Windows 8のアップデート版、Windows 8.1が10月17日にリリースされました。「Windows 8になって消えてしまったスタートボタンが復活するらしい!?」ということで、Windows 8.1の登場を待っていたという方も少なくないと思います。とはいえ、OSのアップデートはリスクがつきもの。「実際アップデートしたらこれまで使えていたハード、ソフトが使えなくなった!」なんてことになったら怖いですよね。
そこで、いつものように、この新環境がDTMにとって役に立つのか、問題はないかを検証するために、私のPC環境にインストールして試してみました。結論からいうと、とりあえず何とかなりそうだけど、危険な雰囲気もいろいろあります。また、ユーザーインターフェイスも誰もが気に入るというわけではなさそうな気もしました。簡単に状況をレポートしてみましょう。
まず、私の使っているマシンは、以前に「Sandy Bridge対応PCでこの夏は節電だ!」の記事で紹介したCore i7のマシン。同じShuttleから先日ようやくHaswell対応のベアボーン出たので、そろそろ購入しようかな……とは思っているものの、スピード的にもなんら不満がないので、まだこれを使っているところです。
このPCにWindows 8 Proを昨年10月にインストールし、ようやくこれに慣れてきたところです。当初はいろいろとトラブルもあったものの、現在ではオーディオインターフェイスも問題なく動くし、DAWやソフトシンセなどもトラブルなく動作していますからね。もっとも、いまだモダンUIというヤツには慣れないし、好きになれません。できれば消え去ってもらいたいと思っているものの、そういう気配はないようです。仕方ないので、Classic Shellというフリーソフトをインストールして、スタートボタンを復活させ、これまでのWindows7とそっくりな環境にして使っています。この環境においては、快適ではありますよ。まあ、Windows7で何ら不便はなかったわけですが……。
さて、そこに登場したWindows 8.1、Windowsアップデートで自動的にアップデートされるのではなく、Windowsストアから指定してオンラインでのアップデートとなります。新たにマシンを購入したり、新たにOSを買うのなら最初から8.1となるようですね。私の場合は、Windowsストアを通じてインストールしてみました。
ここではCubaseやReasonなど、いくつかのソフトが入っている環境でアップデートを行い、環境がそのまま引き継げるのかを確認しようとしたのですが、サーバーが混んでいるのか、3.63GBあるアップデータのダウンロードにはフレッツ光の回線でも2時間以上かかりました。
ダウンロードさえできてしまえば、その後は指示通りの操作をすれば10分程度でアップデートは完了。さっそく起動してみると、ビックリ、いろいろとド派手な配色になっています。まあ、使わないモダンUIはとりあえず置いておいて、デスクトップがオレンジ色に。まあ、これは単に壁紙なので、どうでもいいかと思ったのですが、ここでウィンドウを開いてみると、外枠もすべてオレンジになっているんですよね。これまでどのWindowsのバージョンも青が基調だったし、そこにコンセプトがあったじゃないですか。それがいきなりオレンジって何なんだ!?という思いがします。DAWを含め、各アプリケーションも、外側枠が青とか紺になることを前提に画面デザインもしてあると思うんで、かなり違和感を感じます。設定を変更することで、青くすることはできましたが、デフォルトの色としてよろしくないと思いました。
せっかくなのでClassic Shellを一旦アンインストールした上で、使ってみたところ、なるほど左下に、ボタンが表示されています。が、これをクリックしてもスタートメニューが現れるわけではないんですね。単純にモダンUIのスタート画面へ切り替わるだけです。スタート画面側にも同じボタンがあり、こちらはデスクトップ画面に切り替わります。
「え?それだけ??」と思ってしまいましたが、まあ、それだけ。ただ、このボタンの上を右クリックするとコンテキストメニューが現れ、ここからシャットダウンや再起動はできるようになりました。これが大きいポイントですかね。
では、ソフト、ハードのほうはどうなのか?Cubase AI/Elemnets 7を起動してみたところ、いきなりエラーメッセージが出てちょっとビックリしましたが、ここはOKしてみたところ、無事起動し、普通に使うことができました。いくつかのVSTのプラグインも試してみましたが、これらも大丈夫なようです。ただ、ウィンドウ枠のオレンジ色だけは納得いかないところですが……。
また先日使ったReason Essentilasも問題なく使えるし、VOCALOID 3 Editor、SONAR X1 LEも問題なく使うことができました。細かく検証しているわけではありませんが、概ね大丈夫そうですね。ただ昨日、ハープ奏者の朝川朋之さんと話をしていたら、「マシンをWindows 8.1にしたら譜面ソフトのOvertureが起動しなくなって困っている」とおっしゃっていたので、古いソフトなどは問題が起こる可能性もあるのかもしれません。
一方、ハードウェアのほうも多少不安を感じました。まず、いつも使っているRolandのQUAD-CAPTUREが動かずにちょっと焦りました。そう、Windows 8から8.1へアップデートしただけだと動かなかったのです。すぐにRolandのWebサイトを確認したところ、「従来のWindows 8用のドライバだと動作しない」との記載があります。ただ即日8.1用のドライバがリリースされており、これをダウンロードしてインストールしてみたところ、無事今までどおり使うことができました。ということは、うまく動作しなハードもありそう、ということですよね。
ちなみにほかにもいくつかのオーディオインターフェイスを試してみました。具体的にはSteinbergのUR-22、TASCAMのUS-366、MOTUの8pre USBなど……。これらは特に新しいドライバが出ていたわけではないのですが、いずれも問題なく使うことができました。ということはWindows 7から8へ切り替わったときほどはドライバの互換性が低くはないようですね……。
ちなみに、もしかしたらMac OS XのようにUSB Class Audio 2.0を標準サポートしたりしていないかな、と淡い期待をしながらPreSonusのAudioBox 44VSLを接続してみましたが、やはりドライバをインストールしない限り認識はされませんでした。
以上が、とりあえずWindows 8.1を試してみたファーストインプレッションです。まあ、安定した稼働を求めるなら、まだ8.1へのアップグレードは早いように思います。Windows 7のままでいいし、これまでのWindows 8+Classic Shellでいいんじゃないでしょうかね。ちなみに、その後、改めてこのWindows 8.1にClassic Shellの新バージョン4.0.2をインストールしてみたところ、8.1になった搭載された切り替えボタンをスタートボタンとして使えるようにうまく対応していたので、これを使うのがよさそうです。