プロ御用達の緑のプラグイン、McDSPをCubaseやSONARで使う!

サンレコなどの雑誌、またWebの記事で、プロのレコーディングエンジニアのインタビューを見ていると、昔からよく登場してくるのが、緑色のプラグイン、McDSPの製品群です。なんとなく憧れを持ちつつも、Pro Tools専用のプラグインという印象が強かっただけに、CubaseSONARStudioOneFL StudioABILITY……といったDAWのユーザーにとっては無縁のもの、と思っていた人も多いのではないでしょうか?

6月になって、そのMcDSPから6050という新しいチャンネルストリップがリリースされ、さらには6月15日からは「68%オフ」なんていうトンでもないキャンペーンが始まったので、ちょっと気になって見てみたら、昨年からVST対応となり、MacでもWindowsでも、ほとんどすべてのDAWで使えるようになっていたんですね!本当にWindowsのCubaseやSONARでも使えるのか試してみたので、ちょっと紹介してみましょう。

Windows版のCubaseおよびSONARで緑のエフェクトを使ってみた!


とっても印象的な緑色のプラグインが記憶に残っている人は多いと思います。ご存じない方のためにMcDSPについて簡単に紹介しておくと、これは以前Digidesign(現Avid Techonology)にいた元IBMの開発者、コリン・マクドウェルさんが1998年に独立して設立した会社。


緑のプラグインとして誕生した最初のMcDSP製品、FilterBank

設立と同時にEQであるFilterBank、コンプレッサであるCompressorBankというPro Tools専用のプラグインが発売されたのですが、その使いやすさ、音の良さから、大ヒットとなり、Pro Toolsユーザーにとって完全な定番になっていったんですよね。そのコリン・マクドウェルさん、ある意味Pro Toolsの仕組みを知り尽くした技術者でもあったため、DSPにおいてもネイティブ(CPU)においても、ほぼゼロレイテンシーのプラグインを実現していたのも、プロ御用達になった大きな理由のようです。


使いやすく、高性能なコンプとして多くのエンジニアの間で大ヒットとなったCompressorBank

またEQの挙動を見ても、すごくうまくできていたんですよね。たとえば、ローをブーストしたら、その持ち上げる直前のところがディップ(凹む)するんで、ハードのEQとそっくりな特性になっていたんです。こうしたところも好まれていたんだと思います。

その後、さまざまなプラグインを出しているけれど、どれも緑を基調にしたデザインとなっているのは、「カメレオンのように、どんな色にも変化できるプラグインである」という思想があるからなんだとか。ど派手な色というわけではないけれど、一種独特な雰囲気だから、とっても印象に残るんですよね。


10種類のEQの質の違いを簡単に切り替えられる6020 Ultimate EQ

さらに、McDSPを不動の地位にしたのが6020 Ultimate EQ6030 Ultimate Compressor。6020のほうは、4バンドのパラメトリックEQで、調整をするんだけれど、そのパラメータの設定はそのままに、EQそのものの特性を10種類切り替えることができるというもの。同様に6030はスレッショルドなどの設定はそのままにコンプレッサとしての特性を10種類切り替えて比較できるというユニークなものであり、今でも定番として使われています。

6020と6030をセットにして、さらにスペシャルエフェクトを追加したチャンネルストリップ、6050

その6020と6030をセットにして、さらにサチュレーション・モジュールやオーバードライブ、ディストーションなどを追加したのが、6050 Ultimate ChannelStripという新製品なわけなのです。

さて、その新製品6050も加えた、McDSPのすべての製品が、現在
・AAX Native
・Audio Units
・VST(32bit/64bit)
に対応しているんです(AAX DSPにも対応していますが、これはHDライセンスが必要)。そしてAAXおよびVSTはMacだけでなく、Windowsにも使えるようになっているんですね。

というわけで、本当にWindowsのVST-64bit環境で使えるのか、Windows 10にインストールして試してみました。


ライセンス管理は、USBドングルであるiLokを利用する 

まず、このMcDSPの製品は、iLokで管理されるので、あらかじめライセンス情報をiLokに登録しておく必要があります。あとは、Windows版のインストーラをダウンロードして実行するだけ。これだけでCubaseでもSONARでもABILITYでも、なんらトラブルなく使うことができました。これは、ちょっと感激ですね。ホントにMcDSPがWindowsで使えちゃってますよ。


WindowsのCubase 8.5上でMcDSPのプラグインがバッチリ動作 


ライフタイム・フリー・アップグレードに対応したSONAR上でももちろん問題なし

最新のCubase 8.5やSONAR Platinum、またABILITY 2.0 Proなど、VST3に対応しているDAWであれば、とくに何の設定をしなくても、すぐに使うことが可能です。


ABILITY 2.0 ProもVST3対応なので、インストール後、すぐに使うことができる

一方で、VST2にしか対応していないDAWの場合は
64bit版 C:\Program Files\Common Files\Steinberg\VST2
32bit版 C:\Program Files (x86)\Common Files\Steinberg\VST2
のフォルダをVSTプラグインのフォルダとして指定することで使うことが可能ですよ。

今回は、国内代理店であるメディアインテグレーションにお願いして、ライセンスをお借りしたのですが、いま、ちょっと心を動かされるのが、投げ売りか!?というほどのセール価格です。6月30日7月31日まででの限定とのことですが、通常価格の最大68%オフというセールをしているんですよね。確認してみたところ、単品が基本60~68%オフで、セット品は30~40%オフといった感じです。
※期限が1ヶ月延びたようです(7/4修正)

このセール自体はワールドワイドで行われているようで、米国側をチェックしてみたところ最大60%オフだから、日本のほうが、さらに値引いているようです。もっともいま円高なので、実際に日本円で換算して比較すると、ほぼ同額となっているようですね。

メディアインテグレーションに確認したところ、「海外価格と基本同じですが、当社から購入いただければ日本語マニュアルが付きますし、もちろん日本語でのサポートも行います。また、よくあるiLokのトラブルでライセンスが使えなくなったといった場合のサポートもこちらで受けますので、安心して使っていただけますよ」とのこと。ただ、一部まだ日本語マニュアル制作中というものもあるようです。それらについては後日、完成し次第ユーザーに送付するとのことでした。

インターネットで海外から直接購入できる時代になったからなのか、先日movmentの記事で取り上げたクリプトン・フューチャー・メディアといい、このメディアインテグレーションといい、国内代理店はどこも大変ながらも頑張ってるんだな…と感心した次第です。

ちなみに、このMcDSPのプラグインで、個人的にとっても楽しくていいなと思っているのが、かなり異色のエフェクト、FutzBoxです。これを通すことで、携帯電話での声にしたり、メガホンを通した音、ラジオの音などにできるほか、Speak&Spellの声にする、なんてことができちゃうんです。


とってもユニークなエフェクト、FutzBox。たとえばSpeak&Spell風なサウンドに

その意味では、いわゆるLo-Fi系のプラグインの一種ではあるけれど、単なるビットクラッシャーとかEQによる周波数帯域制限というものとはだいぶ違うんですよね。いわゆるIR=インパルス・レスポンスを用いてエミュレーションを行っているのですが、コンボリューション・リバーブのように重いプラグインではなく、SIM=シンセティック・インパルス・モデリングという手法を用いて軽くできているんですよね。

どう使うかはアイディア次第ではありますが、これももちろんVSTでもAudio Unitsでも使うことができますよ。これも単体価格で通常23,220円が9,396円と60%オフ。買うなら、今という感じですね。

【関連情報】

McDSP製品情報(メディアインテグレーション)
6050製品情報
最大68%オフ・セールス・プロモーション

待望のVST対応、音作りに積極的に活用したいプラグイン。McDSP – 青木繁男氏インタビュー


【価格チェック】

◎Amazon ⇒ McDSP Classic Pack Native v6 (4plug-in Bundle)
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