斬新で過激なソフトシンセメーカー、Sugar Bytesが日本上陸

みなさんはソフトシンセ、ソフト音源って何を使っていますか?「DAWに標準バンドルされてるものしか使ってない」、「フリーソフトのSynth1で決まり」、「一応NIのKOMPLETEは持ってるよ」……などさまざまな答が返ってくるとは思いますが、使う音源がマンネリになっているという人は結構多いと思います。

もちろん手慣れた音源を使うことで、効率のいい作業はできると思いますが、たまには、まったく違った音源を使ってみると刺激を受けることも多く、音楽制作の発想も広がると思います。もっとも市販ソフト、フリーソフト含め、膨大なソフト音源があるので、何を選ぶかが難しいところですが、昨年辺りから一部ユーザーの間で話題になっていたドイツ・ベルリンのソフトシンセメーカー、Sugar Bytes(シュガーバイツ)が国内で正式に発売を開始し、さまざまな音源、さらにはエフェクトも登場してきました。かなり斬新なものをいろいろ出していて面白いので、少し紹介してみたいと思います。

ドイツ・ベルリンのプラグインメーカー、Sugar Bytesがやってきた


Sugar Bytesはさまざまなプラグインを出していますが、まずは以下のビデオをご覧ください。

何だコレ!?」というのが、最初見たときの率直な感想。一言でいってしまえば、ワブルベース特有のギュワギュワしたうねりのあるサウンドを簡単に作り上げることができるツールですね。実際にPC上で動かした画面を見ると、かなり普通じゃないことがすぐに感じ取れると思います。


ワブルベースサウンドを簡単に作り出せるCyclop

簡単に解説してみましょう。これはスタンドアロンでも動作し、VST(64bit/32bit)、AudioUnitsAAXRTASで動作するWindows/Macハイブリッドの音源。基本的にはモノフォニックのシンセなのですが、とんでもないほどの仕掛けがいっぱい施された音源になっているんですよね。

画面下に並ぶ5つのがベースとなるシンセ部分で左2つがオシレーター、真ん中がルーティングセクション、右2つがフィルターという構成。オシレーターではアナログシンセ、サンプラー、FM音源など6種類から選択することが可能で、2つのフィルターもローパス、ハイパス、バンドパス…といろいろな設定ができます。そしてこのオシレーター、フィルターをどう組み合わせるかを自由にルーティングできるようになっています。

画面上部にはワブルジェネレータ、シーケンサ、FXなどが、これでもかというほどに詰まっており、MIDI鍵盤からキーを弾くと、各ノブが動き回ります。ベロシティーによって、違うサウンドに変換するなど、かなりクレイジーな音源でプリセットも800以上用意されているので、それらを読み込むだけでも、激しいサウンドを体験することができます。


画面上部のロボットアイコンをクリックすると、画面はゲームモードへと切り替わる

ちなみに、ロボットのアイコンをクリックするとゲームができるという前代未聞のシンセでもあります。しかもこのゲーム自体を行うことでサウンドメイクが可能という不思議な音源。まずは、デモ版があるので、これを試してみると面白いと思いますよ。

Egoistは手持ちのオーディオ素材を元にして完全に新しいオリジナルグルーブを生み出してしまうというすごい音源です。以下のビデオをご覧ください。

このビデオでは、自分の適当な演奏を組み合わせて、まったく新しいグルーブを自動で作ってくれるというイメージを表していますが、自分の演奏に限らず、サンプル素材でも、手持ちの楽曲でも何でもOK。それをEgoistが勝手に再構成して、オリジナルの素材を作り出してくれるのです。

読み込んだオーディオをスライスして、新たなパターンを作り出す
仕組み的にいえば、読み込んだオーディオを自動的にスライスした上で、その順番を自動で組み替えると同時に、ドラムマシンでリズムをつけてしまうというもの。全自動で行うこともできますし、手動で作りこむことも可能です。

強力なドラムマシンも搭載されているので、必要に応じて自分で打ち込みもできる
つまり、必要に応じてスライスの仕方を調整したり、その順番を決めることもできるし、ドラム音源として好きなものを選んで、好きなリズムで打ち込みなおすこともできますが、全自動でやってしまうからこそ、まったく新しいグルーブとの出会いがあるのも面白いところ。「こんなの使い道ない!」と思ってたようなループ素材が、すごいものに生まれ変わってくれることもあるので、試してみることをお勧めしますよ。

ここでは、もう一つだけSugar Bytesのプラグインを紹介しておきましょう。

このビデオを見てもイメージがわきにくいかもしれませんが、Looperatorというこのプラグインは音源というよりもシーケンス機能搭載のエフェクトといったほうが正しいと思います。入力されるオーディオ信号に対してリアルタイムにエフェクトを掛けていくのですが、そのエフェクトの設定をステップごとに切り替えることができる、という何とも妙なプラグインなのです。


1ステップごとに異なるエフェクト、フィルタを適用していくLooperator

画面を見ると分かる通り、SLICE、LOOP、ENV、FILTER、FX1、FX2と並んでいますが、それぞれで細かなプリセットが用意されており、1ステップずつ、何を使うかを設定していくことができるのです。

リアルタイムエフェクトとして、ボーカルやギターにかけると、飛んでもないビートのサウンドへ変身させることができるし、DAWのトラックにかけると、もちろんDAWのテンポと同期して動作してくれるため、トラックのサウンドはまったく違うものへと変身してくれるのです。この際、どのステップにどのエフェクト、フィルタをかけるかをサイコロで決めるランダム設定などもできるので、発想に行き詰った際に、適当に選んで組み合わせるのもありだと思いますよ。


DAWのテンポと同期さながら鳴らしていくことができる 

ほかにもこうした斬新なプラグインを数多くだしているSugar Bytes。ベルリン在住の日本人ミュージシャンが運営しているEDMに強いDTM情報サイト、「いっかい」のインタビュー記事によると、同社を設立したエンジニアであるRobert Fehse氏とRico Baade氏は、もともとNative Instrumentsにいて、NIの原点でもあるReaktorの開発を行っていたのだとか。

そういう意味でも、なんとなくNIとの共通性を感じるプラグインですが、NIにはない斬新さ、過激さも感じるのも面白いところです。

これまでもSugar Bytesのソフトはオンラインで直接購入することができましたが、今回、日本の代理店としてディリゲントが入ったことにより、日本語ページで購入可能になり、日本語のマニュアルも得られ、日本でのサポートも受けられるようになったとのこと。とはいえ、パッケージ販売ではなく、ディリゲント・サイトからのダウンロード販売となっているのですが、海外サイトから購入するのはハードルが高い、と感じるユーザーでも、これなら安心して購入できそうですよね。


iPad版のCyclop。Inter-App AudioやAudiobusにも対応している 

まずはデモ版が無料でダウンロードできるので、これを試してみることをお勧めします。また、スタンドアロンでの動作で用途が限られるものの、CyclopEgoistをはじめTurnadoThesysなどはiPad版もあるので、これらを使ってみるのも面白いと思います。
【関連情報】
Sugar Bytes製品情報
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