ドライバが自動でアップデート。自ら進化していくTASCAMのオーディオインターフェイス

オーディオインターフェイスを使う上で重要になるのがドライバの存在です。というのも、このドライバの機能や性能によって、オーディオインターフェイスそのものの実力が大きく左右されるからです。そのドライバをインストールするのが難しい、面倒だから嫌い……という人も少なくないと思いますが、メーカーによっては機能強化のためにちょくちょく新しいバージョンのドライバをリリースしているところも少なくありません。

そんなメーカーの一つがTASCAMです。TASCAMでは、USシリーズという名称で、これまで数多くのオーディオインターフェイスを発売し、それぞれのドライバを積極的にアップデートしているのですが先日リリースしたUS-20×20およびUS-16×08において、これまでにないユニークな機能を搭載したのです。それが業界初となるドライバの自動アップデート機能。そう、ある意味オーディオインターフェイスが勝手に進化していくというものなのです。実際にその進化過程を試してみたので、どんなことが起こるのか紹介してみたいと思います。

ドライバの自動アップデート機能を備えたTASCAM US-16×08で、その自動アップデートを体験してみた



ドライバによって機能や性能が変わるといってもピンと来ない……という方も多いとは思います。簡単な概念図を作ってみたので、ちょっとご覧になってみてください。

オーディオインターフェイスとPC、DAWなどの関係

オーディオインターフェイスという機材そのものは、1つのハードウェアではありますが、通常はPCと接続して使います。そして、DTMシステムとして考えると、PCで動作するDAWの機能を含めた全体で機能や性能が決まってくるわけです。

では、そのDAWからはオーディオインターフェイスがどのように見えるかというと、接続口はドライバとなっており、入出力ポートがいくつあるのか、サンプリングレートをいくつに設定するのか、バッファサイズをいくつに設定してレイテンシーをどうするのか……といったものもすべて、ドライバとのやりとりで決まるのです。

その意味ではDAWにとってオーディオインターフェイスの機能・性能とはドライバそのものが見せているといっても過言ではないわけで、ドライバが変わればオーディオインターフェイスの機能や性能が大きく変わるのも当然です。つまり、実質的にはドライバも含めてオーディオインターフェイスとなっているんですね。


今回自動アップデートをかける前、ドライバのバージョンは2.00 0047、ファームウェアは2.00 0022となっていた 

ところで、もう一つよく登場してくる言葉がファームウェアというものです。ファームウェアとは何なのか、イマイチ把握できていない方もいると思いますが、これはオーディオインターフェイスというハードウェアの中にあるプログラムのことを意味しています。そうデジタル機材の多くはプログラムによって制御されているのですが、それを行うのがこのファームウェアなのです。このファームウェアを入れ替えることで、たとえば内蔵エフェクトを追加したり、同期機能を強化したり、利用可能なサンプリングレートを変更するなど、まさにオーディオインターフェイスの機能・性能の根幹的なところまで変えることができてしまうんですよね。

だからこそ、ドライバやファームウェアのアップデートというのは、非常に大きい意味を持つものであり、場合によってはオーディオインターフェイスをまったく新しいものに置き換えるのと同義くらいなインパクトを持つものなのです。

ちょっと前置きが長くなりすぎましたが、そのドライバ、さらにはファームウェアを自動的に更新する機能を持ち、オーディオインターフェイス自身が自ら進化するようになったのが製品が登場したのがです。それが、TASCAMのオーディオインターフェイスで、具体的にはUS-2×2US-4×4US-16×08US-20×20のそれぞれです。

この自動更新に対応したドライバ自体は、11月9日にリリースされていました。V2.0というドライバがそれで、このドライバだけは手動でインストールしておく必要があるのですが、その後アップデータが登場したら、自動的に知らせてくれ、自動でアップデートできるとのことなので、これを入れておいたのです。


新たなドライバが登場したことをすぐに教えてくれる 

そのお知らせが先日初めてやってきました。12月7日にリリースされたUS-16×08およびUS-20×20用のV2.1という新ドライバがそれなのですが、PC起動時に、新しいバージョンがあることをお知らせしてくれるのです(現時点においてはUS-2×2およびUS-4×4のV2.1ドライバは登場していません)。

アップデートを開始すると、インターネット経由で最新版のドライバがダウンロードされる
いますぐアップデートする必要がなければ、後で行うこともできるのですが、「今すぐアップデートする」をクリックすると、さっそくインターネット経由でドライバのダウンロードが始まります。このダウンロードに数分かかりましたが、しばらくするとドライバのセットアップウィザードが表示されます。ここで「次へ」をクリックしていくとインストールが行われるというわけなのです。

その後インストーラが自動起動するので、「次へ」をクリックして進めていく

もちろん業務で使っている場合など、機能よりも今のプロジェクトが安定して動くことが最も重要なので、一通りの作業が終わってからアップデートしたほうがいい、という可能性もありますが、通常はこのままアップデートしてしまってまったく問題ないと思います。


指示通りに操作していくと無事インストール完了 

実際にアップデート後に確認すると、確かにドライバのバージョンは2.10 0048というものに変わっていました。今回はファームウェア側の変化はないみたいですね

ドライバのバージョンは2.10 0048へと進化。そしてこの画面にはMixer True Bypassというスイッチが新たに追加されている

じゃあ、実際にどんな機能が追加されたのでしょうか?まず、その一つ目はMixer True Bypassという機能です。US-20×20やUS-16×08には、強力なDSPが搭載されており、内部ミキサーをを通す際、レベルを調整できるのはもちろん、EQやコンプなどで音を自在に加工することが可能です。でも、場合によっては、ここでの加工を行わず、できるだけピュアな音のまま入出力したいということもあるはずです。そこで役立つのが、このスイッチ。このMixer True BypassをONにすると、内部ミキサーをまったく通さずに、そのまま信号が流れていくようになったんですね。EQのところにもBypassと表示されます。


EQのところにはByapassという表記がされて、オフになっている 

2つ目はComputer out to Streo BUSというスイッチの追加です。これは、PC側からの出力をステレオバスへ出力するか、出力しないかを決めることができるボタンです。

Computer out to Streo BUSにチェックが入っていると、ステレオバスへ出力される
私が持っているオーディオインターフェイスがUS-16×08なので、実際には確認できていませんが、US-20×20の場合はあsらに
・マイクプリモード時の動作モードにDAコンバーターモードを追加
・スタンドアロン動作時のクロックソース変更が本体操作のみで可能に

という機能も追加されているようです。


Computer out to Streo BUSのチェックを外すと、ステレオバスへの出力がされなくなる 

今回はファームウェアのアップデートはなかったのですが、今後ファームウェアがアップデートされた場合も同じように、自動的に知らせてくれ、ユーザーがOKをすれば自動的にアップデート作業もしてくれて、ハードそのものの機能も大きく進化していくというわけなのです。

自分でアップデータの存在を確認し、ダウンロードしてインストールするという作業が不要になり、ほぼお任せで機能更新されていくというのは、ちょっと未来を感じますよね。今後どんな機能が追加されていくのか、楽しみにしているところです。

なお、この進化した最新バージョンのUS-20×20については、12月20日に放送するDTMステーションPlus!の番組の特集として実演を兼ねて紹介していきます。歌手でボイストレーナーでもあるジーラ真琴さんをゲストに、レコーディングなどを行ってみる予定なので、ぜひご覧いただければと思います。

【関連情報】
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【DTMステーションPlus! 第71回】
2016年12月20日 21時放送
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