スマホのせいで、ゲーム機が売れない、デジカメが売れないという現象が起き、各企業の業績を左右しているみたいですが、ICレコーダーもその一つかもしれんせんね。だって、会議などの録音ならiPhoneやAndroidの機能でも十分キレイに録れてしまいますし、便利な録音アプリもいろいろありますから。でも、この内蔵マイクで音楽を録るとなると、音質的になかなか厳しいのも事実です。
そんなときに便利なのが専用のコンデンサマイク。これを使うことで音質は格段に向上するし、ステレオでのレコーディングも可能になります。先日、TASCAMのiM2XというXYマイクを入手したのですが、これがiPhone5で使えるのかなど、いろいろ試してみました。
スマホの録音音質を向上させるワザは何通りかあります。一番単純なのは、ヘッドホン兼マイクジャックに外付けマイクを取り付けるという手法。IK MultimediaのiRig Micなどはその代表例ですし、秋葉原などで数百円で売っている小さなマイクもいろいろあります。これならXperia、Galaxy NexusなどのAndroidでも使えるし、iPhoneの場合も世代を問わず使うことができます。
ただ、この入力端子は本来ヘッドセットを使った通話を目的としたものだけに、音質面での限界はあるし、モノラルしか扱えないというのも一つのネックなんですよね。
それに対し、もう一つの方法は、iPhone限定となってしまいますが、DOCK端子、Lightning端子にデジタル接続でマイクをつなぐという方法です。デジタル接続だけに、機材次第でかなりの高音質化が期待できるし、ステレオ入力ができるというのも大きなメリットです。
この手のマイク、数社が出しているようですが、実績があるのがTASCAM。現行機種としては通常のステレオマイクであるiM2、XY方式のステレオマイクのiM2Xがありますが、いずれもDOCK接続のものとなっており、対応機種にiPhone5という記述はありません。iPhone5は動作確認済みとのことですが、対応機種とは異なる書き方なのでちょっと気になるところです。
ZOOMからはLightning対応のMSマイクが発表されていますが、こちらもまだの模様で、2013年4月末現在、Lightnig対応マイクはどこからも出ていません。この辺はApple側の問題なんですかね……。
そこで試してみたのは、iPhone5でこれらDOCK接続のステレオコンデンサマイクがちゃんと動作するのかという点。以前、iPhone5を入手したときの動作確認テストとして、iM2が動くことは確認はしているのですが、iM2Xも入手したので、実際、各アプリで動くのか、音をモニターしながら録音できるのかなども試してみました。
まず、これを利用するためはLightning-30ピンアダプタを用意し、これを経由してiPhone5の端子に接続。iM2では通電すると青いLEDがついたのに、iM2Xでは点灯しないので、おや?と思ったら仕様が変わっていて、ここがレベルメーターになっているようです。-30dBFs以上の音が入力されると緑に、-2dBFsを超えると赤く点灯します。
試しに秋葉原で購入したApple純正ではないパチモン・アダプタで試してみましたが、それでもまったく問題なく認識してくれました。多少、不格好な感じもしますが、Lightning接続だと、他の機材と同様にDOCK接続よりもカッチリはまるし、マイクの向きの自由度も高まります。
※パチモン・アダプタではうまく動作しないという報告も上がっていますので、お気を付けください。
またiM2Xの場合、マイクの角度を180度調整できるのも便利なところです。入力レベルは横にあるボリュームで調整し、LIMITERスイッチをオンにすると、アナログ回路でのリミッターがかかるようになり、過度に大きな音量が入ってきた際はこれが機能してくれます。
まずはTASCAMの無料アプリ、PCMレコーダーを使ってみると、16bit/44.1kHzステレオという仕様で、まさにiPhoneがリニアPCMレコーダーへと変身してくれます。録音ボタンを押すと、まさにリアルな音で録音できます。ただ最初ヘッドホンでモニターしようとしたら、音が出ません。再生はできるのに…。おや?と思ってマニュアルを読んだら、そんなときはヘッドホンジャックを一度刺し直せ、とのこと。こうしたらバッチリモニターすることができました。
続いて、GarageBandでも使ってみました。こっちは、さらに面白いですね。まず入力設定によってチャンネルをモノラル・ステレオでの切り替えが可能だし、モニターをオンにすればリアルタイムでマイクからの音をモニターできます。そして、ここで各種エフェクトを選択することで、リバーブやロボットボイス、モンスターボイスなど、いろいろと変化させることも可能です。
そのほか、MusicStudio2ではダイレクトモニタリング、エフェクトを使えるFXモニタリングが選択して利用できたり、MultiTrack DAWでも同様のことができました。その他、YAMAHAのCloud Audio RecorderでもYuDoのRecToolsでも何でも動作してくれるので、iPhone5での動作にはまったく問題ないようですね。iPad miniでも同様でした。
ちなみにMultiTrack DAWで設定を24bit/96kHzで録音したところ、これでも問題なく動作してくれます。本当にiM2Xが24bit/96kHzの仕様に対応しているのかはハッキリわかりませんでしたが、とりあえずキレイな音でしっかりとらえることはできました。
つまり、これらDock接続のマイクとLightning-30ピンアダプタを持ち歩けば、いつでもどこでも高品位なレコーディングができるというわけですね。なお、今回はLigitning端子のiPhone5で使ってみましたが、iPhoneを新しく買い換えた結果、手元にDOCK端子のiPhone4SやiPhone4などが使わずに放置してあるという人も多いはず。そんな機材があれば、眠らせておくよりも、リニアPCMレコーダーとして使ってみるというのも手ですよね。これなら電話がかかってくる心配もないし、バッテリー切れの心配も減るので、いいかもしれませんよ。
【関連サイト】
TASCAM iM2X製品情報
TASCAM iM2製品情報