カシオが3月に発売したTRACKFORMERというマシンをご存じですか?これは、カシオのデジタル音源や技術を使って、ダンスミュージックを楽しむための新しい楽器を作っていこう!という新シリーズだそうで、その第一弾として、ターンテーブルやさまざまなボタン、ノブ、フェーダーなどを搭載したDJコントローラー「XW-DJ1」とパッドを叩いてオリジナルのダンスミュージックを創作・演奏できるグルーヴセンター「XW-PD1」の2機種が登場し、いろいろなところで話題になっています。
先日、DJコントローラー「XW-DJ1」のほうを使ってみたところ、思いのほか楽しい機材だったんですよ。これがどんな機材で、そもそもどんなことができるマシンなのか、WindowsやMac、iPhone/iPadなどとどのような関係になっているのかなど、紹介してみたいと思います。
カシオが発売したDJコントローラ、TRACKFORMER XW-DJ1
ラジカセという言葉自体が死語になっているような気もしますが、でもやはりラジカセ感覚という言葉いちばんしっくりくる機材、TRACKFORMER、XW-DJ1。これはDJコントローラとタイトルがついているとおり、まさにDJプレイを楽しむことができる製品です。まずは、以下のビデオを見てみると、どんな製品なのか雰囲気が分かると思います。
https://youtu.be/7XkUUsOyCW0
いかがですか? これを使えば、誰でも簡単にDJプレイができるというものであり、ターンテーブルを使ってのスクラッチプレイ、フィルターノブを利用した音の変化、エフェクトボタンやループボタンを利用したプレイなどを楽しむことができます。
底面にスピーカーが内蔵されていおり、これ自体で音を鳴らすことができる
でも、それのどこが「ラジカセ感覚」なのでしょうか?実は、この機材のユニークなのはここにスピーカーが内蔵されていて、これ単体でDJプレイするサウンドを鳴らすことができるんです。だからこそ、友達数人がいる場所で、手軽に気軽にDJプレイを披露することができちゃうんですよね。
左からUSB端子、iOS接続端子、ラインアウト端子、ヘッドホン端子、ACアダプタ端子
もちろん、ヘッドホン端子もあるので、ここでモニタートラックを聴きながら操作をしていくことができるわけです。また、内蔵スピーカーの出力では物足りないということであれば、ラインアウトも用意されているので、これをPA機器に接続して大音量で鳴らすといったことも可能になっています。
大きなターンテーブルを中心にボタンやノブが数多く用意されているが、XW-DJ1自体はコントローラとしての役割となっている
先ほどのビデオをご覧になってお気づきの方も多いとは思いますが、XW-DJ1自体はあくまでもコントローラであり、DJ機器としての機能を備えているわけではありません。これでDJプレイを楽しむためには、ホストとなる機器が必須となります。具体的にはiPhoneやiPadといったiOSデバイス、もしくはWindowsもしくはMacが必要であり、それらの上でDJアプリが動いていることが利用の条件となるんですね。
付属ケーブルを使ってiPhoneやiPadと直接デジタル接続することができる
中でも使いやすいのがiPhoneのようです。iPhoneのLightning端子と接続するためのケーブルが付属しているので、これで直結することができ、専用のiPhone用のホルダーも取り付けることができるので、まさに1つのコンパクトDJ機材としてまとめることができるわけです。iPadやiPad mini でも同じように接続することはできるものの、付属のホルダーだとバランスが悪くて支えることができません。まあ、横に置いておけばいいだけの話ではありますが、やっぱりiPhoneがベストマッチですね。
電池ボックスに単3電池×6本入れることで、ACアダプタなしでの駆動が可能
ただし、iPhoneやiPadからの電源供給だけでXW-DJ1を駆動することはできないため、付属のACアダプタを利用するか、底面部分にある電池ボックスに単3電池×6本を詰めて使う形になります。
djay2を起動後、XW-DJ1を接続すると自動認識され、CASIOのロゴが表示される
では、ここでどんなアプリを使うのでしょうか?XW-DJ1のターンテーブルに「algoriddim djay」というロゴがあることからも想像できる通り、これはDJアプリであるalgoriddim djay 2 for iPhoneおよびdjay 2 for iPad、さらにはVJアプリであるvjay for iPhoneおよびvjay for iPadと完全な形で連携できるように設計されているのです。
djay 2 for iPhoneをXW-DJ1でフル活用することができる
ターンテーブルの回りには各トランスポートボタンおよびCUEボタン、SYNCボタンが用意されていますが、この円の上半分がAパート(左スクラッチ)、下半分がBパート(右スクラッチ)となっているため、これで一通りのプレイ操作が可能です。またAパート、Bパートそれぞれに用意されたフィルターのツマミを動かせば、ハイパス、ローパスが思いきり効果を発揮してくれるし、クロスフェーダーも使いやすくできています。
フィルターのノブを動かすと、リアルタイムにサウンドが変化していく
また、FXボタンがAパート、Bパートそれぞれ3つずつあり、djay側の設定に応じて各種エフェクトの操作が可能。さらにLOOPボタンを押すことでループプレイなどもできるようになります。
FXボタン、LOOPボタンなどを使ってコントロールすることができる
では、これがdjay専用機材なのかというと、そういうわけではないのも面白いところ。このガジェット系のスタイルながらも、なんと最新のXMOSチップを搭載しているんですね。WindowsやMacと接続すると、汎用的な機材として使うことが可能です。
TRACKFORMER XW-DJ1の内部にはオーディオ制御用にXMOSのチップが搭載されている
そうPCからは4ch出力のオーディオインターフェイスとして見えると同時に、MIDIデバイスとして見える設計になっており、MIDIコントローラーとしても、いろいろなソフトで使うことができるんです。Windowsの場合はASIOドライバとして使え、Macの場合はドライバインストール不要でCoreAudioデバイスとして利用できるようになっています。
もっとも、PCと接続するとなると、トータルでは結構大きくなるため、「ラジカセ感覚で持ち歩く」というわけにはいかないかもしれませんが、自宅のDTM環境でDJタイプのインターフェイスでプレイするというのも、なかなか楽しいですからね。
ちなみに、XW-DJ1はWindowsやMacのUSB端子からのバス電源供給で動作させることはできるのですが、この形だと内蔵スピーカーを鳴らすことができません。内蔵スピーカーを使いたい場合には、ACアダプタを使うか、電池を利用する必要があるので注意が必要ですね。
さて、そのWindowsやMacで使う場合は、どんなソフトが利用できるのでしょうか?結構いろいろなソフトが対応しているのですが、まずは大きなシェアを持っているNative InstrumentsのTRAKTORが対応しています。正確にはTRAKTOR PRO 2ですね。カシオのサイトにいくとTRAKTOR用の定義ファイルが公開されているので、これを読み込めば、XW-DJ1の各ノブやボタン、フェーダー、スクラッチコントローラなどがすべてアサインされるので、まさにTRAKTOR専用のコントローラのように使うことができます。
Image-LineのDeckdanceでもCASIO XW-DJ1を認識して、フルコントロールが可能
またWindows専用ではありますが、Image-LineのDeckadance DJ Softwareも対応しています。こちらは、オーディオデバイス、MIDIデバイスを指定するだけで、すべて最適化してくれるようですね。
無料で入手できるMac用のdjay LEも、XW-DJ1を自動で認識してくれ、オーディオ設定をすればすぐに使える
さらにMac専用としてはdjay LEが用意されています。これは無料でダウンロードして使えるソフトですが、一通りのことはできてしまいますよ。XW-DJ1をUSB接続しないとソフト単体では動作しないことや、レコーディング機能・オートミックス機能が使えないといった制限はありますが、XW-DJ1のオマケソフトとして入手できると考えるとお得な感じです。もし、全機能を使いたい場合はdjay PROへアップグレードすればいいわけですね。
以上、XW-DJ1について簡単に紹介してみましたが、いかがでしょうか?これとiPhoneを持って出かければ、ラジカセみたいにすぐにDJパフォーマンスをみんなで楽しめるというのはいいですよね。 特に海外では、スポティファイとdjayの完全連動やストリーミングサービスの充実に伴って、よりいっそうのアクティブなラジカセ感覚が人気となっているようです。
ぜひ、今度はTRACKFORMERシリーズのもう一つのマシン、XW-PD1のほうも試してみたいと思っています。
【関連情報】
TRACKFORMER XW-DJ1製品情報
TRACKFORMER XW-PD1製品情報
【価格チェック】
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