11月7日、ヤマハからiPhone用の「VOCALOID first」というアプリが無料でリリースされました。これは、音楽知識がまったくない人、楽器が弾けない人、作詞作曲なんてしたことがない人でも、即、曲作りを体験することができ、誰でも2、3分もあれば曲が作れてしまうという非常にユニークなものです。
曲作りとか、DTMになんとなく興味はあるけれど、難しそうで……と思っていた人でも、これならば必ず作れてしまうという画期的アプリ。このアプリの開発には、以前記事でインタビューもさせていただいたゲームクリエイターの水口哲也さんがプロデューサーとして関わっているとのことですが、どんなアプリなのか紹介してみましょう。
起動すると、まずはテーマ選択の画面になります。
無料でダウンロードした状態では3テーマ、アプリ内課金の利用で現在さらに3テーマまで追加することが可能になっており、どのテーマを選ぶかによって、作る曲の雰囲気が大きく変わってきます。
コンテンツテーマ名 |
概要 |
価格 |
はじめてのボカロうた |
ハッピーバースデーソングに乗せた、初めてのボカロ曲制作に適したテーマです。 |
無料 |
純心ガール☆ポップチューン |
淡くて純真な心を歌ったポップな曲調のテーマです。 |
無料 |
chねら~@川柳 ボカロ味 |
掲示板サイトなどで使われるインターネット用語が満載。「ネタ」要素を盛り込むのに適したテーマです。 |
無料 |
8 |
昔のゲームを思い起こさせるピコピコサウンド。歌詞候補も、どこか懐かしいゲーム用語が揃っています。 |
200円 |
厨二病☆ベビーロッカー |
格好をつけたがどことなく恥ずかしい、そんな若くてエネルギーあふれる曲調と歌詞が詰まっています。 |
200円 |
サラリーマン侍 テクノ川柳 |
サラリーマンの思いが込められた歌詞ワードが勢揃い。川柳風の楽曲を制作できます。 |
200円 |
たとえば「chねら~川柳 ボカロ味」というのを選ぶとしましょう。すると、テーマ画面に切り替わるとともに、画面下には、曲のスタート部分をどんなメロディーにするかの選択肢が現れるのです。
タップするとそのメロディーをプレビューすることができるので、気に入ったものを選びます。そう、たった、これだけの操作で曲作りの、取っ掛かりができてしまうのですよ。
再生してみると、伴奏パートも自動的に入っているので、結構いい感じになってますね。長さにして8拍分(2小節)なので、本当に頭の部分だけではありますが、VOCALOIDの声(正確にはiVOCALOID VY1の声ですね)で、「ららら~らら~♪」と歌っています。
もちろん、ここはVOCALOID、ここに歌詞を入力すれば、その歌詞で歌わせることができます。とはいえ、「いきなり歌詞を考えろ!」と言われたって、普通は何も思いつかないですよね?
このVOCALOID firstが画期的なのは、その作詞も手助けしてくれる機能があるんです。入力されている音符を3つとか4つとか選ぶと、それにマッチしそうな歌詞の選択肢が現れるのです。
これなら選ぶだけでいいから、とりあえず作詞を始めることができますよね。もちろん、後で選択し直すこともできるし、もし後からもっといい歌詞を思いついたら、自分で書き替えることもOK。この選択肢によって、あくまでも作詞の取っ掛かりを作ってくれるというわけですね。
さすがに8拍だけでは4秒くらいで終わってしまうので、続きも作っていきましょう。現在できた最後の部分に「この領域をタップするとメロディを追加できます」とあるので、タップすると、また先ほどと同様に、メロディーの選択肢が出てきます。
プレビューしてよく聴いてみると、さっきの出だし部分とは違うメロディーの選択肢になっていますよ。そう、冒頭部分とうまく繋がるものが選択肢となっているんですね。
この作業を繰り返していくことで、15~20秒程度の短い曲を作り上げることができます。これなら、本当に誰でもできますよね。
でも、作ってみたら、やっぱり中盤のところは、もうちょっと別のメロディーにしたい、なんて思うかもしれません。その時は全体の構成を表示させ、気に入らない部分を選択し直すことも可能です。
たったこれだけの操作で曲ができてしまうって、すごいですよね。全自動でソフトウェア側が勝手に作詞作曲しているわけではなく、自分で選んで作っているのですから、とっても簡易的ではあるけれど、作詞作曲体験が得られといって間違いないと思います。
とはいえ「これでは自由度が低すぎて、オリジナリティーが出せないではないか!」と思う方もいると思います。まあ、作詞のほうはともかく、作曲のほうは自由度が低く感じるかもしれません。でも、実は後で音程を自由に変更することもできるんですよ。音の長さはいじれませんが、音の高さを変えたら、まったく異なるメロディーにすることができますからね。
ここまで来れば、かなりオリジナルな曲を作れたことになると思います。このようにしてできた曲は、その場で再生させるだけでなく、メールに添付して送ることもできるので、誰かのために作詞作曲して、プレゼントするなんてことまでできちゃいますよ。
もし、この機能ではやっぱり自由度が低くて物足りないと思うようになれば、あなたはもうVOCALOID firstは卒業。ぜひホンモノのVOCALOIDやDTMソフトを使って、音楽作りの世界へと進んでください。
なお、VOCALOID firstのプロデューサである水口哲也さんには、先日インタビューもさせてもらったので、近々そちらも紹介する予定です。