先日、「作曲をテーマにしたライトノベル、『作曲少女』が面白い!」という記事でも紹介したベストセラー書籍の『作曲少女 ~ 平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話 ~』。まつだひかりさんのイラストが大きなインパクトとなっているのと同時に、楽譜が一切登場しない作曲入門書であることが、大ウケしているようです。この『作曲少女』とコラボする形で、ヤマハミュージックパブリッシング主催による作曲コンテストがスタートしました。
その名も「“誰でもできちゃう”作曲コンテスト」というもので、これまでまったく作曲経験のない人、音楽理論などまったく知らない人でも気軽に作曲を楽しむことができる上に、応募することができます。もしグランプリが取れればその曲が正式にレコーディングされた上で発売されてしまうという本気のコンテストであり、入賞しなかったとしても応募者全員の中から抽選でYAMAHAのシンセサイザーがもらえちゃうという豪華プレゼント付き。DTMユーザーにとっても、なかなか夢のある面白いコンテストなので、どんな内容なのか紹介してみましょう。
プロの作曲家の世界では、コンペというものが日々行われ、みんなが競い合っているわけですが、中にはもっと広く一般に募集するコンテストも存在しています。とはいえ、そうしたコンテストに自分の作品を応募する、となると、なかなかハードルが高く感じられるのではないでしょうか?
そんな中、今回行われている「“誰でもできちゃう”作曲コンテスト」は、作曲未経験者でも気軽に応募できるというとってもユニークなコンテストなんです。このコンテストは「Yamaha Music Audition」という多角型音楽オーディションのサイトの中での企画の一つ。そもそもYamaha Music Auditionは以前あった日本最大級の音楽コンテスト「Music Revolution」がWeb上のものに進化する形で約1年前にスタートしたサイトです。
これまでにも大小合わせると、さまざまなコンテストが行われてきたようですが、今回は本当の初心者も対象とするという意味で、かなり異例のようです。まさに『作曲少女』を読んで、初めて作曲にチャレンジするような人でも気軽に楽しく応募できるコンテストにしたんですね。
中身を見てみると、「誰でもコース」と「達人コース」という2つのコースが用意されており、本当の初心者が応募できるのが「誰でもコース」です。こちらは作曲経験がない人はもちろん、楽器が弾けない人、譜面が読めない人でもOKというコースになっています。でも、そんな初心者がどうやったらコンテストに応募できるというのでしょうか!?
「誰でもコース」には、バッキングとなる課題曲が3つ用意されているので、これにメロディーを付ければOK
実は予めA、B、Cという3つの課題曲がMP3で用意されており、このうちのいずれかに、メロディーを付けて応募するという形になっているんです。つまり、これらの課題曲はバッキングのみのメロディーなし。これに合うメロディーを付けるのが「誰でもコース」における作曲というわけなんです。
しかも、この作曲においては、カラオケのように課題曲を流しながら歌って録音してしまうというワザもあるんです。そう、このコンテストにおいて紹介されているiPhoneおよびAndroidで利用可能な「プチリリカラオケ」という無料アプリを使えば、マイクもオーディオインターフェイスも不要、楽器が弾けなくても大丈夫というわけですね。
プチリリカラオケを利用する場合の手順。Androidの場合は本体のみで可能だが、iPhoneの場合は一旦PCを介す必要がある
とはいえ、DTMステーション読者の方だったら、同じ課題曲を利用するにせよ、スマホで歌うのではなく、「DAWを使ってもう一歩上を行く作曲をしてみたい」と思う方もいるはず。たとえば、VOCALOIDを使ってメロディーを乗せていく…といった応募の仕方もOKです。
ためしに課題曲AをCubaseのトラックに読み込んでみました。キーはEと指定されているけれど、テンポなどの情報はありません。波形などをチェックしながらテンポを合わせていくと、TEMPO=128で、頭に2小節分のドラムが入っていて、E、Am……とコード進行していることが分かってきます。
そこで、ここに新たにVOCALOIDトラックを作成して、思いつくメロディーを入力していってもいいし、オーディオトラックを作成し、オーディオインターフェイスから本気でボーカルをレコーディングするとともに、EQやコンプ、リバーブといったエフェクトを駆使してメロディーを仕上げていくというのもアリですよね。
この「誰でもコース」では「春の○○」とタイトルを付けることが求められていますので、それに合うイメージでメロディーを作っていけるといいですね。歌詞はなくてもOKとはなっていますが、応募要項を読んでみると「歌詞を付けなくても応募は可能です。(が、魅力的な歌詞はグランプリ審査にあたりプラス評価となります。グランプリを狙うなら、ぜひ積極的にトライしてみてください!)」とありますから、やっぱり歌詞は付けたほうがいいかもしれませんね。
なお、応募はWebを用いて応募フォームに記載するとともに、mp3、mp4、m4aのファイル形式でアップロードを行います。歌詞入りの作品の場合は、この応募フォームに歌詞も入れるようになっていますが、手順そのものはとっても簡単ですね。
で、そのグランプリを受賞すると、その受賞楽曲を審査員でもあるシンガーソングライターの山崎あおいさんが歌唱し、音楽配信サービス「mysound」にて配信が行われるとのことです。まさに作曲家デビューできるということですね。
また『作曲少女』の著者である仰木日向さんの選考による特別賞も用意されており、こちらを受賞すると、副賞としてYAMAHAのシンセサイザ、reface CS(『作曲少女』特製イラスト入り)がもらえるそうです。
さらに、参加賞というのがあるのも「誰でもコース」の嬉しいところ。これは審査結果とは関係なく、応募者全員の中から抽選で1名にYAMAHAのシンセサイザ、MX61 BUが、また複数の人に「“誰でもできちゃう”作曲コンテスト」特製クリアファイルが当たるとのことですから、それ目当てに応募するというのもいいかもしれません。
ところで、もう一つある「達人コース」というは、前述の課題曲は関係なく、完全にオリジナル作品を応募するというものになっていますから、こちらは本気のコンテストというか、コンペですね。「初夏の〇〇」というテーマの元、歌い手として、先ほどの山崎あおいさんを想定してのフリーの作曲となります。
こちら「達人コース」のグランプリは、「誰でもコース」と同様に受賞楽曲を山崎あおいさんが歌唱し、音楽配信サービス「mysound」で配信されるのと同時に、副賞としてYAMAHAの楽器10万円分がもらえるとのこと。さらにヤマハミュージックパブリッシングとの専属作家契約の可能性もあるそうなので、そういう意味でもプロを目指している人向けのコンテストといえそうですね。
なお、審査員は、山崎あおいさんのほか、課題曲をプロデュースした作家でありシンガーソングライターでもある成瀬英樹さんが担当するとのこと。締め切りは3月7日なので、まだ少し余裕はありそうですが、最後に慌てて応募するより、早めにチャレンジするのがいいかもしれませんね!
【関連情報】
“誰でもできちゃう”作曲コンテスト
Yamaha Music Auditionサイト
音楽配信サイト、mysound
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