ドイツu-heのWin/Mac対応フリーシンセ、3種類を使おう!

ドイツ・ベルリンにあるソフトシンセメーカーのu-he。国内に輸入代理店はないので、日本での知名度は低いですが、優秀なソフトシンセを出しているため、よく話題になるメーカーです。バーチャル・アナログ・シンセやモジュラーシンセなど、さまざまな音源をWindows用、Mac用のハイブリッドで出しており、しかも32bit版だけでなく積極的に64bit版も出しているので、最新のDAW環境においても快適に動作してくれます。

そのu-he、製品として販売しているものだけでなく、フリーウェアのソフトシンセをいくつか出しているのが嬉しいところです。具体的にはPodolskiZebraletteTYRELL Nexus 6 V3 Synthの3種類のバーチャル・アナログ・シンセ。いずれもMacのAudioUnitsとVST、WindowsはVSTの32bit版と64bit版のそれぞれに対応しています。どんな音源なのかを簡単に紹介するとともに、ダウンロード先などを紹介していきましょう。

u-heが提供する3種類のバーチャル・アナログ・シンセを使ってみた



フリーのソフトウェア音源に限定すると、やはりWindowsのほうが潤沢にあります。「探してみたけど、WindowsのVST音源ばかりでガッカリした……」なんていうMacユーザーも多いと思います。でも探してみれば、中にはWindowsでもMacでも動く音源なんかもあるんですよね。

日本が誇るフリーソフトシンセ、Synth1も以前、取材した作者のDaichiさんの話にもあったように、Windows版に加えMac版もリリースされています。ただ2013年9月時点ではまだMac版もVST対応のみで、AudioUnitsには対応できていないようです。やはり、個人の開発者がフリーで両方のプラットフォームに対応させるというのは、なかなか難しいことなんでしょうね。

となると、企業の力に頼らざるを得ないところですが、企業は売るのが商売ですからね……。そんな中、ドイツにはu-heという会社は、自社製品の宣伝というニュアンスなのでしょうか、計3つのソフトウェア音源をフリーで提供しているのです。順番にみていきましょう。

■Podolski
ダウンロード先:https://u-he.com/products/podolski/
Podolskiは1オシレータ構成で軽いのが特徴

Podolskiは元々ドイツの雑誌の付録用として配布されていたもので、それを最新の環境でも快適に動作するように改良した、バーチャル・アナログ・シンセサイザです。U-heのソフト、演算を大量に行うやや重た目のソフトが多い中、これはCPU負荷を抑え、軽く動作するというのが特徴です。U-heによると、同社が$129で販売しているFilterscapeという音源の簡易版的なものだそうですが、オシレータ×1、フィルタ×1、エンベロープ・ジェネレーター、2基のLFOを搭載。また、Zebraスタイルのアルペジエーター/シーケンサー×1という構成に加え、コーラスやディレイも装備されています。

アルペジエータも搭載されている

タブで画面を切り替えるとアルペジエータが登場し、ここで自由にアルペジオを組むことが可能です。またユニークな機能として、Clickというパラメータが用意されており、これを使うことでフィルタのアタックを強調することができます。またWaveWarpという機能も面白いところ。これは3種類のWaveform間をモーフィングできるようになっています。

Podolskiのデモビデオ
■Zebralette
ダウンロード先:https://u-he.com/products/zebralette/
自分で波形を描くことも可能なかなりマニアックな音源
Zebraltteは、Zebra2という$199のソフトシンセの簡易版であり、Zebra2をインストールすると一緒にインストールされるフリーウェアです。U-heのソフトは、Zebra2に限らず、いずれもインストーラ自体は無料でダウンロードできるようになっており、インストールすると体験版として使えるようになっています(ある程度の時間が経過すると、雑音が出る仕様)。インストール後、ソフトを購入し、オンライン登録をすると制限解除される仕様になっているんですね。でもZebraltteは問題なく使うことができるというわけです。

これはZebra2のオシレータ1つ分を取り出して再構築したバーチャル・アナログ・シンセサイザ。このオシレータが非常に強力で、基本的な波形生成ができるのはもちろん、Wave Editorという機能が用意されており、自分で波形を描くことも可能になっています。そのため、かなり自由度の高い音作りができるのも面白いところです。

また2つのLFOを搭載しており、片方は全体用、もう片方はボイス専用として使えます。またマルチ・ステージ・エンベロープを搭載するとともに、コーラス、EQ、ディレイの3種類のエフェクトが搭載されています。

Zebraltteのデモビデオ

■TYRELL Nexus 6 V3 Synth
ダウンロード先:https://u-he.com/products/tyrelln6/
画面デザインも一新されて登場したTYRELL Nexus 6 V3 Synth
3つ目のTYRELL Nexus 6 V3 Synthは今週登場したばかり2013年4月9日に登場した新バージョンのバーチャル・アナログ・シンセです。「ダウンロード先が、u-heのサイトではない!?」と気づいた方もいると思いますが、これはドイツのDTM系Webサイト、Amazona.deとの共同プロジェクトとなっているようで、Amazona.deが配布元となっているのです。

音源の構成としてはオシレータ×2、サブオシレータ×1、ノイズジェネレータ×1、リングモジュレーター×1、シグナルフィードバック×1、LFO×1、エンベロープ・ジェネレータ×2、モジュレーションマトリックス×1とかなり強力なもの。RolandのJUNOなどにも近い感じの操作性ですね。

このV3というバージョンでデザインが大きく変わり、ややレトロなカッコイイものになっていますが、そのデザインを担当したのはRyo Ishidoさんというドイツ在住のミュージシャン兼デザイナー。検索してみると、彼のWebサイトには「石道」なんて漢字も書かれているのですが日本人なのかな??いずれにせよ、なかなか強力な音源でプリセットもいっぱい入っているので、使ってみてはいかがでしょうか?


旧バージョンのTYRELL Nexus 6のデモビデオ

【関連リンク】
U-he日本語サイト(Dirigent)
u-heのトップページ

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