YAMAHA/SteinbergからCubase 7.5が12月4日にリリースされることが発表されました。個人的には正直なところ、やられた~、という思い。だって、ついこの前、リットーミュージックから「Cubase7 Series 徹底操作ガイド」という分厚い本を出せたばかりなのに、もう新バージョンなの……、と。まあ7から7.5ということなので、基本的には新機能の追加が中心だから、すぐに本を刷新するほどのことはなさそうなんですけどね。
今回のバージョンアップの対象となるのはCubase 7とCubase Artist 7の2つで、いずれも12月4日からダウンロードの形によるバージョンアップ。10月15日以降に購入(アクティベーション)した人は無償ですが、それ以前のユーザーはメーカー直販のスタインバーグバージョンアップセンターでの取り扱いになるとのこと。Cubase 7から7.5へは5,480円、Cubase Artist 7から7.5は4,980円となっています。なお海外からの並行輸入モノは対象外のようです。またElements、AI、LEは7のまま据え置きなのは、Cubase 6のときと同じようですね。私自身、まだモノを入手していないので、分からないこともいっぱいですが、結構、テンコ盛りな感じで使える機能が追加されているようなので、資料をもとに整理してみましょう。
※初出時、私の勘違いでタイトルを含め、無償アップバージョンアップと書いてしまいましたが、間違いでした。上記のとおり、修正してお詫び申し上げます。
ずいぶんといろいろ機能追加されていますが、個人的に気になるものからピックアップしていくと、まずは帰ってきた伝説のテープサチュレーションプラグイン、Magnetoです。Cubase SX/SLの時代に標準で搭載されていたプラグインで、これを通すだけで、簡単に温かいアナログサウンドになるというものですが、それが機能強化されMagneto 2として搭載されるのです。
この新バージョンではテープマシン2台によるサウンドをシミュレーションするデュアルモードなども装備し、適用するエフェクトの周波数帯域も選択できるとのことです。
ちゃんと機能が把握できていないのですが、これは良さそうと思ったのが、Instrument (T)rack 2.0というもの。ん?なんで(T)なのと思ったら、TrackとRackを掛け合わせているようなのですが、インストゥルメントトラックとVSTインストゥルメントのラックが完全に同期?するとのこと。
これまでそれぞれが別々になっていたので、私自身も混乱している面はありました。インストゥルメントトラックがない時代、単にMIDIトラックからラックに組み込んだVSTiにアクセスするほうが頭の整理がつきやすかったのに……、と。それが融合するようなんですね。資料によるとインストゥルメントトラックではインスペクター上で複数のオーディオ出力の設定が可能になり、またマルチティンバーインストゥルメントの場合、別のMIDIトラックからも入力できるようになったということ。
一方新しいインストゥルメントラックでは、ラックに追加したインストゥルメントに対応するトラックが自動的に作成されるようになるので、まさに表裏の関係になるということのようですね。
Cubaseのメイン音源ともいえるHALion Sonic SEも新しくなり、HALion Sonic SE 2になります。ここに搭載される新しいTripバーチャルアナログシンセは、4種類のパターンと 150 以上のウルトラダイナミックサウンドを含むアルペジエーターモジュールを備えます。またTape Saturator、Wah Wah、Auto Filter、Step Flanger、Ring Modulator、Octaver、Vintage Ensemble、Envelope Shaperの8つの新エフェクトが追加され、Rotaryエフェクトも強化されるとのこと。かなり強力なシンセになりそうですよ。
ソフトウェアインストゥルメント関連では、ほかにもGroove Agent Oneの後継となるGroove Agent SE 4が、エフェクト系ではLoopMash FX、REVelationなどが追加されます。
こうしたプラグインの追加だけでなく、本体機能もいくつか強化されているようです。進化の核心とされているのが、トラックバージョン。資料によると「任意の数のトラックの別バージョンを作成できます。複数のテイクの比較や、録音済みの複数トラックを別バージョンとして複製し、さまざまな編集を試したりできます。 既存のレーンなどのトラック処理機能と完全な互換性があるフレキシブルな新機能で、オーディオだけでなく、MIDI やインストゥルメント、コード、テンポ、拍子の各トラックで作業する際の作業時間を大幅に短縮できます」とあります。
これまでもレーンというものがあって、一つのトラックに何度もレコーディングができ、コンピングによって、いいところだけをつなぎ合わせるということができましたが、今回のトラックバージョンとどう違うのかなど、ちょっと使ってみないことにはピンとこないのですが、もしかしたら、とっても使いやすい機能なのかもしれませんね。
また、結構便利そうだと思ったのが「再録音モード」というものです。RECボタンを押して、いざレコーディングをスタートしたら、その場で失敗に気づくことってよくありますよね。普通は、一回止めて、失敗録音を消し、スタート位置に戻してから、再度スタートするわけですが、この再録音モードにしておくと、録音ボタンをもう1度押すだけで、セットしておいたプリカウントやメトロノームの設定のままで録音をやり直せるとのことですよ。
もう一つ、個人的に興味があるのはが、以前レポートした遠隔地の音をレコーディングできるというVST Connect SEがVST Connect SE2になるとのこと。ちょうど、このCubase 7.5の発表の少し前に、VST Connect Proというものが19,800円でダウンロード販売されることがアナウンスされていましたが、それとの関係も気になるところです。
機能強化された遠隔地レコーディングシステム、VST Connect SE
こればかりは、使ってみないとなかなか分からないので、ぜひ、今度しっかりレポートできればと思っております。
なお、Cubase 7.5もCubase Artist 7.5も新パッケージとはならず、従来のCubase 7のままです。インストール時にアップデータも適用される仕組みになっていますから、現在あるCubaseのパッケージを購入してもまったく問題はありませんよ。
【追記】
一足先にCubase 7.5を試すことができました。その結果、ひとつ気になっていたVOCALOID Editor for Cubaseもしっかりインストールすることができ、動作も確認できました。
【関連サイト】
Cubase 7.5製品情報
【価格チェック】
Amazon ⇒ Cubase 7
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