「DTMをやってみたいと思って、DAWにチャレンジしたけれど、さっぱり分からなくて、そのままになってしまった……」、そんな人も少なくないと思います。とくに最近のDAWはどんどん高機能化していて、初心者には難しくなっている面も否定できません。
「でも、機会があれば、もう一度チャレンジしてみたい……」という人に、一つ紹介したいツールがあります。それはDAWではない、もう一つの音楽制作ツール、Reasonというものです。とくにエントリー版のReason Essentialsは実売7,800円程度で購入できるWindows/Mac両対応のソフトで、とりあえずこれさえあれば、多重録音でも打ち込みでも可能。DAWと比較して、より直観的で分かりやすいのが特徴です。これがどんなツールなのかを紹介してみましょう。
DAWは、PCのソフトウェアとして生まれ、育ってきた音楽制作のシステムです。それに対し、Reasonはミキシングコンソールやテープレコーダー、ラックマウント型のエフェクトやシンセサイザをシミュレーションする形でソフトウェアに仕上げたものであるというのが大きな違いです。
そのため、より直観的な操作でレコーディングができたり、エフェクトによる音作りができるのが大きな特徴です。以下にギターをレコーディングしていく5分程度のビデオがあるので、ちょっと見てみてください。
英語のビデオではありますが、英語が分からなくても、何をしているのかはよく分かりますよね。これを見ても分かるように、操作は簡単ではあるけれど、「機能の少ない簡易版DAW」というわけではないのです。見た目にも、かなりカッコイイですよね。
このReasonというソフト、スウェーデンのPropellerheadという会社が2000年に開発したもので、もともとはラックマウント型のシンセサイザやエフェクトを並べて音楽を作っていくというコンセプトのものでした。すでに、DAWは存在していた時代ですが、実際の電子楽器、機材の世界をリアルにシミュレーションするソフトという独創的な考え方は画期的なもので、大ヒットソフトになりました。
ただ、当時のReasonにはオーディオのレコーディング機能はなかったため、シンセサイザやドラムマシンで音楽制作を行うテクノ系、トランス系などで受け入れられており、広く一般の音楽制作で使われていたわけではありませんでした。しかし、現在のReason Essentilasは先ほどのビデオでも見た通り、まるでマルチトラックのテープレコーダーでも使っているように使うことができるわけです。
テープレコーダーですから、ギターに限らず、ボーカルでもサックスでも、その他各種アコースティック楽器でも何でも簡単にレコーディングすることができ、トラックを増やしていけば、どんどん音を重ねていくことが可能です。
また、ここにはディレイ、リバーブ、EQ、コーラス、ディストーション、コンプレッサ、マキシマイザ、さらにはギターアンプシミュレータ、ベースアンプシミュレータ……と本当にさまざまなエフェクトが装備されているので、これらを自由に接続して使うこともできるのです。
画面を見ても分かる通り、いずれのエフェクトもすべてラックにマウントして使う実際の機器のようなデザインとなっているため、ホンモノの機材を触る感覚で操作することができます。
なかでもスゴイのがミキシングコンソール。これはSSL9000Kという、プロのレコーディングスタジオで古くから使われているミキシングコンソールをエミュレーションしたものであり、これを使って音作りをしていくことができるのです。もちろん、DAWにもミキシングコンソールは搭載されていますが、Reasonが徹底しているのは、実際にある機材を画面上でシミュレーションし、それを操作する感覚で音楽制作ができる形にしているという点。DAWの作法を覚えなくても、機材の使い方さえ分かれば、違和感なく操作できてしまうんですよね。もっとも、こうした機材を見るのも苦手で、さっぱり分からないという人には、ちょっと向かいないかもしれませんが……。
もちろん、Reason Essentialsには当初からあったMIDI機能も、そのまま搭載されているし、テクノ系の電子音ばかりでなく、ピアノ、オルガン、ギター、ベース、ストリングス……といった普通の楽器サウンドが鳴らせるID8という音源も搭載されているから、シンセサイザは初めてというユーザーでも違和感なく使うことができるはずです。また、強力なサンプラーも搭載されていますから、
以下のビデオは、PCにMIDIキーボードが接続されていることを前提にMIDIのレコーディングをしていくビデオです。先ほどのギターのレコーディングとほぼ同じ感覚で操作できているのが分かると思います。
このMIDIキーボードは、どのメーカーのどんな機材でもOK。たとえばKORGのMicrokeyなどをUSB接続して使えば、同じようにレコーディングしていくことができます。もちろん、キーボードはまったく弾けなくて……という人の場合は、MIDIシーケンサ機能で打ち込んでいくことも可能です。
また、ドラムに関しては、Redrumというドラムマシンが搭載されているので、素早い操作でリズムを打ち込んでいくことができます。ちょっとレトロデザインの画面ではありますが、2、3分もあれば、簡単にカッコいいドラムパターンを組んでいくことができるので、特に初心者の方にはおすすめできますよ。
このように、リアルな機材を操作していく感覚で使えるReason Essentialsですが、実際にマイクを接続したり、ギターを接続してレコーディングしていくためには、オーディオインターフェイスが必要になります。これについてもどのメーカーの何でもOK。ただ、これからオーディオインターフェイスを買うという人であれば、Propellerhead自身が出している実売26,800円程度のBALANCEというものがお勧め。
ちょっと変わった形の機材ですが、マイク2系統、ギター2系統のほか、ラインもモノラルで4系統分の入力が可能。またマイクは+48Vのファンタム電源供給可能となっているから、コンデンサマイクへの接続もできて、Reason Essentialsがバンドルされているのです。オーディオインターフェイスのデザインにこだわりたいという方にもいいと思いますよ。
ちなみに、Reason Essentialsよりも、さらに多くの音源やエフェクトを装備しているのが、上位版のReason 7。実売で3万円弱と手ごろになっていますが、Reason Essentialsや旧バージョンのReasonからは12,800円でアップグレードすることができるので、実はこちらのほうが安く買うことができそうです。Reason Essentialからのアップグレードは22,800円前後、旧Reasonからのアップグレードは15,800円程度となっています。なので、まずはReason Essentialsを入手し、自分に合うようならアップグレードするというのがお勧めですよ。
このReason 7についても、いずれ詳しく紹介してみたいと思っています。
【製品情報】
Propellerehead Reson Essentials製品ページ
Propellerehead BALANCE製品ページ
【価格チェック】
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