オーディオ分野も出題されるMIDI検定はDAW知識習得の近道!?

MIDI検定」という資格試験が10年以上前からあったのってご存知ですか?私も始まった当初から気になりつつも、「受けてみて落ちたら恥ずかしいし……」なんて見て見ぬふりをしていたのです。しかしDTMの世界もMIDIだけで制作している少数派であり、DAWを用いてオーディオを使うのが当たり前の時代。MIDI知識だけの資格って、どれだけ需要があるんだろうか……と、ちょっと不思議に思っていました。

そうした中、先日知人から「MIDI検定って名前だけど、今はデジタルオーディオ、DAW関連の出題も多くて、結構勉強になって面白いよ」という話を聞いたのです。気になってみてみると、なるほどDTMユーザーにとって役立ちそうな情報がいっぱいあるではないですか!MIDI検定を主催する一般社団法人音楽電子事業協会(AMEI)に許可をとって、その過去問題を掲載させてもらったので、何問かチャレンジしてみてください!

MIDIだけでなくオーディオも出題されるようになったMIDI検定


さあ、いきなりではありますが、以下の5問、解いてみてください。

【1】MTR[ a ]の登場により、録音と[ b ]を分けて行なえるようになり、さまざまなミキシングテクニックによって楽曲のサウンドクオリティが向上し、オーバーダビングと呼ばれる方法により一人ですべてのパートを録音したり、同じパートを2回以上重ねて録音することも可能になりました。
[1](マルチトーンレコーダー)  [2](マルチティンバーレコーダー)
[3](マルチトラックレコーダー)  [4](マルチタスクレコーダー)
[5]再生  [6]ミックス [7]マスタリング  [8]モニタリング

【2】オーディオインターフェースをパソコンで利用する際には、[ c ]と呼ばれるソフトウェアが必要となり、Windows では[ d ]、Mac ではOS に搭載された[ e ]が主に使われています。
[1]ユーティリティー [2]ドライバ [3]ユニット[4]ライブラリー
[5]App [6]Core Audio [7]SSD [8]PPD [9]ASIO

【3】鍵盤を押した瞬間にノートオンが送信され、鍵盤を離した瞬間に[ f ]が送信されますこの二つのメッセージの間が発音している状態となり、その長さを[ g ]と呼んでいます。
[1]ノートキャンセル [2]ノートマイナス [3]ノートオフ [4]ノートカット
[5]サチュレーション [6]モジュレーション[7]ハレーション [8]デュレーション
【4】GM 音源のリズムボイスでは、ハイハットやトライアングルのオープンとクローズが同時に鳴らない機能を[ h ]アサインといいます。また、あるリズムボイスの発音が終わらないうちに同じボイスのノートオンメッセージが来た場合、強制的に発音を止めてから改めて発音する機能を[ i ]といいます。
[1]コーディネート [2]オルタネート [3]イルミネート [4]ラミネート
[5]ポリアサイン [6]モノアサイン [7]シングルアサイン [8]ダブルアサイン

【5】ナイキストとシャノンが発表した「アナログ信号を再生するにはアナログ信号の周波数の2倍でサンプリングすることが必要である」という定理を[ j ]定理といいます。この定理から、サンプリングレートが96kHz の場合、理論的には[ k ]Hz までのオーディオ信号が再生できます。
[1]サンプリング [2]フレミング [3]ピタゴラス [4]マーフィー
[5]12k [6]24k [7]48k [8]96k

いかがでしたか?これらはすべて、2012年12月に行われた第15回MIDI検定3級の試験から引用したものです。「なんだ、こんなに簡単なのか!」と思う人、「なかなか手ごたえがあるけど、勉強のし甲斐がありそう!」と思う人など、いろいろだと思います。それぞれの答は、あえてここには記載しませんが、MIDI検定のサイトに行くと、「試験対策&ガイドブック」のところに問題と解答が記載されているので、チェックしてみてください。

こうして改めて見てみると、現在のDTMを習得するための基礎的な内容が万遍なく出題されているんですよね。【5】など、その選択肢で、笑ってしまいましたが、結構ジョークも散りばめられていて、楽しいですよ。もっとMIDI規格の話ばかり出題されているのかと思ったら、MIDI検定3級においてはMIDIもオーディオも半々で、ともに基礎的な内容になっています。ほかにも

【6】楽譜-4- を入力した正しいピアノロール画面の図を1つ選び番号で答えてください。


なんて、より打ち込みの実践的な問題もあるんですよね。どれも普通にDAW活用のための知識として重要なものばかりだし、Cubaseだとか、SONARなどと、特定のDAWに固定した内容でなく、どのDAWのユーザーにとっても役立つ汎用的な内容になっているところも良さそうです。

だったら「MIDI検定という名前をやめて、DAW検定にしたほうが、多くの人に誤解を与えずに伝わるのでは?」とAMEIに質問してみたところ、「資格制度の場合、そう簡単に名称を変えるわけにはいかないのです」というちょっとお堅い返答が……。まあ、確かにそんなにコロコロ名前が変わるのはマズイのかもしれませんね。

とはいえ、資格内容自体は、技術の進化、時代の進化に合わせて随時見直しを行っており、2012年度よりガイドブックを大幅に改定するとともに、MIDI検定2級およびMIDI検定3級の試験内容も大きく変更して、MIDIとオーディオの2本柱にしたそうです。


MIDI検定の教科書である「ミュージッククリエイターハンドブック
問題を見てみると、なるほどMIDI検定2級は、先ほどの問題をもう少しレベルアップした内容で、よりしっかり知識を身に着けていないと難しそうです。またMIDI検定2級はMIDI検定3級に合格した人が受けられるという制度になっており、筆記試験とデータ制作の2次試験もあるんですね(3級と2級筆記試験を同日に両方受験することもできます)。

3級か2級か、さらには1級かに関わらず、そのガイドブック=教科書になっているのが、AMEI監修で日本シンセサイザープログラマー協会(JSPA)のみなさんが執筆している「ミュージッククリエイターハンドブック」です。全272ページという分厚い教科書ですが、MIDIについて、オーディオについての話はもちろんのこと、音楽理論や音響学、シンセサイザ、さらには著作権の話まで幅広く解説されていて、個人的にも役立ちそうに思えました。

AMEIによると「3級の試験と2級の筆記試験に関しては、このガイドブックにある内容を理解していればすべて解けるはずです」とのこと。まずは、このガイドブックを入手した上で、次のMIDI検定試験にチャレンジしてみてはいかがですか?
【関連情報】
MIDI検定公式サイト
一般社団法人音楽電子事業協会サイト
日本シンセサイザー・プログラマー協会サイト

モバイルバージョンを終了