TASCAM製品にバンドルされるSONAR X3 LEって、どんなソフト!?

米Cakewalk社がRoland傘下からGibson傘下へと移って一年余り。このドラスティックな環境変化によって、SONARの国内での発売元はRolandからTASCAMへと移り、現在は、SONAR X3 PRODUCER(59,800円前後)SONAR X3 STUDIO(39,800円前後)SONAR X3 ESSENTIAL(19,800円前後)のの3ラインナップが発売されています。

1年前の記事「TASCAMバージョンになったSONAR X3を使ってみた!」でも書いている通り、従来のSONARシリーズの機能、UIはそのまま踏襲しており、特に混乱もないようですが、この業界再編によって、一つ大きく変わったことがあります。それはRolandおよびTASCAMのオーディオインターフェイスのバンドルソフトが変わったことです。中でも新規に登場したSONAR X3 LEについては、あまり取り上げられていないので、改めて紹介してみたいと思います。

TASCAMのオーディオインターフェイスにバンドルされているSONAR X3 LE

ご存じのとおり、従来RolandのオーディオインターフェイスにはSONAR X1 LEがバンドルされていましたが、昨年夏ごろからバンドルソフトがLive 9 Liteへと切り替わりました。一方、TASCAMのオーディオインターフェイスにはCubase LEがバンドルされていたものが、SONAR X3 LELive 9 Liteへと切り替わっているのです。

Live 9 Liteもバンドルされている
TASCAMの場合、SONAR X3の発売元でもあるので、従来のRolandと同様、TASCAMのオーディオインターフェイスにSONARをバンドルするというのは当然の流れ。TASCAMとCakewalkが兄弟会社になってすぐにSONAR X1 LEがバンドルされるのかな…と思っていたのですが、新バージョンであるSONAR X3 LEが完成したタイミングでの切り替えとなったようです。

ただし、これまでと同様、SONARはWindowsのみの対応で、Macで利用できないということからAbleton Live 9 Liteもバンドルしているというのが実情のようですね。CakewalkがSONARのMac版を出せれば事情も大きく変わったのでしょうが、これまでの長年の経緯を見る限り、それは難しそうですもんね……。

TASCAMのUS-2×2(上)とUS-4×4(下)

SONAR X3 LEという名称からも想像できる通り、これはSONAR X3シリーズのエントリー版に位置づけられるもので、ラインナップ的に見ると、SONAR X3 ESSENTIALの下。ただし、こちらは単体発売されているものではなく、あくまでもTASCAMのオーディオインターフェイスにバンドルされる形になっています。具体的にいうと
US-16×08
US-4×4
US-2×2
US-366
などを購入すると付属してきます。付属といっても、SONAR X1 LEのようにDVD-ROMでの付属ではなく、8ページの冊子がついているだけで、そこに書かれてある指示に従ってダウンロードを行う形になっています。実際ダウンロードしてみたところ、1.83GBとそれなりの大きさ。SONAR X1 LEのDVD-ROMが3GBを超えていたことを考えると多少コンパクトになっているものの、これはチュートリアルのデモデータなどがなくなったためと思われます。

1.83GBほどあるインストーラをダウンロードした後、インストール

インストールには15分程度を要しますが、とくに難しいことはないはずです。対象となるOSはWindows 7/8/8.1のそれぞれでXPやVistaは非サポート。途中32bit版をインストールするか64bit版にするかという選択肢が登場しますが、通常は64bitを選べばいいと思いますよ。


64bit版のWindowsを使っている人は基本的に64bit版をインストールすればOK

インストール後、起動すると、まさにSONARという画面が登場します。従来のSONARのプロジェクトもそのまま読み込むことができ、このユーザーインターフェイスを見る限り、従来のSONAR X1シリーズ、現行のSONAR X3シリーズと大きな差はなさそうですね。


起動してみると、製品版のSONAR X3とそっくりだし、従来のSONAR X1 LEとも大きな差はなさそう…

SONAR X3 LEの特徴として記載されている中から、ポイントとなるものをピックアップすると、以下のような感じでしょうか。

・VST3対応(ソフトシンセおよびエフェクト)
・Gobblerによるクラウドとの連携
・マトリックスビューによるリアルタイムのループプレイ
・Windows8のタッチパネル操作、カスタムタッチ操作に対応
・無制限の同時入出力
・最大32のオーディオトラック
・最大64のMIDIトラック

・最大24bit/96kHzフォーマットに対応


ループ素材を使ったライブパフォーマンスも可能なマトリックスビュー 

気になるSONAR X3 ESSENTIALとの比較をすると、DAWの基本スペック的にオーディオトラック数とMIDIトラック数に制限があることや64bit/384kHzではなく24bit/96kHzが最大であること、またバスの数が8本までとなっていることくらい。多くのユーザーの場合、これで結構十分かもしれませんね。ただし、パッケージ版と違い、サポートは受けられないので、その点はご注意ください。


仕様上24bit/96kHzまでに制限されるが、通常はまったく問題ないはず 

製品版との違いが大きいのは、搭載されているエフェクトやソフトウェア音源の数やラインナップですね。SONAR X3 LEにバンドルされている音源は
SI-Bass Guiter
SI-Drum Kit
SI-Electric Piano
SI-String Section

と、32bit版限定ですが、rgcAudio Squre Iの5つのみ。


ソフトウェア音源として入っているSI-Electric Piano

まあ、これだけあれば結構なことはできますが、SONAR X1 LEにバンドルされていたD-Pro LEなどのマルチ音源がなくなっているのが残念なところ。必要に応じて、フリーウェアの音源のインストールをするといいかもしれませんね。とくにSONAR X3 LEではVST3対応となっているので、使い勝手は大きく向上していいますよ。


オーディオはもちろん、MIDIのピアノロールを使った打ち込みもOK 

一方のエフェクトのほうもちょっと少な目。こちらは
Alias Factor
Modfilter
Multivoice Chorus/Flanger
Para-Q
Compressor/Gate
HF Exciter
Classic Phaser
Tempo Delay
Sonitus:fx Equalizer
Sonitus:fx Reverb

の10種類のみ。この辺も物足りなければ、フリーウェアなどを追加してみるとよさそうです。Cubase LEのように同時使用エフェクト数の制限などはないので、かえって使い勝手はいいと思いますよ。


10種類のVSTプラグインエフェクトが同梱されている 

ちなみに、パッケージ版のSONAR X3シリーズにはMelodyneがバンドルされており、ARA(Audio Random Access)という独自プラグイン仕様によって、完全に機能統合されるようになっていますが、SONAR X3 LEはARAには対応していない模様でした。まあ、この辺の高級機能はやはりパッケージ版が必要ということのようですね。

SONAR X3 LEを目当てにオーディオインターフェイスを購入するというのもアリかも
以上、SONAR X3 LEについて簡単に紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?たとえばUS-2×2US-366などは16,000円程度で購入できる手頃なオーディオインターフェイスなのに、これだけの機能、性能を持ったDAWがついてくるのですから、SONAR X3 LEを目当てにハードを購入するというのも手かもしれませんね。

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【関連情報】
SONAR X3 LE製品情報

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