではないでしょうか?LM-1自体あまり残っている音源ではありませんが、続くLD 2は明らかに有名なLinnDrumであるLM-2ですね。
TR-909だろうと思われるNINE
さらにNINEは色から見てもTR-909でしょう。シンバルやハイハットなどがEIGHTとは異なりPCM的なリアルなサウンドになっています。
REP1はOberheimのDMXではないかなと思うが…
その先がよく分からなくなってくるのですが、REP 1はOberheimのDMXかなと思うのですが、どうでしょう?さらにREP 2、SEQ、SIN V、SIX、UBER Xと続いていきます。SIXは番号的に見てもデザイン的にもTR-606なんでしょうね。
【追記】2017.7.10
記事公開後、読者のみなさんからTwitterで各音源の元ネタが何かという情報・予想を寄せてもらった結果をまとめると、次のように推測されます。
REP 1:E-mu Drumulator
REP 2:E-mu SP-12
SIN V:Simmons SDS-V(音的にやや違う気もするけど)
SEQ:Sequencial DrumTracks
UBER X:Oberheim DMX
ほかにもClassicだけで計10種類のドラム音源が用意されている
80年代のドラムマシンというと、ほかにYAMAHAのRX5やRX7、EmuのDrumulatorやSP-12、KORGのKPR-77……といったものがありますが、どれがどの音源なのか、ぜひ見つけてみてください。
なお、これら音源はCubasis内で利用できるのはもちろんですが、iPadをMIDI経由でPCと接続すればPCの外部音源として鳴らすことも可能です。かなりマニアックな使い方かもしれませんが、WindowsやMacのDAWのMIDIトラックで、このClassic Machinesを使うことができるんですね。
現在キャンペーン中で、アプリ内課金料金は半額の480円
さて、ここで気になるのが価格です。Classic Machinesはオプション扱いなので、アプリ内課金の形になっているのですが、7月18日までは特別価格キャンペーンということで通常の960円のものが480円になっています。
そしてそもそも、そのベースとなるDAW、Cubasisも通常6,000円のものが7月18日までは3,000円なので、iPadユーザーでもしCubasisを持っていないのなら、このタイミングで購入しておくべきだと思いますよ!いや、Cubasisのために、iPad Proを買っちゃうというのもいいかもしれませんよ(笑)。
【ダウンロード購入】
◎AppStore ⇒ Cubasis 2.2
【価格チェック】
◎Amazon ⇒ UR12
◎サウンドハウス ⇒ UR12
◎Amazon ⇒ UR22mkII
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◎Amazon ⇒ US-1×2
◎サウンドハウス ⇒ US-1×2
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◎サウンドハウス ⇒ Rubix 22
◎Amazon ⇒ Focusrite iTrack Dock Studio Pack
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